2025年下期以降に一段の競争激化も、傘下の海外ブランドと海外進出が成長けん引へ

 中国のスポーツウエア業界では2025年下期も厳しい競争環境が続く見込み。BOCIは最近、361度(01361)への訪問リサーチを実施した結果、「ナイキ」「プーマ」などの多国籍ブランドが中国市場で苦戦する中、国産ブランドの一部が市場シェアを拡大することで、業界再編がこの先さらに加速するとの見方を強めた。


 中国の国内メーカーにとっては引き続き、買収先の海外ブランドが国内市場での成長エンジンであり、同時に海外市場の開拓強化が支援材料になると予想。大型ネット通販セール「ダブルイレブン」(11月11日の独身の日)後に、市場がさらに流動的となる可能性を指摘している。


 スポーツウエア銘柄の2025年7-9月期決算は個別に明暗を分ける見込み。消費意欲の低迷と悪天候を背景に実店舗は総じて低調だが、一部の有力ブランドは強力な製品や独自性の高い素材・デザインを生かしたプレミアム製品の成長で、好業績が見込まれる。


 市場競争は2025年下期以降、さらに激化する見込み。上期の段階では安踏体育用品(02020)や李寧(02331)、ナイキが軒並み、バスケットボール(中国で最も人気のスポーツ)関連製品の販売不振に直面。BOCIはこれを警告のサインと受け止めている。


 また、消費者は値引き率の高いネット通販志向を高めており、実店舗の客足は低調。10-12月期には値引き率がさらに拡大し、店舗数が純減に転じる可能性があるとした。消費者が低価格志向と製品の独自性に目を向ける中、マス市場あるいはプレミアム層のいずれかをターゲットとするブランドが有利とみている。


 現時点では、国内企業の中核ブランドが逆風に直面する半面、買収あるいは国内経営権を取得した海外ブランドなど、プレミアムなニッチブランドが好調。買収や合併(M&A)実績を持つ企業が相対的に優位に立つ可能性が高い。


 BOCIは海外ブランドを含むマルチブランド戦略を展開する安踏体育用品が最も有利との見方。米国発「Saucony(サッカニー)」を展開する特歩国際(01368)が続き、最下位が単一ブランドの李寧になるとしている。


 一方、国内市場が「内巻」(値下げ合戦などの悪性競争)状態にある中、国内各社は海外市場の開拓を積極化させており、今後は東南アジアや米国などの主要市場で徐々にシェアを拡大する見込み。海外売上比率はまだ1桁台前半辺りだが、長期的には2桁台に乗せる可能性があり、利益率の改善にもつながる可能性が高い。


 また、海外でのM&Aも続く見込み。ロイター通信の報道によれば、8月現在、中国スポーツウエア企業の買収候補として「リーボック」と「プーマ」の名が挙がっているという。


 BOCIは安踏体育用品、特歩国際の株価の先行きに対して強気である半面、李寧と滔搏国際(06110)に対しては中立的。李寧に関しては五輪関連費用の増大と売り上げ回復の遅れ、滔搏国際についてはオフライン販売への依存度が高く、かつナイキの業績不透明感に直面していることを理由としている。


(Bank of China int.)

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