一般炭・原料炭価格ともに軟化傾向持続か、配当利回りの低下で魅力後退

 BOCIは中国の一般炭スポット価格について、2025年通年の平均値に関する予想を4%下方修正した。在庫縮小を受け、今冬にはスポット価格が上向くと予想しつつ4-6月期の予想以上の軟化を反映させた。


 一方、コークス用炭に関しては、7月の急騰を受け、2025-27年のベンチマーク価格予想を7-13%上方修正したが、大口需要家である鉄鋼業界の低迷で、短期的に一段と軟化するとの見方。さらに石炭各社の配当利回りの低下にも言及し、現状では依然魅力に欠けるとした。


 セクター全体に対する中立見通しを据え置いた上で、中国中煤能源(01898)の投資判断を弱気にダウングレードしている。


 BOCIのカバー銘柄4社の2025年6月中間決算は、それぞれ前年同期比15-52%の減益だった。一般炭とコークス用炭がそろって大きく下落したことが背景。事前の予想通り、石炭最大手である中国神華能源(01088)の減益率が最も小さかった。


 一般炭価格は在庫の縮小を背景に、今冬には上向く見込み。猛暑による5-7月の火力発電量の増加で、渤海湾周辺の港湾9カ所の一般炭在庫は9月9日時点で計2,230万トンと、前年同期を約80万トン下回った。昨冬は需要期に入っても一般炭価格の値上がり率が4%程度にとどまったが、今冬はより大幅な上昇が見込めるという。


 ただ、4-6月期の価格動向は予想を大きく下回る水準。BOCIはこの点を踏まえ、国内最大の石炭積み出し港、秦皇島の一般炭(5,500キロカロリー種)平均スポット価格に関する通年予想を4%下方修正し、1トン当たり685元に設定。2026年についても1%引き上げて680元とした。


 一般炭の長期契約価格に関しては、2025年予想を677元に据え置き、2026年予想を1元引き上げて673元に設定している。


 コークス用炭はベンチマークのスポット価格が7月の3週間に43%急騰した。鉄鋼価格の上昇を受けて鉄鋼メーカーの収益性が改善し、一時的に需要が上向いた。ただ、8月以降は鉄鋼各社の収益性が再び低下。コークス用炭価格は直近高値から12%下落した。


 BOCIは川上の石炭企業への値下げ圧力を見込み、短期的に一段の軟化もあり得るとの見方。それでも7月の急騰を反映させ、平均価格見通しを7-13%上方修正した。


 銘柄別では、中国神華能源、首鋼福山資源(00639)、エン鉱能源(01171)に対して中立見通しを示す半面、中国中煤能源に対しては従来の中立見通しを弱気に引き下げた。2025-27年の予想配当利回りが3.7-3.9%にとどまることが理由(配当性向は35%を想定)。


 2025年のフリーキャッシュフローのマイナス化が懸念される中、同社は配当性向の引き上げに消極的だとしている。


 一方、セクター全体のレーティング引き下げにつながる潜在リスク要因としては、国内の石炭生産が予想外に混乱する可能性を指摘。逆に上方修正につながる要因としては、下流ビジネスの採算性が予想を上回る可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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