先週の日経平均は、日米の金融政策、米中首脳会談といった重要イベントを通過した安心感や、国内外のAI・半導体関連企業の好決算を受けて、1週間で3,000円超急騰し、5万2,000円台に乗せてきました。しかしテクニカル分析面での過熱感も強まっています。
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の土信田 雅之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 【テクニカル分析】今週の株式市場 日経平均はまだ上昇できる?物色の広がりがカギ<チャートで振り返る先週の株式市場と今週の見通し> 」
安心感と決算で急上昇した先週の日経平均
先週末10月31日(金)の日経平均株価は5万2,411円で取引を終えました。この日の高値で終えただけでなく、前週末終値(4万9,299円)からも3,112円と大きく上昇しています。
<図1>日経平均5分足の動き(2025年10月27~31日)
あらためて先週を振り返ると、歴史的な急騰を記録した1週間でした。日米の金融政策イベントや米中首脳会談といった重要イベントを無事通過したことに加え、国内外のAI・半導体関連企業の好決算が相次いだことが強力な追い風となりました。
日々の値動きを上の図1で確認すると、「上昇」と「一服」を繰り返しながらも、着実に上昇していたことが分かります。上昇した日は、27日(月)、29日(水)、31日(金)になりますが、いずれも前日比で1,000円を超える上げ幅となっています。それぞれ以下の材料が株価を押し上げました。
27日(月):前週末に米国で発表された消費者物価指数(CPI)の結果を受けて、米国株が上昇。
29日(水):アドバンテストの好決算(通期の業績見通しを上方修正)が好感されストップ高となり、アドバンテスト1銘柄で日経平均を1,000円以上押し上げる格好となりました。
31日(金):日米金融政策イベント通過によるアク抜け感や、雪解けムードが醸し出された米中首脳会談などが安心材料になったほか、アルファベットやアマゾン、アップルといった米注目企業の好決算も買い材料となりました。
<図2>国内外主要株価指数のパフォーマンス比較(2024年末を100)(2025年10月31日時点)
また、2024末を100とした国内外(日・米・中・欧)の主要株価指数のパフォーマンス比較のグラフを見ると、先週の株価上昇によって、日経平均のパフォーマンスは香港ハンセン指数を抜いてトップに立ったことが確認できます。
今週の相場の注目点は?
そんな中で迎える今週の株式市場は、11月相場入りとなります。
金融政策イベントや企業決算、首脳会談など、注目材料が目白押しだった先週を株高で通過したことで、そろそろ一服感も出てきそうですが、国内では主要企業の決算発表が本格化します。
トヨタや任天堂、三菱重工、三菱商事、NTTといった時価総額の大きい主力企業をはじめ、様々な業種の決算発表が相次ぎます。先週の物色動向がAI・半導体関連に集中していただけに、今週の決算を通じて物色の幅が広がり、日本株全体として株価を上昇させることができるかが焦点になります。
その一方、先週の相場を牽引した海外(AI・半導体)決算では、マグニフィセントセブン(M7)銘柄がエヌビディア決算を11月20日に残すのみとなり、一つヤマ場を越えました。今週もAMD、英アーム、クアルコムといった半導体関連企業の決算が予定されているため、AI・半導体相場の「延長戦」があるかもしれません。
また、月初のタイミングで、通常であれば週末の7日(金)に公表される米雇用統計は、米政府機関の一部閉鎖(シャットダウン)が続いている関係で、今回も公表が延期となる可能性が高い状況です。
そのため、代替指標として、民間機関が公表するADP(オートマチック・データ・プロセッシング)全米雇用報告や、ISM景況指数(製造業・非製造業)などの経済指標に注目が通常以上に高まります。
先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、12月の追加利下げの見通しがやや後退していることもあり、経済指標で強い数字が出た場合には、売りのきっかけになる可能性もありそうです。
日経平均の急騰は「行き過ぎ」なのか?
そのため、今週の国内株市場は、「先週見せた日経平均上昇の勢いが続くのか?」「急騰の反動で株価が下落してしまう展開はあるのか?」「物色が広がって日本株全体の底上げができるか?」がポイントになりそうですが、特に最初の2つが気になるところです。
確かに、日経平均が1週間で3,000円を超える上昇はやや強すぎる印象があるほか、前回のレポートで紹介した移動平均線乖離率でも見てきたように、過熱感があるのは否めません。
<図3>日経平均(日足)と移動平均線乖離率の推移(2025年10月31日時点)
前回のレポートで指摘したように、株価と移動平均線との乖離が、25日移動平均線ではプラス5%、75日ではプラス10%、200日では20%を超えてくると、過熱感が意識されて修正されやすい傾向があります。
先週はさらに乖離が進んでいます。とりわけ、200日移動平均線との乖離は30%を超えており、直近の過去で最も高かった2021年2月16日のプラス26.34%を超えてきました。
当時は2020年3月の「コロナ・ショック」による株価急落が底を打ち、その後、約1年続いた戻り基調が、最初のピークをつけていた時期にあたります。この歴史を鑑みると、そろそろ株価上昇の天井が意識されるかもしれません。
その場合、これまでの傾向(株価と25日移動平均線との乖離と修正を繰り返す)に沿う格好で、25日移動平均線までの下落が想定されます。ちなみに、先週末31日(金)時点の25日移動平均線の値は4万8,111円です。
また、上昇の勢いが衰える可能性についても考える必要があります。
<図4>先週(2025年10月24~31日)の日経平均の上昇寄与度上位銘柄の状況
上の図4は、先週の日経平均の上昇に寄与した上位5銘柄の状況を示したものです。
日経平均は、前週末(10月24日)終値の4万9,299円から、先週末(10月31日)終値の5万2,411円まで3,112円上昇しました。
日経平均の上昇が一部の銘柄に依存している点には危うさもあります。ただ、先週のアドバンテストの株価上昇は、28日(火)に発表された決算で、AI向け事業の好調さを受けて、業績が市場予想を上回ったことや、業績見通しも上方修正されたことが材料視されています。
必ずしも期待だけが先走り過ぎているわけではなさそうです。また、コナミグループも決算内容が好感されて株価が上昇しています。
上位5銘柄のうち、これから決算を迎えるのは、ソフトバンクGとフジクラになります。ソフトバンクGは来週の11月11日(火)、フジクラは今週7日(金)に、それぞれ決算を発表する予定ですが、他の日経平均構成銘柄の企業が大きく買われる動きが出ない限り、決算を好感する流れはそろそろ一巡するでしょう。
したがって、先週のような急上昇の継続を期待するのは難しいと思われます。
とはいえ、先ほどの3つめポイントで挙げたように、決算を通じて銘柄物色が広がり、日本株全体の底上げができれば、先行して上昇した日経平均の「先走り感」や「行き過ぎ感」が軽減されるはずです。
そのため、堅調な株価推移を続けるシナリオは十分に有り得ます。また、少なくとも企業業績がしっかりしていることが確認できれば、株価の調整局面で下値を支える材料になりそうです。
とはいえ、NT倍率を見ると、先週末31日(金)時点の15.73倍まで急上昇しており、日経平均がかなり先行します。東証株価指数(TOPIX)がキャッチアップできなければ、日経平均が調整する格好で両者の距離を縮めて行くシナリオも想定しておく必要がありそうです(下の図5)。
<図5>NT倍率(日経平均÷TOPIX)の推移(2025年10月31日時点)
よって、これまで見てきたポイントに従うのであれば、しばらくのあいだは日経平均よりもTOPIXの動きに注目する必要があります。
そこで、足元のTOPIXの状況をテクニカル分析の視点で確認していきます。
<図6>TOPIX(週足)と線形回帰トレンド(2022年10月を起点)
上の図6はTOPIXの週足チャートに、2022年10月7日週を起点とした線形回帰トレンドを描いたものになります。足元の株価はプラス2σ(シグマ)にタッチする場面があったほか、下段のMACDの値も128pと、前回の株価がプラス2σに達した時の値(122p)を超えてきたことが読み取れます。
年末までは残り8週間となりましたが、このまま株価がプラス2σに沿って推移した場合、3,400p台超えあたりが上値の目安になります。もちろん、今後の値動きによって、線形回帰トレンドの傾きも変化しますので、目安の値は上下していきますが、3,400p台がおおよその目標値になりそうです。
また、前回のレポートで紹介した日経平均の目標値計算をTOPIXにも当てはめていきます。
<図7>TOPIX(週足)の目標値計算(2025年10月31日時点)
今回の値幅観測論で用いる基準は、直近過去において、「移動平均線における上昇のパーフェクト・オーダーが出現する直前の安値」「そこから株価が天井とつけたところ」「下落のパーフェクト・オーダーが出現し、株価が底打ちしたところ」の3点になります。
この3点を上の図7で確認すると、2022年10月の安値(1,815p)、2024年7月の高値(2,946p)、2025年4月の安値(2,243p)が該当します。
これらをベースに、VT計算値、V計算値、N計算値、E計算値を求めていきますが、現在のTOPIXはN計算値の3,374pをトライしようとしているところです。
反対に、株価が下落に転じた場合には、移動平均線や図5の線形回帰トレンドのプラス1σもしくは中心線が下値のサポートとして意識されそうです。
(土信田 雅之)

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