先週の日経平均は、米利下げ期待の再燃や、高市政権下の国策テーマ株への物色を背景に急反発し、5万円台を回復しました。前週の下落分をほぼ取り戻したものの、25日移動平均線での攻防を中心に「正念場」を迎えています。
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著者の土信田 雅之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 【テクニカル分析】今週の株式市場 5万円台回復の日経平均。年末株高期待とスピード違反に注意<チャートで振り返る先週の株式市場と今週の見通し> 」
戻り基調で5万円台を回復した先週の日経平均
先週末11月28日(金)の日経平均株価の終値は5万0,253円でした。前週末終値(4万8,625円)と比較すると、1週間で1,628円高(3.3%高)となりました。
前週(11月17~21日)は、週間で1,751円の下落を記録していたため、先週はその下落分の9割近くを取り戻した格好になります。市場の底堅さと復元力の強さを示した1週間だった印象です。
<図1>日経平均の5分足チャート(2025年11月25~28日)
上の図は、先週1週間の日経平均の動きを捉えた「5分足チャート」です。
これを見ると、週の立ち上がりは連休明けということもあり、様子見ムードが漂う静かなスタートでした。しかし、週半ばにかけて米国株高や円安一服感が広がると、市場のセンチメントが好転。水曜日には一気に節目の5万円台を回復する展開となりました。
週末にかけては、利益確定売りに押されて上値が重くなる場面も見られましたが、それでも5万円台をキープして取引を終えています。
この「5万円台回復」が持つ意味について、日足チャートでも確認してみます。
<図2>日経平均(日足)の動き(2025年11月28日時点)
上の図2にもあるように、日足チャートでの重要なポイントは、株価と25日移動平均線との関係になります。
以前のレポートでも繰り返しお伝えしてきたように、4月以降の日経平均は25日移動平均線を「サポート(支持線)」にしながら上昇トレンドを描いてきました。しかし、11月の調整局面で株価はこの25日移動平均線を割り込んでしまいました。
テクニカル分析のセオリーでは、一度サポートを割り込むと、今度はその線が上値を抑える「レジスタンス(抵抗線)」に変わることがよくあります。先週末の終値(5万0,253円)は、ちょうどこの25日移動平均線(28日時点で5万0,228円)をわずかに上回った水準にあります。
今週の焦点は、このまま株価が25日線の上で推移し、「サポート役」として復帰できるか、それとも再び押し返されて「抵抗」としての役割を確定させてしまうのか、という点です。移動平均線の役割が問われる、まさに「正念場」に差し掛かっていると言えます。
今週のイベントと株価材料
続いて、先週の株価上昇の背景と、今週の材料についても整理していきます。
先週の株価を押し上げた主因として、「米国の利下げ期待の復活」と、「銘柄物色の広がり」の二つが挙げられます。
まず、一つ目の「米国の利下げ期待の復活」についてです。これは12月9~10日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を睨んで、市場の思惑が揺れ動いている状況です。
もともとは12月のFOMCで追加利下げが行われる見通しとなっていましたが、11月に入ると、状況は変化しました。米国の経済指標が強かったことや、トランプ次期政権の政策インフレ懸念、連邦準備制度理事会(FRB)要人の発言などから、「12月の利下げは見送られるのではないか?」という観測が強まり、利下げ期待が後退していきました。
しかし、先週に発表された経済指標の結果が適度な景気減速を示唆したことや、FRB要人の発言も利下げ実施に前向きな発言が増えてきたことを受けて、再び「12月利下げ」の確率が8割超まで高まっています。
これにより、米国の長期金利上昇が一服し、金利上昇に弱いハイテク株や半導体関連株に買い戻しが入って、米国株が上昇。その流れを受けた日経平均も上昇する展開となりました。
次に、二つ目の「銘柄物色の広がり」も重要な視点になります。先週の日本株の物色動向をざっくり見ていくと、単に指数寄与度の高い半導体株だけが買われたわけではなく、材料株のあった株にも資金が向かいました。
例えば、高市政権が進めるエネルギー政策への期待感から、 北海道電力(9509) などの電力株や、核融合発電関連として 助川電気工業(7711) などが急騰しました。
また、防衛関連として 大黒屋ホールディングス(6993) が買われたり、レアアースのリサイクルを手掛ける アサカ理研(5724) が中国リスクへの懸念から注目されたりと、国策や地政学リスクをテーマにした中小型株への物色が活発化しています。これは投資家の意欲が衰えていない証左でもあります。
では、今週はどうなるでしょうか。基本的には、先週の「利下げ期待」と「循環物色」の流れを引き継ぐ展開が予想されますが、イベントとの絡みには注意が必要です。
特に注目されるのが、12月1日(月)に予定されている日本銀行の植田和男総裁の講演です。市場では12月の日銀会合での「追加利上げ」観測がくすぶっており、植田総裁の発言内容次第では、為替が円高に振れたり、銀行株が乱高下したりする可能性があります。
また、米国では通常、第1週に発表される「雇用統計」が今月は第3週(16日)に延期されています。そのため、今週はISM製造業景況指数(1日)やADP雇用統計(3日)などの指標が、普段以上に注目されることになります。
これらの結果が「程よい景気減速(ソフトランディング)」を示すものであれば、株価にとって追い風となるでしょう。
日米の銀行株上昇について
さて、今週も個別銘柄を中心とした展開が想定されますが、その中で特に注目したいのが「銀行株」の動きです。実はここ最近、日米ともに銀行株が上昇基調にあります。
<図3>日米主要銀行のパフォーマンス比較(2024年末を100)(2025年11月28日時点)
上の図3の主要銀行株のパフォーマンス比較でも確認できる通り、日米ともに銀行株は共に堅調な動きを見せていますが、その背景には大きな違いがあります。
まず、日本の銀行株上昇の背景にあるのは「利上げ観測」です。先ほども触れましたが、日銀が12月、あるいは1月に政策金利を引き上げるのではないかという見方が強まっています。銀行にとって金利の上昇は、貸出金利と預金金利の差である「利ざや」の拡大に直結するため、収益向上期待から買われています。
特に、 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) などのメガバンクは海外展開も進んでいますが、今回の局面では、国内金利上昇の恩恵をよりダイレクトに受けやすい地方銀行株などにも物色が広がっているのが特徴です。
ただし、地銀株は個別事情や再編期待などで値動きにバラつきが出やすいため、選別が必要です。
一方、米銀行株上昇の背景にあるのは「利下げ観測」と「ソフトランディング期待」です。 一般的に、利下げは銀行の利ざや縮小要因となりますが、現在の米国市場では「景気後退を伴わない利下げ」への期待が主流となっています。
景気が底堅ければ貸倒リスクは低く抑えられ、金利低下によって企業の買収や合併(M&A)
や資金調達が活発化すれば、投資銀行部門の手数料収入が増加します。また、イールドカーブ(長短金利差)が正常化することによる収益安定化も好感されています。
つまり、日米の銀行株は「利上げ」と「利下げ」という、異なるロジックで銀行株が買われている点が特徴です。この微妙なバランスとムードの変化で変わりやすく、今週に予定されている植田総裁の発言や米経済指標次第では、この相場の前提が変化する可能性もあります。今週も銀行株の動きには注意しておく必要がありそうです。
株価が上昇しても、気になるスピード感
最後に、今後の相場の見通しについて、少し長い視点でのチャート分析を交えて考えてみます。
「仮に今週以降も上昇が続いた場合、中長期的にどこまで上がりそうなのか?」については、以前のレポートでも言及していますが、あらためて確認していきます。
▼以前のレポート
【今週の日本株】トヨタ、任天堂、三菱商事の決算週。テック銘柄以外の株価上昇も期待?
<図4>日経平均(週足)と「目標値計算」(2025年11月28日時点)
上の図4は、日経平均の「計算値計算」の状況を示したものです。この基準となるのは、直近の過去において以下の3点です。
・移動平均線における上昇のパーフェクト・オーダーが出現する直前の安値
・そこから株価が天井とつけたところ
・下落のパーフェクト・オーダーが出現し、株価が底打ちしたところ
この3点を上の図4で確認すると、2023年1月の安値(2万5,661円)、2024年7月の高値(4万2,426円)、2025年4月の安値(3万0,792円)が該当します。これらをベースに、VT計算値、V計算値、N計算値、E計算値を求めていきます。
現在の日経平均の水準から見ると、V計算値の5万4,060円が次の目標値になります。11月4日の高値(5万2,636円)からは1,500円ほどの距離感ですが、先週末終値(5万0,253円)からは4,000円近く上昇していく必要があります。
また、「上昇のスピード感」にも注意しておく必要があります。これを探るために「線形回帰トレンド」のチャートでも見ていきます。
<図5>日経平均(週足)の線形回帰トレンド(2025年11月28日時点)
上の図5で2023年の年初を起点とした線形回帰トレンドを見てみると、現在の日経平均は、強気のゾーンとされる「プラス2σ(シグマ)」のライン付近に位置していることがわかります。
11月に株価調整したとはいえ、中長期的なトレンドとしては依然として「かなり高値圏」を推移しているといえるでしょう。
また、プラス2σのラインは線形回帰トレンドにおける「もっとも強気の線」を表しています。先ほど算出したV計算値「5万4,060円」に、プラス2σのラインが交わる時期を見ると、今からおよそ38週後、つまり来年の夏以降になります。
さらに5万5,000円に到達するのは47週後となるため、短期的にこの株価水準に向かっていくには、時間的なスピード違反や、すぐに過熱感を帯びやすくなることが予想されます。
したがって、目先はあまり上を見すぎず、まずは直近高値である11月4日の取引時間中の高値(5万2,636円)にどれだけ迫れるかが現実的な目安になりそうです。
経験則的に、12月は「掉尾の一振」といって株価が上昇しやすい月と言われています。しかし、今年の日経平均は2024年末からすでに20%以上も上昇しているため、機関投資家などが年間のパフォーマンスを確定させるために、利益確定の売りを出しやすい状況と見ることもできます。
そのため、「年末だから上がるはず」と楽観視するのではなく、「25日線をしっかり守れるか」、「イベントでトレンドが崩れないか」を丁寧に確認しながら、5万円台での値固めを見守る週になりそうです。
(土信田 雅之)

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