先週は高市早苗首相選出を受けて、高市カラーの強い防衛関連株などを中心に全面高、週明け27日に日経平均株価が5万円を突破しました。懸念材料はGAFAMや日本の半導体関連企業の決算発表。

AI向け巨額投資が実際の収益に結びついているのかに注目が集まりそうです。


今週のマーケット:日経平均5万円の大台突破!GAFAM決算、...の画像はこちら >>

今週のトピック:FOMCで追加利下げ確実視。GAFAM、日本の半導体企業の決算発表。

日付 イベント 10月24日(金) ・9月消費者物価指数(CPI)が予想以下の伸びで、米国3大株価指数が史上最高値更新 10月27日(月) ・米国トランプ大統領が来日。29日(水)まで滞在予定 10月28日(火) ・高市新首相がトランプ大統領と首脳会談
・日本企業の2025年7-9月期決算本格化。 アドバンテスト(6857) 、 野村ホールディングス(8604) などが決算発表
・米国10月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)
・米国でも コーニング(GLW) 、 ビザ(V) などが2025年7-9月期の決算発表 10月29日(水) ・米連邦公開市場委員会(FOMC)終了。0.25%の追加利下げが確実視
・ ディスコ(6146) 、 キーエンス(6861) などが決算発表
・日本時間30日(木)早朝、 マイクロソフト(MSFT) 、 アルファベット(GOOG) 、 メタ・プラットフォームズ(META) などが決算発表 10月30日(木) ・韓国で米国トランプ大統領と中国習近平国家主席が会談予定
日本銀行の金融政策決定会合終了。利上げ見送りの公算大
・米国2025年7-9月期実質国内総生産(GDP)速報値(延期の可能性も)
・日本時間31日(金)早朝、 アップル(AAPL) 、 アマゾン・ドット・コム(AMZN) などが決算発表 10月31日(金) ・ レーザーテック(6920) 、 ファナック(6954) 、 東京エレクトロン(8035) などが決算発表
・米国9月個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター:延期の可能性も)
  • 先週10月24日(金)の米国9月CPIが想定内の伸びで米国株の最高値更新。トランプ大統領来日もあり、日経平均株価に好影響も
  • 29日(水)のFOMCで12月も追加利下げ示唆なら日米の株価続騰!
  • マイクロソフト(MSFT)など米国巨大IT企業GAFAM5社が決算発表。巨額の人工知能(AI)投資が実際の収益に貢献しているかに期待と不安。日本でもアドバンテスト(6857)など半導体株の決算が波乱要因に
  • 30日(木)、韓国で米中首脳会談。米中貿易戦争の緊張緩和演出で株価続騰?

10月27日(月)の日経平均

 4万9,905円でスタートした日経平均はついに史上初の5万円台を突破。10月最後となる今週は日本株にとって好材料が多いものの、日米企業の決算結果が不安要素です。


今週:日経平均5万円台を達成!高市トレード、米国利下げ期待、米中緊張緩和がさらなる追い風に!?

 今週は日経平均株価が史上初めて5万円の大台乗せを達成、歴史的な1週間の始まりとなりました。


 27日(月)からは米国トランプ大統領が来日し、28日(火)には高市早苗新首相と初の首脳会談。


 米中対立が深刻化する中でトランプ大統領が関税問題で日本にさらなる難題をふっかける可能性は低く、友好的な日米関係の演出で日本株には好影響となりそうです。


 また29日(水)終了の米国FOMCでは0.25%の追加利下げが確実視されています。


 追加利下げに対する期待感が、連日、米国株が最高値を更新する原動力になってきたため、FOMC後には材料出尽くしの売りが出る恐れもあります。


 しかし、FOMC後に記者会見する米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が雇用市場の冷え込みを理由に12月も連続して追加利下げに踏み切る姿勢を示せば、イケイケの金融相場がまだまだ続きそうです。


 30日(木)には韓国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)を前に、トランプ大統領が中国の習近平国家主席と第2次政権発足後、初めての首脳会談を行う予定です。


 中国のレアアース輸出規制強化や米国産大豆輸入停止といった強硬姿勢が緩和される可能性は乏しいでしょう。


 ただ、短期的な成果を演出したい米国トランプ大統領が11月10日(月)に迫った中国への125%の相互関税導入を再び延期すれば、TACO(Trump Always Chickens Out:トランプはいつもビビって引く)トレードが活発化し、日米ともに株価の上昇要因になりそうです。


 10月1日からすでに4週間近く続いている米国の政府機関の閉鎖は、議会の対立やトランプ大統領のアジア歴訪で11月まで続きそうです。


 約73万人の政府職員の給与も未払いで、雇用や個人消費の面でも米国の実体経済に打撃を与えているのが不安要因になりそうです。


 日本市場では先週、米中対立を背景に、レアアース関連の 東洋エンジニアリング(6330) が前週末比44.9%高と急騰したほか、レアアースを使わないセラミックス製品の開発を発表した 第一稀元素化学工業(4082) が3日連続ストップ高で58.8%も急上昇。


 また高市新首相が所信表明演説で「防衛費をGDPの2%まで引き上げる目標を2025年度中に達成する」と述べたことを受け、防衛関連株も 川崎重工業(7012) が19.1%高、 IHI(7013) が12.8%高となるなど、今週も高市カラーの強い銘柄の物色が続きそうです。


 また、先週は国内造船業の建造量倍増を目指して業界団体が3,500億円の設備投資を表明したこともあり、 名村造船所(7014) が33.8%高。造船用の大型クレーンメーカー 住友重機械工業(6302) が24.4%高。


 日本の伝統産業である造船株への期待感も、「世界の中で咲き誇る強い日本」を目指す高市政権誕生で起こった株式市場の変化といえるかもしれません。


GAFAM決算でAIバブルに不安が広がる!?日本の半導体株決算も相場のかく乱要素に!?

 政治・中央銀行がらみのイベントが満載の今週は、日米企業の2025年7-9月期決算が佳境を迎えるため、その結果からも大きな影響を受けそうです。


 非常に注目度が高いのはやはり、日本時間30日(木)早朝のマイクロソフト(MSFT)、グーグルの親会社アルファベット(GOOG)、フェイスブックの親会社メタ・プラットフォームズ(META)、31日(金)早朝のアップル(AAPL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)というGAFAM5社の決算結果でしょう。


 GAFAMと米国高速半導体メーカー・ エヌビディア(NVDA) の2025年のAI向け設備投資の総額は3,000億ドル(約45.8兆円)を超える見通しです。


 しかし、巨額の投資に見合うほどAI関連の売上・利益が上がっていないことが今回の決算で判明すれば、AIバブル崩壊に対する懸念が広がりそうです。


 むろん、GAFAMの一角がAIサービスの収益化について強気の見通しを示せば、AIバブルがさらに加速する可能性もあり、今週のGAFAM決算は非常に重要です。


 また28日(火)には光ファイバーメーカーの米国コーニング(GLW)が決算発表。


 同社の好業績が日本でも 古河電気工業(5801) や フジクラ(5803) といったAIデータセンター関連株の急騰につながってきただけに注目されそうです。


 日本でも28日(火)のアドバンテスト(6857)を皮切りに、29日(水)にはディスコ(6146)、31日(金)には東京エレクトクロン(8035)やレーザーテック(6920)など半導体製造装置メーカーが相次いで決算発表。


 いずれも日経平均株価の採用銘柄のため、その決算動向が日経平均の原動力になりそうです。


 米国FOMCに続いて30日(木)には日本銀行の金融政策決定会合も終了。


 今回は金融緩和に積極的な高市新首相の就任直後とあって、追加利上げは見送られ、無風で終わる公算が高そうです。


 ただ、前回9月の会合で0.75%への政策金利引き上げを提案した、金融引き締めに積極的なタカ派の高田創審議委員が先週20日(月)に「利上げに向け機が熟した」と発言。


 今回、政策金利据え置きに何人の政策委員が反対票を投じるかが注目を集めそうです。


先週の振り返り:原油高で資源株、米国ゼネラル・モーターズの好決算で自動車株が上昇。不安要素は米中貿易戦争のみ

 先週の日経平均株価(225種)は自民党と日本維新の会の連立政権樹立見通しを好感して20日(月)に1,603円(3.37%)も上昇するなど、週間でも前週末比1,717円(3.61%)高の4万9,299円で終了。


 高市首相の積極財政による財政赤字拡大の見通しや日銀の利上げ見送り観測を受けて、1ドル152円80銭台まで円安が進んだことも好材料でした。


 週間の業種別上昇率ランキングでは原油・天然ガスの採掘企業が集まる鉱業セクターが首位になりました。


 23日(木)に米国トランプ大統領がウクライナとの停戦に応じないロシアの二大石油企業に制裁を発動したことで原油価格が上昇。主力の INPEX(1605) が前週末比7.4%上昇しました。


 また21日(火)に米国自動車メーカーの ゼネラル・モーターズ(GM) がトランプ関税の悪影響が想定以下となったことで2025年の通期利益見通しを引き上げ。株価は19.3%も急騰しました。


 これを受けて、 トヨタ自動車(7203) が6.6%高となるなど日本の自動車株が属する輸送用機器セクターが業種別上昇率2位でした。


 先週は高市首相に対する期待感から33業種全てが上昇する全面高となり、主役といえるAI関連株ではAIデータセンター向け発電機用軸受け部品の販売が好調な 大同メタル工業(7245) が38.1%高。


  ソフトバンクグループ(9984) がスイスの機械メーカーABBのロボティクス事業を8,200億円で買収したことをきっかけに人気化しているAIロボット関連のファナック(6954)が9.7%高。


 同じくデータセンター向けSSD(記憶媒体)の需要急拡大を好感して半導体メモリメーカーの キオクシアホールディングス(285A) が前日比19.1%高となるなど、AIデータセンター関連の物色の輪もさらに広がっています。


 一方、米国では機関投資家が運用指針にするS&P500種指数が前週末比1.92%高と2週連続で続伸。


 先々週末に表面化した米国地方銀行の信用不安も、多くの地銀が好決算を発表したことでたちまちのうちに終息しました。


 唯一、中国がさらに広範囲なレアアースに輸出規制をかける動きに端を発した米中貿易戦争の悪化懸念が株価の下落要因でした。


 26日(日)、マレーシアで米中閣僚級協議を終えた米国のベッセント財務長官は中国のレアアース輸出規制強化の猶予や米国の対中追加関税の延期について「首脳会談で協議する有意義な枠組みができた」と発言。


 30日(木)の米中首脳会談を前に、米中の緊張緩和の兆しが見えたことは今週の株式相場にとって朗報といえるでしょう。


(トウシル編集チーム)

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