先週はホルムズ海峡の事実上の封鎖で原油が高騰、9割を中東から輸入する日本株の弱さが際立ちました。今週は米国のカーグ島攻撃、イランの石油インフラを狙った反撃で、原油100ドル超えと株価下落が続きそうです。

18日のFOMCなど日米欧の中央銀行会合、19日は日米首脳会談も控えていますが、株価の命運は中東戦争の行方にかかっています。


今週のマーケット:日米欧中央銀行会合や日米首脳会談が控える中...の画像はこちら >>

今週のトピック:日銀の金融政策会合。19日(木)に日米首脳会談開催

日付 イベント 3月15日(日) ・米国がイランの石油輸出拠点・カーグ島を攻撃。イラン側の反撃やホルムズ海峡の封鎖続く 3月16日(月) ・米国の3月ニューヨーク連銀製造業景気指数
・米国の エヌビディア(NVDA) が19日(木)まで次世代AIイベント開催 3月18日(水) ・2月の訪日外国人旅行者数
・春闘の企業側の集中回答日
・米国で2月PPI
・米国でFOMC終了。パウエルFRB議長が記者会見
・米国でAI半導体メモリメーカーの マイクロン・テクノロジー(MU) が決算発表 3月19日(木) ・日銀の金融政策決定会合終了、植田総裁が記者会見
・米国で高市首相とトランプ大統領が日米首脳会談 3月20日(金) ・日本市場は春分の日で休場

・ホルムズ海峡の事実上の封鎖や戦闘激化で原油価格のさらなる上昇、世界的な株価下落が続く? 


・日米欧で中央銀行が金融政策を決定。18日(水)夜終了の米国連邦公開市場委員会(FOMC)、19日(木)の日本銀行の金融政策決定会合ともに金利据え置きが濃厚。


・19日(木)に米国で日米首脳会談。イランとの戦争を続けるトランプ大統領から高市首相が関税や東アジア外交でどんなディール(取引)を勝ち取れるかに注目集まる


・為替市場で1ドル160円突破も見える状況。介入機運も高まらず、161円90銭台の高値突破なら日本株の支援材料に?
 


3月16日(月)の日経平均

 先週の原油高や全面安から前営業日比191円安の5万3,627円で続落スタート。原油上昇が一服し、一時は163円高のプラス転換になったものの再びマイナス進行。前場は前営業日比681円安の5万3,138円で終え、一時は700円超安となりました。後場になり下げ幅は縮小しましたが、マイナス圏での動きが続いています。(3月16日15時現在)


今週のマーケット:イランの原油基地・カーグ島攻撃で原油高騰、株価続落か。
トランプ大統領が「TACO」れば急騰も? 

 米国・イスラエルとイランの戦争が長期化し、原油価格が高止まりする中、今週の株式市場は米国トランプ大統領がどの段階で一方的に戦争終結を宣言するかに注目が集まりそうです。


 原油価格の指標となるウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI:米国西テキサス産出の良質な原油)の先物価格は先週、乱高下。


 9日(月)に1バレル=119ドル台まで急騰したあと、各国の石油備蓄放出への期待感で76ドル台まで急落したものの、再上昇して98ドル台で終了しました。


 先週末には、米国がイラン産原油の9割が積み出されるカーグ島(ハールク島)の軍事施設を攻撃。トランプ大統領はイランがホルムズ海峡の封鎖を続ける場合、これまで避けてきた同国の石油インフラを攻撃すると警告しています。


 イランは週末にイラクの米国大使館やアラブ首長国連邦の石油積み出し港を攻撃するなど、徹底抗戦の構えで戦闘が収束する気配はまったくありません。


 先週は日本でもガソリン価格が1リットル当たり20~30円も大幅に値上がり。


 19日(木)からは1リットル=170円を超えないように政府の補助金支給が始まりますが、令和のオイルショックは日本株の大きな下げ圧力になりそうです。


 米国でもロシア産原油の購入を30日間限定で許可するなど対策をとっていますが、ガソリン平均小売価格は開戦後11日間で20%も急騰。


 以前はトランプ大統領の突然の方針転換によるTACOトレード期待(Trump Always Chickens Out:トランプはいつもビビって引く)が株高につながりましたが、前回は主に関税政策の変更によるものが要因でした。


 今回はイランの最高指導者を殺害しているだけにトランプ大統領が一方的に「戦争をやめた」と宣言しても、イラン側が中東諸国の石油インフラ攻撃を続ける可能性が高く、TACOトレードとなるかは怪しいところです。


 そんな中、19日(木)夜には米国で高市首相とトランプ大統領が日米首脳会談を行います。

トランプ大統領がホルムズ海峡封鎖解除のために日本や欧米各国、中国などに軍艦派遣を要請し、日本を戦争に巻き込む意向を示しているだけに、米国から関税などで譲歩を引き出す難易度はさらに上がっている状況です。


 今週は18日(水)夜に米国でFOMC、19日(木)には日銀の金融政策決定会合、夜には欧州中央銀行(ECB)の理事会が終了し、日米欧の金融政策が決定されます。


 今回は全ての中央銀行が金利据え置きで様子見する見通しです。


 特に注目されるのは、トランプ大統領に露骨な利下げ圧力をかけられている米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の発言でしょう。


 記者会見の席でパウエル議長が、原油高による物価高抑制のための利上げや金融政策の転換に言及するようなら、株式市場にとって大打撃になりえます。


 同じく日本でも日銀の植田和男総裁が4月28日(火)終了の次回会合で利上げを行う可能性をにおわせると、日本株にとってネガティブでしょう。


米国マイクロン・テクノロジーの好決算に期待!1ドル=160円突破で為替介入なら日本株急落も?

 中東での戦争で注目度は低いものの、16日(月)からは米国人工知能(AI)半導体の覇者・ エヌビディア(NVDA) がAIイノベーションの新たな可能性を紹介するイベント「NVIDIA GTC 2026」を開催します。


 同社のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が基調講演などで、フィジカルAI、AIファクトリーなどAIの新テーマを発表すると関連株が物色されるかもしれません。


 先週の米国株では、AIシステムのリリース延期報道があったフェイスブックの親会社 メタ・プラットフォームズ(META) が前週末比4.8%安。


 AI関連の大規模受注が主力のクラウドインフラ事業の売上成長に寄与し始めた決算を発表した オラクル(ORCL) が1.4%高。


 エヌビディア(NVDA)が1.4%高と、AI関連株は強弱まちまちの展開でした。


 今週の日本時間19日(木)早朝にはAIデータセンター向け半導体メモリ販売が活況で、先週も下げ相場にかかわらず株価が15.1%も上昇した マイクロン・テクノロジー(MU) が決算発表。


 好決算発表で市場の雰囲気が明るくなることに期待したいところです。


 ただ、3月6日(金)に旗艦のプライベートクレジット・ファンドの解約制限を発表した世界最大の資産運用会社 ブラックロック(BLK) は先々週の10%安に次いで、先週も3.3%安と続落。


 銀行を介さないノンバンク融資を行うプライベートクレジット市場の信用不安はくすぶり続けており、関連ファンドの価格下落が続くようだと、今週も金融株が下げ相場を主導することになりそうです。


 また、為替市場では原油価格高騰による実需の円売りもあり、先週は1ドル=159円70銭台まで円安が進行。


 戦時のため、為替介入の機運は高まっておらず、今週中に2024年7月高値の1ドル161円90銭台 を突破も見えてくる情勢です。


 急速な円安に対抗するため、政府・日銀が突如、為替介入に踏み切るようだと、円高進行で日本株がさらに大きく急落する恐れもあります。


先週の振り返り:全面安続く!AIデータセンター株や任天堂の逆行高は株価底打ちの兆し!?

 先週の日経平均株価(225種)は前週末比1,801円(3.24%)安の5万3,819円まで続落。米国のS&P500種指数の1.6%の下げに比べても下落率が大きくなりました。


 先々週に引き続き先週も33業種中29業種が下落する全面安の展開でした。


 日本は中東諸国から原油の9割を輸入しているだけあって、中東での戦争が長引くほど、今週以降も日本株の弱さが際立つ可能性が高そうです。


 下落率ワースト1位になったのは、原油価格高騰による金利上昇や資材高の悪影響を受けやすい不動産業で、主力の 三井不動産(8801) は9.7%安。


 また海外発のプライベートクレジット市場の信用不安拡大で、 オリックス(8591) が5.6%安と続落するなどノンバンク融資やリース業を行うその他金融業セクターが下落率2位になりました。


  みずほフィナンシャルグループ(8411) が6.4%安となるなど銀行株も続落しました。


 12日(木)に2026年3月期の赤字転落と今後、電気自動車(EV)戦略の見直しで最大2.5兆円の損失が出る見通しを発表した ホンダ(本田技研工業:7267) が6.4%安。


 生成AIソフト「Chat GPT」運営の米国オープンAIに集中投資する ソフトバンクグループ(9984) もAI向け過剰投資や競合AI企業アンソロピック(非上場)の台頭などが不安視され、8.9%安と続落しました。


 原油価格高騰によるコスト上昇が嫌われ、 三菱ケミカルグループ(4188) が10.9%安、 三井化学(4183) が10.4%安となるなど化学メーカーの下落も目立ちました。


 一方、上昇率1位はその他製品セクター。同セクターに属する 任天堂(7974) が「Nintendo Switch 2」専用ゲームソフト「ぽこ あ ポケモン」の世界的大ヒットで17.7%高と逆行高したことがけん引役になりました。


 その他には資源価格の高騰が収益増につながる鉱業、非鉄金属、海運業の3業種だけが上昇。資源株の INPEX(1605) は7.1%高と続伸しました。


 また、AIデータセンター向け光ファイバーの販売が絶好調で2026年の人気株No.1といえる 古河電気工業(5801) が9.0%高。


 新製品の採用期待が高まった半導体検査装置メーカーの レーザーテック(6920) が12.7%高となるなど、AI・半導体株の一角が上昇に転じたことは、任天堂の逆行高とともに株価底打ちの兆しといえるかもしれません。


(トウシル編集チーム)

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