アカツキは、人気ゲーム開発・運営で培ったノウハウを強みに、グッズ販売などのIP活用や新作ゲームの展開を推進する企業です。2025年に配信を開始したゲーム、「怪獣8号 THE GAME」の投入で業績が再拡大期に入り株価も上昇中ですが、過去実績と比べるとなお割安感があります。

また、同業他社比較をすると割安感が一層際立ちます。


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モバイルゲーム業界割安株ランキング

 世界の主要上場モバイルゲーム企業17社について、自己資本利益率(ROE)を横軸、株価純資産倍率(PBR)を縦軸とした散布図を作成すると、おおむね比例関係にあることが分かります。


<モバイルゲーム企業17社のROEとPBRの関係>
ゲーム開発のアカツキに割安感、「怪獣8号」で再拡大期に(西 勇太郎)
出所:各社資料より作成

 その中で、ROEの高さに比してPBRが低く、比例関係の中心線(青い点線)から右下にずれている割安銘柄について、トップ10のランキングを表にしました。表中の割安感解消のPBRは、各社の現在のROEで比例関係の中心線に乗る水準のPBRを示しています。


<モバイルゲーム業界割安株ランキング(トップ10)> # 社名 証券
コード 取引所 ROE PBR 割安感解消 PBR 上昇率 % 倍 倍 % 1 アカツキ 3932 東京 13 1.2 1.9 61 2 ディー・エヌ・エー 2432 東京 8 0.8 1.2 46 3 NC Corporation 036570 韓国 11 1.3 1.6 22 4 Gaming Realms GMR ロンドン 16 2.1 2.3 12 5 37 Interactive 002555 深セン 22 2.8 3.1 12 6 G-bits Network Technology 603444 上海 34 4.5 4.9 9 7 アエリア 3758 東京 4 0.6 0.6 8 8 Tencent Holdings 00700 香港 21 2.8 3 7 9 マーベラス 7844 東京 7 1 1.1 5 10 MIXI 2121 東京 10 1.3 1.4 4 全体平均(17社) 13 2.1 2.1 5 出所:各社資料より作成

 次にこれら10社について、PBRから計算される割安感解消上昇率(前掲)と、予想株価収益率(PER)から計算される割安感解消上昇率を比較しました。後者については、17社平均の予想PER12倍にまで各社のPERが上昇した場合、上昇率はどれくらいになるのかという観点で計算しました。加えて、今期の当期純利益増加率予想も併記しました。


<モバイルゲーム業界割安株トップ10の予想PERと当期純利益増加率> # 社名 割安感解消 予想PER 割安感解消 純利益
増加率予想 PBR 上昇率 PER上昇率 倍 % 倍 % % 1 アカツキ 1.9 61 8 34 27 2 ディー・エヌ・エー 1.2 46 7 60 106 3 NC Corporation 1.6 22 9 20 47 4 Gaming Realms 2.3 12 13 ▲16 18 5 37 Interactive 3.1 12 12 ▲13 16 6 G-bits Network Technology 4.9 9 12 ▲12 25 7 アエリア 0.6 8 10 2 42 8 Tencent Holdings 3 7 12 ▲9 35 9 マーベラス 1.1 5 13 ▲18 15 10 MIXI 1.4 4 11 ▲8 29 全体平均(17社) 2.1 5 12 ▲6 40 出所:各社資料より作成、▲はマイナスを示す

 このランキング1位で予想PERベースでも割安感があるのがアカツキ(3932 東京)(株価1,295円、時価総額467億円:10月9日終値)です。同社の株価は、これらの表に基づいて計算すると、PBRの割安感が解消される水準が2,080円(61%上昇)、予想PERの割安感が解消される水準が1,730円(34%上昇)です。


2010年設立で「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」を開発・運営

 アカツキは、スマートフォンゲームの開発・運営を主力とし、出版社がIPの収益化策拡大を図る流れの中、「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」などの人気タイトルに携わってきました。


 近年はゲーム事業で培ったIP活用や企画力を生かし、漫画、キャラクター関連、エンターテインメント、ライフスタイルなどへ事業領域を拡大。M&A(2026年6月にPR支援のサニーサイドアップグループ(2180 東京)のTOBを完了)を通じた収益基盤の多様化も進めています。


<提供中プロダクト>
ゲーム開発のアカツキに割安感、「怪獣8号」で再拡大期に(西 勇太郎)
出所:アカツキ資料

 創業は2010年で、一橋大学大学院MBA修了後、DeNAで広告事業を経験した塩田元規氏と、筑波大学卒業後にアクセンチュアでコンサルティングに従事していた香田哲朗氏が共同で設立しました。


 2016年に東証マザーズへ上場し、2017年には東証一部へ市場変更。

「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」や「ロマンシング サガ リ・ユニバース」などのゲーム事業の開発・運営で成長しました。2021年にはゲーム事業を分社化してアカツキゲームスを設立。


 2022年に東証プライム市場へ移行し、漫画、IP投資、エンターテインメントへ事業を拡大しました。2025年以降は「怪獣8号 THE GAME」の展開や企業買収を進め、現在はエンタメ、ライフスタイル、ソリューションの3領域を軸に多角化を進めています。


当期純利益は再度増加トレンド入りも株価は出遅れ

 アカツキの当期純利益は2019年3月期に80億円に迫る水準まで増加した後減少に転じ、2025年3月期以降、再度増加トレンドにあり、70億円台回復が見込まれています。


 これは、「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」や「ロマンシング サガ リ・ユニバース」などのヒットが2019年3月期のピークにつながった後、人気の落ち着きによる減収減益を経て、2025年以降は「怪獣8号 THE GAME」の展開で再度業績が拡大期に入ったものです。


<アカツキの当期純利益推移>
ゲーム開発のアカツキに割安感、「怪獣8号」で再拡大期に(西 勇太郎)
※2027年3月期は市場予想値出所:アカツキ資料などより作成

 株価については現在上昇トレンドに入りつつあるものの、下落幅の半分を回復するに至っておらず、出遅れ感がある状況です。


<アカツキの株価推移>
ゲーム開発のアカツキに割安感、「怪獣8号」で再拡大期に(西 勇太郎)
※2027年3月期は直近値出所:アカツキ資料などより作成

株主資本増加も株価は回復しきっていない

 アカツキの業績について最高益となった2019年3月期と2026年3月期を比較すると、売上高が0.9倍、営業利益が0.5倍、当期純利益は0.7倍となっております。他方、株主資本については順調に蓄積が進んだ結果、1.9倍に達しています。


 これに対し、時価総額は0.6倍とむしろ減少。結果的にPBRは3.7倍から1.2倍へと低下し、割安感が高まっています。この割安感が解消され、PBRがこの期間の平均水準である1.5倍にまで上昇した場合には、株価は1,670円(29%上昇)となります。


<アカツキの業績推移(2019年3月期以降)> (億円) 2019年3月期 2026年3月期 変化(倍) 売上高 281 259 0.9 営業利益 136 74 0.5 当期純利益 79 57 0.7 株主資本等合計 238 454 1.9 時価総額 882 532 0.6 PBR(倍) 3.7 1.2 - PER(倍) 11 9 - ※数値は四捨五入。端数処理の関係上、計算が合わない場合がある。
時価総額は期末時点値、2026年3月期は直近値
出所:アカツキの資料などより作成

 2027年3月期以降は、新作「怪獣8号 THE GAME」の寄与拡大、既存ゲームの収益最大化、開発費の一巡、スマートフォンソフトウエア競争促進法施行(2025年12月)によるプラットフォーム手数料の低下、AI活用による効率化、M&Aで拡大する新規事業の貢献により、増収増益が予想されています。


 株価水準がこのまま変わらなければPBRは1倍を割り込むことが見込まれます。


<アカツキの業績予想> (億円) 2026年3月期 2027年3月期 2028年3月期 実績 予想 予想 売上高 259 455 556 当期純利益 57 72 80 株主資本等合計 454 543 612 時価総額 532 532 532 PBR(倍) 1.2 1 0.9 PER(倍) 9 7 7 ※数値は四捨五入。端数処理の関係上、計算が合わない場合がある
出所:アカツキの資料などより作成

同業他社比、過去業績対比の両面で株価に割安感あり

 アカツキの現在の株価1,295円には、同業他社比、過去業績対比の両面で割安感があります。割安感が解消される水準は、1,670(29%上昇、過去実績ベース)~1,730円(34%上昇、予想PERベース)~2,080円(61%上昇、PBRベース)という状況です。


(西 勇太郎)

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