手元のカウンターで道路の交通量を観測する交通観測員が数を減らしています。5年に一度の一斉調査の際には、その人海戦術による対応が全国で見られましたが、国管理の国道では原則「人力廃止」の方針。

これで何が変わるのでしょうか。

全国の道路管理者が一斉に調査

 路上でカウンターを片手に交通量を測る「交通観測員」。学生などにとっては短期アルバイトの定番といえるものですが、数を減らしているようです。

 というのも、国が5年に一度実施している全国道路・街路交通情勢調査、通称「道路センサス」のデジタル化を進めているためです。道路の計画、建設、維持修繕などの基礎資料になるもので、戦前から長年にわたり実施されてきた全国規模の調査です。

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交通観測のイメージ(画像:写真AC)。

 この調査は通常、秋に実施され、国や都道府県、自治体、高速道路であればNEXCOなど、各道路管理者が全国津々浦々の道路で状況の観測を行います。

 項目は大きくわけて3つ。通過台数を測る「交通量調査」、その道路におけるクルマの平均的な通過速度を測る「旅行速度調査」、1台のクルマがどこからどこまで移動しているのかを調べる「自動車起終点調査」です。各事業者が行った調査結果を、最終的には国が取りまとめています。

「人手観測」なくしてどうなる?

 前回、2015(平成27)年度の調査では、国が直轄で管理する国道においては、約5割が機械観測を行っているとのこと。カメラやセンサー(トラフィックカウンター)により通過台数を計測しているといいます。

 ただ、地方の道路ではこうした機器が設置されていないところも多く、人を雇ってカチカチと手元のカウンターで測る「人手観測」が約6割。まさに人海戦術で行われており、国土交通省 道路経済調査室によると、今後は自治体レベルでの調査で人手観測がどれだけ減るかがカギになるとのこと。

 一方、旅行速度については地方においても、主にETC2.0のデータが活用されており、実際に走行して測る方法は、以前と比べて大幅に減っています。

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ETC2.0の走行情報をもとに実施された道路の安全対策の例(画像:国土交通省)。

 起終点調査については、過去には郵送、あるいは高速道路の料金所でドライバーを引き留めてアンケートを行うなど、「かなりアナログな方法」(国土交通省 道路経済調査室)が取られてきたといいます。近年はウェブ上での回答が増えているそうですが、将来的には「ETC2.0の情報など、いま取れているデータで自動的に調査する」方法を考えているとのこと。しかし技術開発が追い付いていないのが現状だそうです。

 なお、5年に一度の「道路センサス」の調査は2020年に実施される予定でしたが、新型コロナの影響で来年に延期されたということです。国土交通省 道路経済調査室によると、国管理の国道では次回調査から全面的に機械観測へ移行する予定だといいます。そして今後、「5年に1度」ではなく完全デジタルによる「常時観測」へ、5年を待たないスパンで移行していきたいとのこと。

 これにより、道路状況の変化をリアルタイムに把握でき、政策などへ柔軟に反映されていくことが期待されます。

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