救急搬送で救急車が高速道路を利用した場合、料金は患者負担になるのでしょうか。緊急走行時と、その「帰り」とで異なっていた扱いを、国が統一すると発表しましたが、背景には何があるのでしょうか。
国費を投じて新しい高速道路や有料道路が造られる際、「救急搬送の迅速化」というのは、整備効果としてよくうたわれることです。では、救急搬送時にそうした有料道路を走った場合の料金は、どう扱われるのでしょうか。
総務省消防庁によると、緊急走行の場合は「基本的に無料」だといいます。ただし、救急搬送からの「帰り」は、料金がかかるケースもあったそうです。
救急車のイメージ(画像:写真AC)。
というのも、緊急車両が緊急走行を行う場合に料金を徴収しない旨は、道路交通法や道路関連法令でも明記されていますが、救急車が病院へ搬送を終え、消防署に戻る際は「緊急走行」ではないからです。
総務省消防庁が全国32の消防本部へ「救急搬送先から帰署時の通行実態」をヒアリングしたところ、多く消防本部は「有料道路を無料で通行」と回答しましたが、これらは、地域ごとに道路管理者と取り決めを行っていたそうです。そして5つの消防本部は、「有料で通行」と回答しています。
料金は誰持ち?たとえば群馬県では、急いで帰署するため高速道路を通行する際は、基本的に有料で、その費用は各消防本部が負担していたのだとか。患者の都合により東京まで搬送するような場合は、患者に後日、高速道路料金を請求するケースもあったといいます。
群馬県消防保安課によると、救急車の帰署時における有料道路利用の扱いは明確でなかったと話します。帰署時に無料で有料道路を利用できれば、次の出動までの時間を短縮できることから、群馬県は国にルールの統一を要望。
群馬県によると今回、救急車は「料金を徴収しない車両」に含まれるという見解が示されたそうです。地元の上毛新聞は10月31日付けの記事で、これを受け群馬県内の消防本部からは歓迎の声が上がっていると報じています。
なお消防車などは、以前から国土交通省の告示で、帰路を含めて無料とされています。今回は、この告示に定める車両に救急車も含まれたということです。