中央新幹線での営業運転に向け、走行試験を続けている超電導リニアモーターカー。最新車両のL0系改良型試験車では、「未来の新幹線」の車内について、新しい形が見えてきました。

まず「頭上」と「足下」、そして「音」に注目です。

見えてきた? 実際のリニア中央新幹線車内

 建設が進められているリニア中央新幹線。開業に向けて、車内空間のブラッシュアップも進行中です。次世代の新幹線、その客室はどうなるのでしょうか。

 2020年8月17日から山梨実験線で新たに走行試験を開始した、超電導リニアモーターカーL0系の改良型試験車では、その新しい形が見えてきました。

 まずひとつのポイントは、「車内空間を広く明るく感じさせること」です。

500km/hで走る未来の新幹線「超電導リニア」客室空間はど...の画像はこちら >>

N700SとL0系(恵 知仁撮影)。

 東海道新幹線などを走るN700系の車体は幅3.36m、高さ3.6m、普通席は横5人掛け。対しリニアL0系は幅2.9m、高さ3.1m、普通席は横4人掛けと、車内空間が物理的に小さくなっています。またリニア中央新幹線は大部分がトンネルで、「車内の明るさ」は課題になるところです。

 そうしたなか、L0系の改良型試験車は「頭上」に工夫しています。

 7号車(品川方先頭車)は、継ぎ目のない柔らかみのある膜素材を天井に使用。

「白」を基調に、明るく広がるあたたかみのある空間が、間接照明でつくられています。荷棚も小型化されました。

 6号車(中間車)は「白」を基調に、こちらは直接照明で演出したとのこと。荷棚は天井が透けて見える骨組み状になっており、採光性と荷物視認性が高く、閉塞感の少ないものにされました。

足元は飛行機のようになったL0系改良型試験車

 こうした「車内空間を広く明るく感じさせること」や、それを狙った天井は、客室の足元にも変化を与えています。

 L0系改良型試験車は、そのために荷棚が小さくなっていることなどから、まるで飛行機のように、前席の下――自分の足下にも荷物の収納スペースが用意されています。

 また客室の前後に大型荷物用のスペース、荷棚も備えられました。

500km/hで走る未来の新幹線「超電導リニア」客室空間はどう進化する? 見えてきた姿

L0系改良型試験車の座席下(2020年10月、恵 知仁撮影)。

 L0系改良型試験車、車内もうひとつのポイントは「反射音の低減」です。

 リニア中央新幹線は大部分がトンネル。7号車、6号車とも異なる天井形状ですが、それぞれ反射音の低減を考えたものです。7号車は膜素材による平滑形状により、6号車は吸音素材(ガラス素材)を活用した凹凸形状により、その実現が図られています。

 実際にこのL0系改良型試験車の車内を見たところ、膜素材の7号車は、間接照明の効果、また前後方向の壁が黒だからか、高級感と落ち着きがある印象です。

 6号車は直接照明で、ストライプ柄のような天井であることから、7号車ほどの高級感や落ち着きは感じませんでしたが、幾何学的で、先進性やスピード感、カジュアルさが印象的。7号車はグリーン車、6号車は普通車っぽいという感じもしました。

 超電導リニアモーターカーについてJR東海は、すでに確立した実用技術について、さらなる保守の効率化や快適性の向上を目指し、走行試験を続けているといいます。未来の新幹線、その車内はどうなるのでしょうか。

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