2025年大阪万博の開催地となる大阪湾の人工島「夢洲」。いまは徒歩でのアプローチができず、交通機関は路線バスだけです。

更地が広がる現地は、今後どのように変貌していくのでしょうか。

橋とトンネルでつながる人工島「夢洲」

 2025年の開催が予定されている大阪万博。2020年12月1日にはフランス・パリの博覧会国際事務局(BIE)総会で開催が正式に承認され、これから世界各国への招請活動が本格化します。会場へのアクセス手段にも注目が集まることでしょう。

 万博会場は、大阪市此花区に属する人工島「夢洲(ゆめしま)」です。大阪湾に浮かぶ人工島3島(咲洲、舞洲、夢洲)の最も西側(海側)に位置し、海を隔てて咲洲(さきしま)と夢咲トンネル、舞洲(まいしま)と夢舞大橋でつながっています。

島内にはコンテナターミナルや物流センターなどがあるものの、大部分は更地です。この更地部分155ヘクタールを使って、万博会場が建設されます。

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夢舞大橋を行く路線バスから夢洲を望む。右奥の広大な空き地に万博会場がつくられる(2020年12月、乗りものニュース編集部撮影)。

 なお夢咲トンネルは自動車専用で、夢舞大橋には歩道部があるものの開放されておらず、いまは徒歩で夢洲に入ることができません。公共交通機関は、北港観光バスが運行する路線バス「コスモドリームライン」のみです。

 このバスは、大阪メトロ中央線と南港ポートタウン線が接続する咲洲のコスモスクエア駅から、夢洲を経由し、舞洲内を循環してコスモスクエア駅へ戻る運行が主ですが、夢洲内のバス停は2か所のみ、うち1か所は朝の通勤時間帯だけ停車します。なお、JRゆめ咲線(桜島線)のユニバーサルシティ駅や桜島駅からも、舞洲内でバスを乗り換えることにより夢洲へアクセス可能です。

 ちなみに、夢洲内の商業施設はコンビニエンスストアが1軒あるのみ。いまの夢洲は通勤など用事のある人か、クルマで通過するだけの人しか立ち入る機会のない場所といえるでしょう。今後、どう変わっていくのでしょうか。

地下鉄延伸用の海底トンネル「もうできてます」?

 大阪市の国際博覧会推進室によると、今後は地下鉄中央線がコスモスクエア駅から夢洲駅(仮称)まで延伸する計画で、すでに工事も始まっています。

 このほか、JRゆめ咲線や京阪中之島線を夢洲まで延伸させる案や、近鉄が新たに車両をつくり、近鉄奈良線~同けいはんな線~大阪メトロ中央線の直通運転を行う案も検討されているものの、これらはどれも決まっていないといいます。

 うち、JRと京阪の延伸案は「北ルート」と呼ばれるものですが、未だ構想段階であり、工事も間に合わないとのこと。また万博アクセスに際し、舞洲と夢洲のあいだに新たな道路橋を架ける案も浮上しましたが、これも「なくてもよい」ということで合意ができているそう。

 このほか、大阪や新大阪、天王寺、難波といった主要駅と夢洲を直通する「駅シャトルバス」と呼ばれるものも、万博の交通機関として計画されているといいます。夢洲駅周辺にはバスターミナルも設けられるとのこと。

大阪万博の開催地「夢洲」どんなとこ? 徒歩じゃ入れぬ人工島 アクセスどうなる

夢洲駅イメージ図(画像:大阪メトロ)。

 さらに、マイカーによるアクセスのため、会場行きバスへの乗り換え拠点となるパーク&ライド駐車場を舞洲などに複数整備するそうです。夢洲の万博会場へは、マイカーを直接乗り入れさせない想定だといいます。これらが、パリのBIEに承認された登録申請書に書かれた会場アクセス案だそうです。

 なお、地下鉄中央線のコスモスクエア~夢洲間については、夢咲トンネル建設時にその準備工事も行っていたそうで、実は夢咲トンネルには道路用トンネル2本のあいだに、鉄道用トンネル2本ができているのだとか。夢咲トンネルの夢洲側から夢洲駅まで、さらに0.9kmの区間は新規に建設されるといいます。