ANAが新技術の実験の場としていることから、将来空港の実験場と化している「裏最先端空港」の佐賀空港。今回のテストは、次世代アイテムを用いて、手荷物を対象便に搭載するまで一連の工程を試すというものです。
ANA(全日空)が豊田自動織機とタッグを組み、佐賀空港の貨物の荷捌きと一時保管を行う施設「貨物上屋」にオペレーション実験場を設置したといいます。それに伴い2020年12月14日(月)から12月18日(金)までの5日間、テクノロジーを活用した新たな航空機地上支援(グランドハンドリング)設備の技術をテストするとのことで、16日(水)、その様子が報道陣に公開されました。
ANAなどにより佐賀空港で実施された「手荷物積み付けロボット」と「自動運転トーイングトラクター」を用いた実証実験の様子(2020年12月16日、乗りものニュース編集部撮影)。
ANAは佐賀空港を新技術の実験の場とする「イノベーションモデル空港」に位置づけています。ここでは、利用者が普段立ち入ることができない空港のウラ側を中心に次世代アイテムが試験運用されており、いわば「裏最先端空港」といえる場所となっています。
今回テストされるのは、旅客がカウンターで預けるキャリーケースなどの預け手荷物にかかわる新技術。普段はグランドハンドリングスタッフの人手によって、対象便まで運んでいる、この一般的な作業を、実験場に新設された「手荷物積み付けロボット」と、これまで実用化に向けてテストを重ねてきた「自動運転トーイングトラクター」を組み合わせることで、手荷物を空港カウンターから対象便に搭載するまで一貫した工程を無人の全自動で行うというものです。
貨物上屋内に設置された「手荷物積み付けロボット」は、飛行機に搭載するコンテナに預け手荷物を積むことができる日本初のアイテム。大きさ、重量の制限はあるものの、ソフト・ハード双方のスーツケースを縦・横どちらの向きでも積み付け可能で、担当者によると「およそ8割の荷物は自動で積み付けできる」(ANA)といいます。また、スーツケースのサイズ情報を読み取り、高効率かつ荷崩れの少ない積み付け位置を演算。並び替えながらふたつのコンテナへ同時に積み付けできるそうです。
利用者にメリットもあるかも 無人のクルマも走るコンテナへ積むまでの時間についても、「手荷物積み付けロボット」は、人手を用いた場合と比べ、荷物ひとつあたり約5秒短縮。

佐賀空港に設置されたANAなどの「手荷物積み付けロボット」(2020年12月16日、乗りものニュース編集部撮影)。
これまで佐賀空港などで実証実験を重ねてきた「自動運転トーイングトラクター」も進化。これまでは、緊急時対応のため運転手が乗車した状態で自動走行をテストしていましたが、今回ついに運転席が無人の状態で、「積み付けロボット」が積んだ荷物の入ったコンテナを引っ張り、貨物上屋周辺の制限エリアを自動走行。運航の監視は、タブレットなどのモバイル端末を用いて実施されます。
ANAはこのテストを「技術面および運用面の課題を早期に洗い出すとともに、前後の工程との連携や業務の効率化に向けた検証を実施し、新たな空港地上支援業務モデルの構築につなげていく」としています。