ホンダ、カワサキ、スズキヤマハのバイク大手4社がタッグを組み、電動バイクの「交換式バッテリー」の標準化に合意しました。各所で充電しながらの電動バイクの旅も、趣旨が変わるかもしれません。

大手4社タッグ!

 ホンダ、カワサキ、スズキ、ヤマハのバイク大手4社が立ち上げた「電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアム」(以下、コンソーシアム)は2021年3月26日(金)、日本での電動バイク普及に向け、相互利用を可能にする交換式バッテリーと交換システムの標準化(共通仕様)に合意。同日に合同の説明会を開きました。

 電動バイクの課題である航続距離と充電時間の問題を解決し、電動バイクを広く普及させるため、4社はこの交換式バッテリーの仕様について約2年にわたり検討を重ねてきました。

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バッテリー交換式のホンダ「ベンリィ e:」。

 一般的に電動バイクは、電欠(電池切れ)すれば動かなくなり、充電に時間がかかることは、電動バイクで旅をするテレビ番組を通じて広く認識されていることでしょう。交換式バッテリーは文字通り、充電済みのバッテリーに丸ごと交換することで、充電時間を気にすることなくすぐに走り出せるようになります。

 この方式は台湾などで広く普及しており、街なかに整備されたバッテリーステーションでユーザー自信がバッテリー交換を行っています。つまり、バイク側だけでなくインフラ整備が必要であることからも、大手4社で仕様を共通化させて導入しやすくする狙いがあります。

 ホンダ二輪事業本部 事業企画部長の三原大樹さんは、「世界で初めての共通仕様の実現です。スケールメリットが大きくなり、お客様に還元することができます」と胸を張ります。また、バイクのバッテリーとしてだけでなく、非常用電源など多用途の利用も考えられるということです。

バッテリーステーションはどう整備?

 ホンダはすでに交換式バッテリーを搭載した原付を数機種発売していますが、これらのバッテリーは、今回決められた標準のものではないといいます。

 ヤマハ発動機のMC事業部 戦略統括部長の有西達哉さんによると、今回はバッテリーの構造や電気特性、保護回路などについて仕様を取り決めたとのこと。ここから先は各メーカーの競争領域であるとして、バッテリーの具体的な航続距離や電池容量などの性能について各社、明言を避けました。ただホンダの三原さんは、既存のホンダの交換式バッテリーを用いる機種の航続距離よりも、1.2倍から1.3倍にしたいと話します。

電動バイク旅番組も趣旨変わる? バイク大手4社 交換式バッテリー標準化に合意

質疑応答を受ける4社の代表(画像:川崎重工業)。

 また、バッテリーステーションの設置についても、具体的な整備スキームなどは決まってはおらず、政府や自治体、石油会社、電力会社、あるいは日本自動車工業会などの協力を仰ぎたいということです。一方でホンダは日本郵政と連携し、郵便局にバッテリーステーションを整備する構想を持っています。

 5月には欧州でも、ホンダ、ヤマハ、オーストリアのKTM、イタリアのピアッジオによる交換式バッテリーの標準化に向けたコンソーシアムが立ち上がる予定で、今後、この方式が世界各地でそれぞれ検討されていく可能性があります。日本勢の4社としては、国際的な相互利用についても、日本自動車工業会を通じて積極的に働きかけていきたいということです。