世界遺産である奈良の平城宮跡を東西に貫く近鉄奈良線の移設が決定しました。地下化による周辺の踏切の除去が目的ですが、現ルートでの地下化は困難とされました。
奈良県と近畿日本鉄道が2021年3月25日(木)、近鉄奈良線 大和西大寺~近鉄奈良間の移設と大和西大寺駅の高架化を盛り込んだ事業計画を国土交通大臣に提出しました。
奈良線は、国営平城宮跡歴史公園を横切る区間を移設したうえで地下化する計画です。大和西大寺駅に交わる近鉄京都線と橿原線も一部高架化し、8つの踏切をなくすことを主目的としています。
平城宮跡を横切る近鉄電車(画像:写真AC)。
奈良線のルートは、高架の大和西大寺駅を出ると南へ進路を取り、平城宮跡を避けて、大宮通りに構築する地下線へ入ります。そのまま、近鉄奈良駅付近の既存の地下線へ接続する計画です。奈良県県土マネジメント部によると、奈良線の現ルートでの地下化も検討はされたものの、たとえ地下であっても国営公園内に新線を構築しないことになったといいます。
そもそもなぜ、世界遺産にも登録されている平城宮跡を線路が横切っているのでしょうか。
奈良県県土マネジメント部によると、近鉄奈良線が開通した1914(大正3)年当時、線路の周辺は田畑が広がっていたといいます。その後になって平城宮の跡地が特定されていき、「(2000年代に)国営公園化が決まった頃から、線路の移設が検討されていました」と話します。
近鉄3線が交わるジャンクションである大和西大寺駅の高架化も、相当な年月を要すると考えられます。
※一部修正しました(3月29日9時54分)。