福岡県の北九州空港は、当初から現在の場所にあったわけではありません。移設前の「旧空港」は現在、どうなっているのでしょうか。

閉鎖から15年、現在の様子を見てきました。

2006年まで使用

 福岡県には、国内有数の利用者数を誇る福岡空港のほかにもうひとつ、北九州空港があります。同空港は2021年現在、北九州市内の海上に位置していますが、かつては、市内の別の所にありました。

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1970年代の旧北九州空港の航空写真(画像:国土地理院)。

 旧北九州空港は現在の空港から約8km西、小倉南区曽根北町に位置していました。その前身は、戦時中に設けられた陸軍の曽根飛行場です。

 この旧北九州空港について国土交通省九州地方整備局は、「滑走路長が1600mと短く小型ジェット機が就航していたが、市街化が進み、騒音のため最大1日6往復12便と運航の制限があった」「三方を山に、一方は曽根干潟に囲まれているため、大型機就航のための拡張も困難であった」と説明します。このため現在の北九州空港へ機能を移管し、2006(平成8)年にその役目を終えました。

 新空港の開港後、旧空港は「北九州空港跡地産業団地」として再整備されています。旧空港は「九州自動車道やJR駅に近接し交通利便性に優れた立地」(北九州市)とされ、2021年現在、滑走路や誘導路があった場所には、各社の倉庫や工場などが立ち並んでいます。また旧滑走路西側(RWY11)の末端付近は、2011(平成23)年に九州労災病院が移転してきたためか、同エリア付近には薬局があり、そのほかに住宅街なども見られます。

 なお、旧空港のシンボルであった管制塔は2012(平成24)年まで残ったものの解体され、いまや「ここが空港だった」痕跡はほとんど見られません。

 旧空港が午前7時30分から21時30分と限られた運用時間だったのに対し、海上に設けられた現空港は24時間運用も可能になりました。そのため、空港移転と同時に北九州を拠点として運航を開始したスターフライヤーが、深夜早朝便を運航していたほか、発着時間が予定と変わりやすい国際航空貨物便の定期便も発着し、物流拠点としての顔を持つように。全国屈指の発着回数をもつ一方で制限も多い福岡空港とは異なった意味で、北九州空港は九州内で大きな存在感を放っているといえるでしょう。

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