暫定2車線の対面通行区間だった、常磐道の福島県いわき市以北の改良が進んでいます。最高速度が低く、追い越しもできない区間の改良により、東北道のバイパスとしての機能強化が見込まれますが、時間や距離はどう違うでしょうか。

4車線化事業が進展 常磐道のいわき以北

 常磐道で暫定2車線の対面通行区間だった、いわき中央IC(福島県いわき市)以北の改良が進んでいます。

 2021年6月13日(日)から、いわき四倉IC~広野IC間の一部区間(約4km)が4車線運用となり、いわき中央ICから広野ICまでの約27kmにおいて4車線化が完了します。これに先行し、宮城県側の山元IC~岩沼IC間およそ13.7kmも、3月に4車線化されました。

 また両区間の中間にあたる、広野IC~山元IC間およそ87kmについても、うち約13.7kmに付加車線が整備され、追い越しができる区間が増えました。さらに2020年度と2021年度で、計7.9kmの付加車線設置工事も事業化されています。

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暫定2車線区間の南相馬IC付近。
2018年(中島洋平撮影)。

 常磐道は2015(平成27)年に全線開通し、外環道から仙台のあいだで東北道のバイパスとなりました。しかし暫定2車線区間は最高速度が70km/hに制限されます。全線開通で交通量が増加したことで、暫定2車線区間での速度低下や、反対車線へ突破する重大な衝突事故、通行止めの発生などが課題となったことから、4車線化事業が進められてきたのです。

 改良により東北道のバイパスとしての機能強化が図られた常磐道ですが、実際に所要時間などはどう変わるのでしょうか。

距離が短いのはどっち? 所要時間は?

 3月に4車線化された宮城県側の山元IC~岩沼IC間(13.7km)は、同時に最高速度が70km/hから100km/hに引き上げられました。

そして6月に4車線化が完成するいわき中央IC~広野IC間(約27km)も同様に、100km/hまで引き上げられる予定です。

 NEXCO東日本東北支社によると、いわき側の速度引き上げ後、東北道と常磐道とで比較した外環道~仙台市内の距離と所要時間は、次の通りになるといいます。

●東北道:川口JCT~仙台南IC
・距離:326.8km
・所要時間:3時間22分

●常磐道:三郷JCT~仙台東IC(仙台東部道路)
・距離:320.0km
・所要時間:3時間46分

 いずれも東北道、常磐道を起点からまっすぐ進み、仙台市内で最初のICまでを比べましたが、仙台南ICよりも仙台東ICのほうが北に位置しており、常磐道のほうが距離は若干短いことがわかります。

 しかし所要時間は常磐道のほうが24分多くかかります。これは、東北道がほぼ全区間で最高速度が100km/hなのに対し、常磐道に残る暫定2車線区間およそ87km(広野IC~山元IC)は、一部に付加車線が整備されたとはいえ、最高速度が70km/hのままだからです。

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4車線化工事中のいわき中央IC~いわき四倉IC間。
2020年2月(画像:NEXCO東日本)。

 ただ、常磐道は東北道と比較すると交通量が少なく、ゴールデンウイークなど多客期にも、東北道ほど長い渋滞が発生しない傾向があります。コロナ以前、NEXCO東日本関東支社の渋滞予報士(当時は外山敬祐さん)は、正月のUターンラッシュにおいて同じ時間に仙台エリアを出発したクルマが外環道まで到達するのに、常磐道経由のほうが1時間早くなった事例もあると話していました。

 ちなみに、3月の4車線化で最高速度が引き上げられた宮城県側の亘理IC~岩沼IC間では、暫定2車線時と比べ、通勤・通学時間帯や帰宅時間帯においても混雑が緩和され、旅行速度が大幅に改善しているそうです。