リニア中央新幹線の開業後、東海道新幹線のダイヤはどうなるのでしょうか。推測してみたところ、停車駅を増やし利便性を高めても、所要時間は短いぐらいにできました。
JR東海が建設を進めているリニア中央新幹線。完成すると、現在「のぞみ」で2時間20分程度の品川~名古屋~新大阪間が、半分の最短1時間7分で結ばれる予定です。
このリニア中央新幹線が完成したら、東海道新幹線はどんなダイヤになるのか、推測してみました。
スプリンクラーの散水を受けながら米原駅を通過するN700系(恵 知仁撮影)。
前提として、次の具合でしょうか。
リニア中央新幹線も東海道新幹線も、客を奪い合わない形で利用者を増やす。
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リニア中央新幹線が通らない地域で、東海道新幹線の利便性を高める。
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リニア中央新幹線とかぶる「のぞみ」は不要。「ひかり」の利便性を高める。
よって、現在の「ひかり」停車駅――小田原、熱海、三島、静岡、浜松、豊橋、岐阜羽島、米原駅の利便性を高めることにします。
基本の運転本数は、現在と同じ「ひかり」「こだま」とも毎時2本とします(うち「こだま」1本は東京~名古屋間の運転)。
仮想ダイヤでは、「ひかり」の停車駅パターンを次の2つにしました。
「ひかりA」「ひかりB」の2パターン 停車駅増えても所要時間短く・「ひかりA」
東京、品川、新横浜、熱海、静岡、浜松、豊橋、名古屋、岐阜羽島、米原、京都、新大阪
・「ひかりB」
東京、品川、新横浜、小田原、三島、静岡、浜松、豊橋、名古屋、米原、京都、新大阪
全列車が「東京、品川、新横浜、静岡、浜松、豊橋、名古屋、米原、京都」に停車し、加えて「小田原、熱海、三島、岐阜羽島」のうち2駅へ順番に停車。各駅の列車本数は、次のようになります。
・「ひかり」「こだま」とも毎時2本ずつ(合計4本)停車
東京、品川、新横浜、静岡、浜松、豊橋、名古屋、米原、京都、新大阪
・「ひかり」が毎時1本、「こだま」が毎時2本(合計3本)停車
小田原、熱海、三島
・「ひかり」「こだま」とも毎時1本ずつ(合計2本)停車
岐阜羽島

リニア中央新幹線と東海道新幹線(国土地理院の地図を加工。おおよその位置)。
所要時間について現在の「ひかり」は、この仮想ダイヤより3駅停車駅が少ない列車で2時間54分です(東京~新大阪間)。
それが仮想ダイヤでは、現在より停車駅が3駅多い「ひかりA」「ひかりB」とも、2時間50分で結べました。「のぞみ」の通過待ちがなく、列車の運行密度にも余裕があるためです。
「そうだ 静岡、行こう。」が必要になる?今回の仮想ダイヤでは、三島、静岡、浜松、豊橋、米原駅で「ひかり」の停車本数が倍増し、小田原、熱海駅でも「ひかり」の停車が大幅に増加。それでいて所要時間はやや短い具合にできました。
リニア中央新幹線の開業効果は、その沿線でなくとも十分に得られるといえるでしょう。

超電導リニアL0系の改良型試験車(恵 知仁撮影)。
ただ、リニア中央新幹線の開業でJR東海は、また別の大きな仕事も背負うことになります。東海道新幹線とその沿線の活性化です。
「東京~名古屋~大阪間の移動」という大きな需要がリニア中央新幹線に移った「巨大インフラ『東海道新幹線』」をどう生かし、維持し、収益を出していくか。列車の利便性を高める以外にも、「そうだ 静岡、行こう。」的なさらなる沿線への誘客施策が継続的に求められそうです。
また活性化施策として、リニア中央新幹線と競合しない区間に限り、チケットレスサービスの「スマートEX」を使うとお得に乗れる、お得なツアー商品が発売される、といった展開も考えられます。
リニア中央新幹線開業後、それが通らない東海道新幹線とその沿線でも、色々な進化の可能性がありそうです。