「百万ドルの夜景」などとも呼ばれる有名な函館の夜景写真について、地図会社のゼンリンによるツイートが話題に。これまでの認識が「勘違いだった!」という人が続出しました。
「突然なんですが… 函館のこの有名な夜景、マルで囲ったあたりだと思ってたことがある人(今も思ってる人含む)RTもしくはリプいただいてもいいですか? 実は相当いらっしゃるんじゃないかと思ってます」
地図会社のゼンリンが2021年11月9日、このようなツイートをしたところ、3日間で2000件を超えるリツイートとともに、「以前はそう思っていた」といった趣旨のコメントが多数寄せられていました。
この写真、「百万ドルの夜景」とも称される「函館の夜景」としてよく用いられる構図です。陸地が画面中央を貫きつつ、その中ほど左右に湾があり、画面奥に行くにつれ陸地が末広がりになっています。陸地部分には光が見え、海岸線も浮かび上がることから半島の地形が見て取れます。
ゼンリンはこの写真を、地図で渡島(おしま)半島の「首」にあたる中ほどを、マルで囲った画像とともに紹介しています。函館は、そのマルの範囲外。つまり、「函館の夜景」と認識しつつも、渡島半島の広い範囲を写したものと勘違いしている人が少なくなかったということです。
函館の夜景。ただ「どこを見ているものか」「どこから撮影されたのか」がしばしば話題になる(画像:写真AC/地理院地図を加工)。
では実際はどこが正解なのでしょうか。もしゼンリンが地図上の地域を見ているとすれば、渡島半島全域が平野で、また市街地化されていることになります。
写真の撮影場所は函館市内の函館山山頂です。函館市の地図を見ると、平野から南西に向かってさらに半島が突き出しています。写真はまさにこの半島を写したもので、山頂から北東方向、五稜郭の方面を見たものです。
なぜ勘違いが起きるのか――それは、北海道の形を特徴づける渡島半島と、街としての函館のおおまかな位置は知られており、いざ写真を見た際、夜景が縁取る海岸線が渡島半島を想起させるためでしょう。実際にはスケールがまったく違います。
ちなみに函館山へはロープウェイがあるほか、ふもとの市街地には市電が走っています。