ジェット旅客機が安全に離着陸できる最低滑走路長とされる1500m。実はこういった環境下で定期便が就航する空港が、丘珠空港です。
ジェット旅客機が安全に離着陸を実行できる滑走路長の最低ラインは、一般的に1500mといわれています。とはいっても、国内でジェット旅客機が就航する空港の大多数では、2000m以上の滑走路が設置されており、それより短い滑走路しか持たない空港の場合、プロペラ駆動のターボプロップ機の発着がメインとなってます。
丘珠空港のFDA機(2021年7月、乗りものニュース編集部撮影)。
しかし国内で、1500m以下の滑走路にジェット機が離着陸する空港が存在しないかというと、そうではありません。もっとも知られていたのが、沖縄県の旧石垣空港です。この空港の滑走路は1500m。2013(平成25)年に新空港が供用されるまでは、この短い滑走路で、日常的にボーイング737などが離着陸していました。
先述のとおり、石垣空港は2021年現在、設備の整った新空港へ移行しています。ただ現在も、国内で旧石垣空港とほぼ同様の運用を行うところがあります。北海道の丘珠空港です。
丘珠空港は道都・札幌市内に位置します。
そして、旧石垣空港の名物でもあった「ロケットスタート」という独特の離陸が、丘珠では今も実施されています。FDA協力のもと、実際の便で体験してきました。
「ロケットスタート」の便に乗ってみた通常、旅客機が十分な長さをもつ滑走路から離陸する場合は、エンジンパワーを途中まであげた状態から滑走を始め、回転数を安定させたのちに出力を最大にセットします。旅客にとっては、少し走り始めてから、エンジン音が大きくなるとともに大きな加速度を感じます。

丘珠空港(2021年7月、乗りものニュース編集部撮影)。
一方、丘珠で実施される「ロケットスタート」は、最初にエンジンをフルパワーにしてから、ブレーキを解除し、一気に加速する離陸方法です。
旅客にとっては、機体が停止した状態でエンジンがフルパワーまで上がるため、そのときに独特の音や振動を感じます。エンジン音と機内の振動がもっとも大きくなった途端、一気に加速します。そのスリリングな感覚たるや、「ロケット」と例えられるのも納得です。
なお、丘珠空港にFDA季節便が就航したのは、2016(平成28)年のこと。