全国の高速道路のなかで特例的に高速道路料金が安く設定されているのが、沖縄道です。35.5%の特別割引が全車に設定されているほか、一部のETC割引も重複適用され、かなり安くなります。

なぜ他の地域と異なるのでしょうか。

安い、安すぎる!沖縄の高速道路料金

 NEXCO西日本が2022年3月30日、沖縄道で実施している料金の特別割引措置を1年延長し、2025年3月末まで実施すると発表しました。

高速料金いつでも約36%引き!? 沖縄だけ異様に安い理由 特...の画像はこちら >>

料金が割安に設定されている沖縄道(画像:写真AC)。

 沖縄本島の南北を結ぶ沖縄道では、全線・全車種で35.5%の特別割引が適用されているほか、北側の石川IC~許田ICではさらに、キロあたりの料金も全国の普通区間より若干安く設定されています。那覇IC~許田IC間57.3kmの全線を走行した場合、普通車で1040円となっています。

 これに加え、ETCの深夜割引30%や、事業用車に適用される最大50%の大口・多頻度割引、ETCマイレージサービスによるキャッシュバックがなされる平日朝夕割引も適用されます。ただし、他県で設定されている休日割引は対象外です。

 この、沖縄道の異様に安い特別割引の始まりは、20年以上前にさかのぼります。

 政府の沖縄緊急経済対策として1999(平成11)年に導入された「沖縄特別割」が発端。2010(平成22)年から翌年にかけての高速道路無料化社会実験による無料化を経て、特別割引は継続しています。

「沖縄本島は鉄軌道がなかったため、著しい交通渋滞が発生していました。割引には、高速道路の利用を促し一般道の混雑を緩和する目的があります。

北部から那覇方面への通勤や、観光客の定時速達性を高める意味でも行われています」

 沖縄県交通政策課はこう説明します。その交通混雑は、軌道路線である「ゆいレール」(沖縄都市モノレール)が開業してからも解決されず、路線バスも30分から1時間ほどの遅れが発生するケースがあるとのこと。高速道路の割引は、その混雑緩和に一定の効果を発揮しているからこそ、継続しているのだといいます。

 なお、ETC割引のうち休日割引が適用外なのは、休日割引の地域振興という本義が特別割引で果たされているためだそうです。

沖縄ならではの課題も

 全車種・全時間帯適用の特別割引に加え、さらにETCの各種割引が適用されれば、かなりお得になる沖縄道。しかしながら、他地域とは異なるひとつの「課題」も生じています。それはETC普及率の低さです。

 ETCの利用率は全国平均で約92%に達しているのに対し、沖縄道では約65%と、27ポイントも低い水準にとどまっています。年々上がってきているものの、その伸びは1年で1~3%程度だとか。

 このため、料金所に起因する渋滞が、2019年には140件発生。ランプなどでの追突事故も全国平均の約2.7倍だそうです。ちなみに、料金所に起因する渋滞はETC普及とともに減っており、他地域のNEXCOが管轄する道路においては、渋滞の主たる要因ではなくなっています。

 ETC普及率が低い原因について沖縄県交通政策課は、判然としないといいますが、今後もNEXCO西日本などと連携を強化して普及に取り組むと話しました。

編集部おすすめ