追越車線を走り続けるのは違反、かつ、混雑時には渋滞を助長することもわかっています。それでもやはり、追越車線の利用が集中してしまうことも。
高速道路で一番右の追越車線を走り続けるのは違反ですが、それでも、追越車線ばかり走るクルマを見かけます。速く走りたい一心の人もいるでしょうし、無意識に走ってしまう人など、理由はいろいろ考えられます。
写真はイメージ(画像:写真AC)。
しかし、追越車線こそ、あまり走りたくないという人も少なくありません。乗りものニュースで以前、片側3車線の高速道路を想定して「あまり走りたくない車線」について読者アンケートをとったところ、618人のうち最多の40.6%が「追越車線」と回答。女性に限ると69.7%に上りました。
その理由は、「出口に行くとき車線変更が大変だから」「軽でスピードがでないから」「流れの速さや、後続に気を遣うため」といったものでした。
逆に「実際の運転で主に走るのはどの車線か」を聞いたところ、追越車線と答えたのは、わずか10.0%でした。ふだんから追越車線を走りたいと思っている人は、それほど多くないのかもしれません。
では、左側2車線をあまり走りたくないと答えた人の意見はどうでしょうか。
左の第一車線については「トラックが多いから」「クルマの速度差が大きすぎて走りにくい」、中央の第二車線については、「左側の走行車線の車両の速度より明らかに遅い車両が、我が物顔で走っていたりする」「自分のペースで走れない」といった意見がありました。
それぞれの車線を走りたくない理由には、運転の慣れの違いも見られます。ただ、混雑する区間だと、状況が異なるケースもあるようです。
混雑すると追越車線に集中しがち その結果NEXCO東日本が2017年に、東北道上り線の渋滞ポイントである佐野藤岡IC~館林IC間にて、車線の利用率を調べたところ、第1走行車線、第2走行車線、追越車線の利用率がそれぞれ20%、36%、44%だったといいます。先のアンケートで追越車線を主に走ると答えた人が10%だったことからすると、大きな乖離です。
混雑区間では、速く走りたい気持ちが高まり、追越車線に利用が集中する傾向があるといいます。
その結果、車間が詰まり、ブレーキが後続に伝播して、渋滞の発生を早める要因になるとのこと。そこでNEXCO東日本は、左側車線の利用を促し、車線の利用率を平準化して渋滞緩和につなげる取り組みを行ってきました。

びっしり渋滞中、早く移動できる車線はあるのか(画像:写真AC)。
では、3車線ともびっしり渋滞となってしまった場合はどうでしょうか。追越車線に限りませんが、隣の車線が流れ出すと、そちらへ移動しようとする人も少なくありません。
これについて、NEXCO東日本によると、ICの合流などが関係しない場所であれば、どの車線を走行しても通過時間に大きな差はないといいます。