中央道の「相模湖東IC」は、下り線の出口のみが設けられた珍しいICです。なぜ、出口1本のみなのでしょうか。
NEXCOが管轄する高速道路には、入口がなく“出口1か所のみ”すなわち1方向にしか進行できないという珍しい形式のICも存在します。そのひとつが中央道の八王子JCT~相模湖IC間にある「相模湖東IC」です。
相模湖東ICは下り線のみにある(ドラレコ画像)。
このような進行方向に制約のあるICは「ハーフインター」などと呼ばれ、首都高などの都市高速では、むしろ多数派です。首都高4号線と連続する中央道では、起点の高井戸ICも下り線(中央道)の入口がないものの、首都高側に上り線の高井戸入口があります。
そうしたなか、下り線の出口のみという相模湖東ICは、中央道では唯一の存在です。なぜこのような珍しいICができたのか、NEXCO中日本八王子支社に聞きました。
――相模湖東ICはいつ、なぜできたのでしょうか?
1968(昭和43)年12月に八王子IC~相模湖IC間が開通した当初から存在し、このときから下り線の出口のみでした。ICの通し番号「7」が振られているのも、当初から計画されていたことを物語っています。
明確な記録はないものの、当時は相模湖をレジャー施設として開発する構想があり、その最寄りとして、とりあえず東京方面からの出口だけを設けたのでしょう。これに対し、地域の生活利用や将来の交通量も考慮し、隣の相模湖ICをフルインターとして整備したと考えられます。
入口があると便利なのに…相模湖から相模川にかけての谷の北側には、旧相模湖町と藤野町(いずれも現・相模原市)の市街地が形成されていますが、相模湖ICはそのほぼ中間に位置します。
これに対し、ほぼ“相模湖直結”ともいえる位置にあるのが相模湖東IC。現在も相模川南岸のレジャー施設の最寄りICとなっています。
では、せめて相模湖東ICの上り線入口だけでも作る予定はなかったのかと聞いたところ、そのような記録はなく、そもそも地形が急峻なため難しいといいます。下り線の出口も、谷の上を通る中央道から長い下り坂のランプを経て国道20号へ取りついています。

相模湖東ICのランプは長い下り坂。上が中央道(画像:Google Earth)。
この相模湖東ICは、小仏トンネル(東京と神奈川の境)のすぐ西側に位置します。仮にここへ上り線の入口ができれば、同トンネルを先頭とする上り線の長い渋滞を避け、トンネルのすぐ手前で合流することも可能になるのですが……。
「そもそもの渋滞を抜本的に解決すべく、上り線側に新しいトンネルを掘り、車線を増設する工事を進めています」(NEXCO中日本八王子支社)とのことでした。