東京都葛飾区の京成高砂駅周辺は、鉄道の立体化を契機とした大改造が想定されています。ただ難問は駅近くにある京成電車の車庫。

これを移転させる計画もあります。

高架化実現へ一歩進む 難問は車庫

 下町の雰囲気が色濃く残る東京都葛飾区の京成高砂駅周辺が大きく変わりそうです。駅周辺は、鉄道の立体化を契機とした大改造が想定されています。

下町の要衝「京成高砂駅」の大改造が準備着々 悪名高い“開かず...の画像はこちら >>

京成の車両(画像:写真AC)。

 京成高砂駅は、京成本線や金町線、北総線(成田スカイアクセス線)が乗り入れる東京東部エリアの要衝です。現在は京成「スカイライナー」こそ通過するものの、「快特」や「アクセス特急」は停車するほか、都営浅草線方面や上野方面への始発列車もあります。京成本線や北総線は地平ホーム、京成金町線は高架ホームに発着。京成本線と金町線の乗り換えは、同じ会社の路線にも関わらず改札が別になっている変わった特徴もあります。
 
 都心や空港への利便性が高い駅ですが、駅の東側に「開かずの踏切」が2か所存在します。交通結節点で列車本数が多いだけでなく、電車が駅構内にいる時点から踏切が作動して遮断時間が長くなり、道路の渋滞も慢性化しています。さらに駅前広場がなく、歩道も狭いなど、課題は山積みです。
 
 そうした状況の中、京成高砂~江戸川付近の連続立体交差事業が、2022年に新規着工準備箇所として採択されました。

線路を立体化して「開かずの踏切」を除去する準備は整ってきています。
 
 立体化にあたっては、駅の東側にある車庫「高砂検車区」が障害となります。そのため、車庫を現位置から南東に800mほど移転することが想定されており、都営高砂住宅の建替えで創出される土地(高砂4丁目)に新たな車庫を整備することが検討されています。

駅の高架化見据え再開発計画も着々

 区は2020年、駅周辺を対象に「高砂駅周辺まちづくりプラン」を策定しました。駅前広場の整備や再開発の促進、駅前と都市計画道路とを結ぶアクセス道路整備などを盛り込んでいます。現在の鉄道車庫跡地には、広域的な商業・業務機能、居住機能を誘導するとしています。
 
 駅の北口では2021年、地権者による「京成高砂駅北口地区市街地再開発準備会」が設立され、再開発の検討が始動しています。2023年度は再開発の建物計画案を作成し、「準備会」から「準備組合」への移行を判断する方針です。
 
 今後は、駅周辺で鉄道立体化や車庫移転、再開発や基盤整備など、多くのプロジェクトが連動する大改造が見込まれます。実現の難易度は高そうですが、街の雰囲気が大きく変わりそうです。

 ちなみに京成高砂駅は、もともと1912(大正元)年に「曲金(まがりかね)駅」として開業しましたが、地元から読みにくいという声があり、 周辺の地名「曲金村高砂」にちなんで早くも翌年に「高砂駅」へ改称されています。「京成」が頭についたのは昭和に入ってからです。

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