環八通りをくぐる「平和台トンネル」が開通しました。しかし、抜けた先の道はすぐに狭くなるうえ、トンネルの上の環八の混雑も大きくは変わらず。

ただ、暫定開通したトンネルが本領発揮する日も、そう遠くはないかもしれません。

平和台トンネル開通!

 2024年2月24日、東京メトロ有楽町線 平和台駅前(東京都練馬区)の環八通りをくぐる「平和台トンネル」が開通。さっそく通ってみました。

環八くぐる「新トンネル」抜けたら道がみるみる狭く…!? 将来...の画像はこちら >>

開通した平和台トンネル(乗りものニュース編集部撮影)。

 このトンネルが開通したことで、埼玉から通じる大動脈、国道17号「新大宮バイパス」から平和台駅前交差点をスルーして、都心方面へ抜けることが可能になりました。新大宮バイパス~平和台間は長らく未開通でしたが2020年に暫定開通し、側道が環八通りに接続していました。

平和台トンネルは、その「放射35号線」の“本線”にあたります。

 ただ、トンネルを抜けた先の都心側は、道がみるみる狭まります。昔ながらの2車線道路となり、その左側(北側)には広大な拡幅用地が拡がっているものの、なかにはまだ家が建っているところもあり、用地買収の途上であるとわかります。

 そのまま進むと東京メトロ氷川台駅前に出ます。そこから石神井川を渡る「正久保橋」で大きく右にカーブ。さらにまっすぐ行くと、西武線の新桜台駅前で環七通りに出ますが、この部分の混雑が激化しているようです。

 トンネル開通後、新大宮バイパスからこのルートで環七通りへ出ているという、さいたま方面に住む20代男性は、「(新桜台駅前の交差点の)信号待ち渋滞で6~7分かかることもありますね。歩行者も多いので右左折に時間がかかり、なかなか進まない。ここで詰まるのを見越して出てきます」と話します。

 そもそも、平和台トンネルも暫定開通という位置づけで、4車線分のところを2車線で使っている状況。またトンネルができても、平和台駅前交差点の環八通り側の混雑は大して変わっていないように思えました。拡幅が進んでいるとはいえ、現状の放射35号にトンネルはオーバースペックにも思えますが、今後、どう変わるのでしょうか。

トンネル4車線化は「全てつながったら」

 東京都建設局に聞くと、「今後、放射35号・36号(平和台ー氷川台間で番号が36号に変わる)は環七通りまでつながります」と話します。現在の氷川台の正久保橋から環七へ至るルートではなく、氷川台から真っすぐ環七通りへ向かう新ルートを建設しているのです。

 石神井川では正久保橋のすぐ東側で、新しい橋桁がすでに架かっています。その先で建設中の新しい道路は、環七通りの「武蔵野病院前」交差点に接続し、そこから池袋駅西口まで真っすぐ通じる要町通りと一体になります。その地下を、東京メトロ有楽町線が通っています。

 要町通りは有楽町線とともに整備されましたが、氷川台ー小竹向原間は、地図で見ると地上道路がありません。

有楽町線の建設が始まった1970年代は住民の反対もあり、この区間は道路のないところを地下鉄だけ先に通したのです。

 その上部の道路がいま、50年近い時を経て完成に近づきつつあります。以前は、地図上で住宅やマンションの真下を地下鉄が通っていましたが、いまはキレイに更地となり、道路建設が進んでいます。

 東京都建設局は、この放射36号の未開通部ができ、氷川台~平和台間が拡幅され4車線になった際に、平和台トンネルも4車線開放になるという見通しを話しました。

環八くぐる「新トンネル」抜けたら道がみるみる狭く…!? 将来は「東京-埼玉の大幹線」一体どう変わる?
Large 240301 heiwadai 02

建設中の放射36号。氷川台から環七通り(写真奥)をつなぐ(乗りものニュース編集部撮影)。

 この放射35・36号は基本幅員40m、最大で50mというかなり広い道路になります。最大50mの箇所は氷川台と平和台の間にあり、立体交差の計画がある箇所です。ここには練馬駅方面に通じる南北の道路(放射35号の一部)が接続します。

 また、放射35号~新大宮バイパスと川越街道(国道254号)が交差する箇所も、現在は平面交差ですが、将来的には前者をアンダーパスにしたうえでループ状のランプを配した“インターチェンジ構造”となる計画です。

 平和台トンネルの高スペックぶりは、近い将来、大幹線となるこの道路のスペックを今から明示しているといえるかもしれません。