東急東横線の有料座席指定車両「Q SEAT」が、運行開始から9か月でサービス内容を大きく変更します。最大の変化はサービス提供車の“1両減”ですが、まだまだ奥の手もあるよううです。

東横線の有料座席指定サービス 利用状況は?

 東急東横線に導入された有料座席指定車両「Q SEAT」。2023年8月の運行開始から9か月を経て、2024年5月7日(火)より、サービス内容に大きな変化が生じます。平日の夕夜間時に渋谷→元町・中華街間で運行されている「Q SEAT」は、今後どうなるのでしょうか。

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東急東横線の車両(画像:写真AC)。

「Q SEAT」車両は、窓を背にした「ロングシート」から進行方向を向いた2人掛けの「クロスシート」に転換できる機能を備え、クロスシートによる有料座席指定サービスを提供します。電源コンセントやカップホルダー(一部座席)が設置されているほか、車内Wi-Fiサービスも無料で利用可能。

東横線の急行列車の4・5号車に設定され、赤色にラッピングされていることが特徴です。

 利用料金は、有効な乗車券などを別にして1席500円となっており、チケットレスサービスでの座席指定券の購入が推奨されていますが、一部の駅窓口で購入することも可能です。導入後は、様々な利用促進キャンペーンが実施されています。

 東急電鉄は東横線の「Q SEAT」について、「主に渋谷や中目黒からご乗車いただき、日吉駅から先の停車駅(日吉、綱島、菊名、横浜)までの利用が多い状況」としたうえで、「昨年の導入以降、時間帯による乗車率の差や中長距離のニーズなど、様々な利用状況が見えてきています」(広報部)と話します。

 5月7日以降は、4号車の「Q SEAT」設定が廃止となり、5号車のみに。また、これまでは渋谷19時35分発から30分ごとに元町・中華街行きで運行されていましたが、新たに渋谷18時35分発と19時5分発が設定され、運転本数は合計1日5本から7本に増えます。

 本数は増えるものの、両数が減ることで、全体の座席数は減少することになります。東急電鉄によると、今回の変更は「利用状況に応じたサービス適性化」としています。

東急電鉄「他社線への直通も含めた様々なサービス改善を検討」

「Q SEAT」のラッピングが施された4号車は、座席指定車両としては使用されなくなることから、他車両と同じロングシートで運行され、列車指定券なしでも利用できるようになります。ここでも座席の転換機能が役に立った形ですが、4号車の「Q SEAT」用のラッピングや車内設備は今後どうなるのでしょうか。

 この点について東急電鉄は「4号車のラッピングをはがしたり、座席の転換機能を撤去する予定はありません」としたうえで、「利用動向に応じて柔軟にサービス内容を変更できるように、4号車は現行通りとすることにしています」とのこと。また「Q SEAT」を連結している編成は4編成ありますが、この状態も変わらないそうです。

 東急電鉄は、2024年3月に公表した中期経営計画に「有料着席サービスの拡充」を盛り込んでいます。東横線の「Q SEAT」の今後については「今後も東横線での『Q SEAT』サービスの更なる利用機会の拡大に向け、他社線への直通も含めた様々なサービス改善を検討していきます」との見解を示しました。

 また、田園都市線などへの「Q SEAT」導入の可能性については「現時点では、特定の路線での有料着席サービス拡充は決定していませんが、需要動向や列車の混雑状況を踏まえて検討を進めていきます」としています。
 
 導入後は数々の利用促進キャンペーンが行われてきた東横線の「Q SEAT」。今後も最適な形を目指し、様々な取り組みが実施されそうです。