JAL国内線の独自グレードで、根強い需要を持つのが「クラスJ」。ファーストクラスと普通席の中間のクラスで、高いコスパが魅力です。

この座席はどのように生まれたのでしょうか。

源流は「日本エアシステム」?

 JAL(日本航空)国内線の独自グレードで、根強い需要を持つのが「クラスJ」です。これは、最上位のファーストクラスと普通席の中間のクラスで、当日アップグレードの場合、普通席から1000~3000円を上乗せすることで、より快適な座席に座れるコストパフォーマンスの高さが魅力です。この座席はどのように生まれたのでしょうか。

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すでに退役したJALのボーイング777-200「JA007D」。元JAS機(乗りものニュース編集部撮影)。

 クラスJ席は、たとえば最新仕様のエアバスA350-900やボーイング787の場合、普通席より約18cmも広い、前後約97cmの間隔が確保されているほか、レッグレストも備えます。またJALのファーストクラスは国内幹線しか設定されていないのに対し、クラスJは、JALグループの国内路線全体(コードシェア除く)の約90%で設定されており、ほとんどの路線で乗るチャンスがあるというのもポイントです。

 この「クラスJ」、JALでは当初から導入されていたわけではありませんでした。かつてのJAL国内線は上位クラスの「スーパーシート」と普通席の2クラスだったのです。

 この始まりは、JALと合併したJAS(日本エアシステム)といえるでしょう。JASは当初JALと同様の2クラス制でしたが、1997年のボーイング777導入を機に、中間クラスの「レインボーシート」を38席導入。

このレインボーシートはプラス1000円の料金で乗れるなど、クラスJとの類似点も多く、航空ファンのあいだでは「クラスJの祖先」として知られています。

 JALがクラスJを導入したのは、JASと合併したあとの2004年のことでした。なお、クラスJは2022年まで、当日アップグレード料金を「全路線で普通席プラス1000円」としていました。

 合併後、JASのボーイング777はJALにそのまま引き継がれ、「レインボーシート」はそのままクラスJに。その後の客室改修などを経て、これらの機体は2021年3月までJAL機として運用されました。この777は、最後までJALに残った元JAS機でした。

 なお、2024年3月にJALの新社長に就任した鳥取美津子氏は、同社初の女性社長であるとともに、JASの前身であるTDA(東亜国内航空)に客室乗務員として入社した経歴を持ちます。機体こそすべて純JAL機となってしまったものの、JASの客室乗務員出身者である鳥取氏体制ならではの新たなサービスが、もしかすると今後のJALで見られるかもしれません。