JR東日本グループが発売するミネラルウォーターが30周年を迎え、緑と白の初代東北・上越新幹線用の車両200系が描かれた懐かしいデザインが、駅の自動販売機に復活しました。ちなみにこのミネラルウォーター、新幹線をきっかけに誕生した商品だったりします。

新幹線が描かれていたミネラルウォーター

 白地に緑色の初代東北・上越新幹線車両、200系が期間限定で復活しています。とはいえ本物の車両がではなく、JR東日本グループが発売するミネラルウォーターのラベルに、です。

 現在、JR東日本ウォータービジネスが駅の自動販売機やコンビニなどでミネラルウォーター「FROM AQUA(フロムアクア)」を販売していますが、その前身は「大清水」という名前のミネラルウォーターで、発売当時の「大清水」ラベルには、200系新幹線が描かれていました。

 2014年秋、「FROM AQUA」がその「大清水」時代から通算して発売開始30周年を迎えたことから、「大清水」発売当時のラベルがイメージされたミネラルウォーター「谷川連峰の源水 大清水復刻版」が登場。実物の200系新幹線は2013年にすべて引退してしまいましたが、ラベルとしてこのたび200系新幹線が復活したというわけです。

 この「谷川連峰の源水 大清水復刻版」は280ml入りのペットボトルで、数量限定。現代の「FROM AQUA」における大きな特徴「落ちないキャップ」を備えたペットボトルでの発売です。JR東日本ウォータービジネスによると「30年の伝統とロマン、そして変わらぬ品質をあらわした」とのこと。1984(昭和59)年に発売された当初の「大清水」はスチール缶でしたが、今回は進化したペットボトルでの販売という点に、30年という時代の流れを感じます。

 販売場所はJR東日本の駅ナカ次世代自販機、エキナカ一部店舗(期間限定)などで、価格は税込み100円です。

嫌われ者だった「大清水」

 このミネラルウォーター「大清水」、現在の「FROM AQUA」が誕生したきっかけには、新幹線が大きく関係しています。

 群馬・新潟県境には標高1977mの谷川岳をはじめとする険しい山々がそびえており、上越新幹線はそこを全長22221mの大清水トンネルで通過すべく、1972(昭和47)年から掘削を始めます。

しかしその際、トンネル内で毎分33トンにもなる激しい出水が発生。関係者を悩ませました。

 そうした難工事を経て、1982(昭和57)年11月15日に上越新幹線が開業。大清水トンネルに200系新幹線が走り出します。工事中に出た水は安全性に問題はなかったものの引き続き湧いており、冬期の融雪に利用されていたのですが、次第にその湧いている水が美味しいとトンネル内を巡回する作業員たちのあいだで評判に。水質的にも優れていたことから、1984年にミネラルウォーター「谷川連峰の源水 大清水」として発売された、という経緯があるのです。

 また「大清水」の読みについて、トンネルは「だいしみず」ですが、ミネラルウォーターは「おおしみず」。「濁らない」という意味があるそうです。

 ちなみに、川端康成の小説『雪国』における冒頭の有名な一節「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」のトンネルは、同様に谷川連峰の直下を通過する上越線の清水トンネルがモデルだとされています。上越新幹線においても、空っ風が吹きすさぶ冬晴れの群馬県高崎駅から、大清水トンネルを抜けてあっという間に雪国の新潟県越後湯沢駅と車窓が急激に変化することがあり、新幹線のスピードで「トンネルを抜けると」が楽しめます。

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