北海道名物の「矢羽根」がセンター試験に登場しました。冬の交通安全に役立っているこの矢羽根ですが、過信は禁物と道路関係者は言います。

積雪対応でないのはどれ?

 北海道の道路でよく見かける、上空に吊された矢羽根。道外ではあまり設置されていないため、旅行者にとって矢羽根は「北海道」を実感するもののひとつともいいます。

 この矢羽根、2015年1月に実施された「平成27年度大学入試センター試験」の「地理A」「地理B」に問題として登場しました(共に同じ問題)。

 「上部に太陽電池が付いた時計」「縦型の信号機」「道路の境界を示す標識」「ホース取付け部の位置が高い消火栓」のうち、積雪に対応したものとして適当でないものをひとつ選べ、という内容で、矢羽根が「道路の境界を示す標識」として選択肢に現れています。

 このうちどれが正解か、雪国で暮らす人にとっては大変簡単かもしれません。雪が積もってしまうと使い物にならない「上部に太陽電池が付いた時計」が正解です。

 しかし矢羽根の正式名称、またそのサイズについて正解できる人は、意外と少ないかもしれません。

注意が必要な矢羽根

 道内の国道で「矢羽根」を設置している北海道開発局に伺ったところ、その正式名称は「固定式視線誘導柱」というそうです。

 この固定式視線誘導柱には積雪で道路の境界が分からないとき、その位置を示す役割があるほか、名前の通り視界の悪いときにドライバーの視線を誘導。交通事故防止を図るという目的があります。地吹雪が発生した際、地面に近い場所は見通しが大変悪くなりますが、高い場所は比較的影響が少ないため、そこに矢羽根を設置してドライバーの視線を誘導。危険性を減らすのです。

ちなみに設置されている高さは、北海道開発局によると路面から5mが基本とのこと。

 ただ北海道の道路関係者は「自分は矢羽根だけを信用して走る気にはなれない」と話します。前方がホワイトアウトしたからといって矢羽根を頼りにしていると視線が上向きになるほか、前走車のテールランプが見えないのは変わりません。特に雪道での経験が少ない初心者ドライバーや旅行者は見えるものに頼りがちになる可能性があるため、特に注意が必要ではないかといいます。

7歳児と同じぐらいの矢羽根

 この矢羽根、いったいどのくらいの大きさなのでしょうか。北海道開発局によると、その長さは1.2m。幅は矢印部が35cmで、それ以外が15cmだそうです。

 高さ5mの位置に設置されているため実感が湧きづらいかもしれませんが、1.2mというと7歳児の平均身長と同じぐらいです(厚生労働省健康局「平成23年国民健康・栄養調査報告」)。思ったより大きいと感じる人、少なくないかもしれません。

 また北海道開発局によると矢羽根の材質はアルミ製で、表面に並べられたカプセルレンズでライトを反射する構造とのこと。吹雪による問題が大きいと考えられる区間には、自発光式のものも用いられるといいます。

 ちなみに、どのような場所へ矢羽根が設置されるのかについても北海道開発局に伺ったところ、「車線や車線数が変化する区間、急カーブや急カーブに接続する区間」が一般的な設置場所で、合わせて吹雪による影響の大きい区間にも設置されることがあるそうです。

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