JR東海が「東海道新幹線のおしごとを学ぼう」ツアーで、名古屋運輸所・車両所を一般に初めて公開しました。

名古屋運輸所の“厳しい”シミュレータ

 JR東海がこの秋、親子を対象にしたツアー「東海道新幹線のおしごとを学ぼう」を実施。

東海道新幹線の運転士や車掌が訓練を行う「名古屋運輸所」(名古屋市中村区)を、初めて一般に公開しました。

 2015年11月21日(土)実施分のツアーには、4歳以上の子どもとその保護者、合わせて119人が参加。そのうち「車掌のおしごと体験」では、業務用の車掌シミュレータが使用されました。人が列車のドアに挟まるなど様々なトラブルが発生するなか、そうした課題を輸送指令とやり取りしながら解決していくもので「一般の人が体験するのは初めて」(JR東海)といいます。

 鉄道系の博物館などにあるシミュレータやゲームなどと違って、楽しませることが目的ではなく、あくまで一人前の車掌を養成するための“厳しい”業務用シミュレータ。ツアー参加者にとって、それを体験できる貴重な機会となりました。

 そのほか名古屋運輸所では、運転士の訓練用シミュレータについても、子どもたちによる体験が行われました。

見えない場所にある名古屋の車両基地

 今秋行われた「東海道新幹線のおしごとを学ぼう」ツアーでは、もうひとつ目玉がありました。名古屋地区における新幹線の車両基地「名古屋車両所」(中村区)の見学です。これも一般に公開するのは初めてといいます。

 名古屋車両所は東海道新幹線の本線から離れた場所にあり、「のぞみ」などの車窓からその姿は見えません。参加者は回送列車に乗って、この“見えない名古屋車両所”へ移動しました。

 回送列車は名古屋駅を発車したのち、新幹線の本線から分かれ、普段は営業列車が通ることのない「日比津回送線」へ進入。普段は乗ることのできない回送線の貴重な車窓風景に、参加者たちはみな注目していました。

レア車両が待っていた名古屋車両所

 この日、名古屋車両所には「ドクターイエロー」の愛称を持つ923形新幹線電気軌道総合試験車が入庫。走りながら線路設備を検査する車両で“新幹線のお医者さん”とも呼ばれますが、運転が10日に1回程度しかなく、めったに見られない車両です。

 一行はその「ドクターイエロー」を下からのぞいたり、内部も見学するなど、貴重な出会いを楽しんでいました。

 また線路の保守・点検に使われる特殊車両も勢揃いし、その迫力ある実演に子どもたちは大喜び。これらの車両も、出動がおもに夜間のため、見かける機会がほとんどないレア車両です。

 今秋実施されたこの「東海道新幹線のおしごとを学ぼう」ツアーについて、JR東海によると告知後、すぐ定員になったとのこと。高い人気を受けて、今後のツアーについても現在、企画中だそうです。

編集部おすすめ