延伸計画が進む外環道で唯一、具体的なプランが見えていない東名高速~湾岸道路間に関し、ついに検討協議会が動き出しました。ただ実際のところ、外環道を湾岸まで延ばす必要はあるのでしょうか。
去る2016年2月10日(水)、第1回の「東京外かく環状道路(東名高速~湾岸道路間)計画検討協議会」が開催されました。今後、国交省・東京都・川崎市の3者により、未だルートも具体化されていない外環道の東名高速~湾岸道路間について、議論が進められていくことになります。
首都高C2中央環状線が全線開通し、圏央道はまもなく約9割が完成します。そして外環道も千葉区間16kmが約2年後に開通を控え、大泉~東名JCT間16kmも東京オリンピックまでの完成を目指して建設が進んでいます。
そんななか唯一、計画が具体化していないのが、この外環道の最も南側の区間、東名~湾岸間なのです。
今回行われた第1回の計画検討協議会では現状について、次のような問題点が指摘されました。
・第三京浜が環状道路に未接続
・周辺の一般道(環8や国道409号線)の渋滞
それらの解決には外環道の整備が必要で、それにより首都高C2中央環状線や圏央道のように大きな効果が見込まれる、とされています。
それについては、まったく異論はありません。個人的(清水草一)には、次のような具体案を提案したいと思います。
・往復4車線
・東名JCT~第三京浜間は大深度地下トンネル
・第三京浜から大田区までは環8の地下トンネル(中央環状品川線と同様の設計)
・多摩川をトンネルでくぐり、大師付近で首都高川崎線に接続(川崎縦貫線II期は廃止)
いろいろな案があるでしょうが、これに類する形が最もコストパフォーマンスが高いのではないかと愚考します。
むしろ別のところにある外環道延伸の疑問ただ私は、高速道路ネットワークの整備だけを考えれば、外環道南側区間は東名から湾岸までではなく、第三京浜まででも良いと考えています。
なぜなら現在、東名~第三京浜~湾岸方面間を結ぶ首都高横浜環状北線および北西線が建設中であり、そちらが完成すれば、それが外環道の代替ルートとしておおむね機能するからです。
外環道南側区間の目的は、外環道を湾岸地区まで伸ばすことですが、横浜環状北線と北西線が完成すれば、外環道が大泉から東名まで延びた段階で、東名を介しそれが実現します。
ただそのとき懸念されるのは、東名の負担が増加し、その渋滞が悪化することです。
しかし、そこで外環道を第三京浜まで延ばせば、東名を通らずに湾岸線への接続が可能になります。第三京浜はあと3万台/日程度は交通量が増えても耐えられますから、渋滞の局所的悪化はごく軽微で済むはずです。
もちろん外環道南側区間もあったほうが良いですが、今後の人口減少を考えると、果たしてそこまで必要かどうか、疑問ではあるのです。
外環道南側区間も、ほぼ全線地下トンネルとなるでしょう。そして建設費は軽く1兆円を超えることになります。しかし東名JCT~第三京浜間だけならば、2000~3000億円程度の建設費で済むはずです。
公共事業には利便だけでなく、経済活性化の側面もあります。おおむね10年以内に高速道路建設は終わる予定で、その後の景気への影響を考えると、造れば間違いなく効果のある外環道南側区間の建設を「中止すべし」と主張するつもりはありません。
ただ、道路利用者としては第三京浜までの延伸でも十分であり、まずはそちらを優先して建設すべきと考えます。