片側1車線の道路が「右折待ち」の車で詰まって大渋滞、でも右折レーンを作るのも右折禁止にするのも容易ではない……知恵と工夫でどうにかした例も多数あります。
右折レーン作れません!片側1車線の道路が「右折待ち」のクルマで詰まって大渋滞――そうした例が全国至るところで見られます。
国道1号大井川橋。橋の向こう側の交差点は右折禁止。そこで右折のために「左折」する方法を案内している(乗りものニュース編集部撮影)。
用地が狭い、建築物が建て込んでいる、橋の直後のため拡げられない、などなど。かといって右折禁止にするのも地域の理解を得にくい……そうした条件を乗り越えた例は、どのようなものがあるのでしょうか。
●解決策1:交差点そのものを移設
三重県鈴鹿市の鈴鹿川に架かる「定五郎橋」では、2025年5月13日、橋の南詰に右折レーンが開通。ここでは橋の直後の堤防道路に右折するクルマが多く渋滞が発生していたものの、橋と堤防道路ともに広げようがありませんでした。
そこで、交差点そのものを橋の直後ではなく、やや離れた場所に移設。低地から堤防へと上がっていく築堤を一部拡げて、そこに交差点を作り、堤防道路へ連結路を延ばしました。これにより、4方向全てに右折レーンが備わります。
●解決策2:右折のために「左折」で入る連結路を作る
国道に並行して右折側に鉄道などが通っているため拡幅が難しく、右折レーンが作れない、といったケースも。
同様の連結路で、十字交差点の2方向の右折を賄っているのが、東京都墨田区の明治通り「白髭橋東詰」交差点です。ここは、東西に交わる明治通りからの直接の右折は内・外回りとも禁止されています(夜間は可能)。
連結路は十字交差点の西から北をつないでおり、西(明治通り外回り)から右折する場合は「左折→(連結路)→右折→交差点を直進」、東(同内回り)から右折する場合は「交差点を直進→右折→(連結路)→左折」という手順となります。
とりあえず「左折」してくれ!交差点から離れた場所を活用して「どうにかする」例もあります。

赤信号で全方向の矢印信号を点灯する例。これも右折車による滞留を防ぐことに主眼が置かれている(乗りものニュース編集部撮影)。
●解決策3:左折した先に「Uターン路」を設ける
静岡県島田市の国道1号(現道)「大井川橋東」交差点は、橋の上り線から堤防道路への右折を禁止しています。ここで右折したいクルマは、いったん左折するよう案内されています。
左折して堤防道路を進むと、右側に転回路が現れます。ここに入ってUターンし、大井川橋東交差点を直進する流れを案内板で示しています。
●解決策4:「右折レーン」は難しいけど「右折ポケット」なら…
神奈川県川崎市で小田急線に沿う「津久井道」(世田谷町田線)の「上麻生」交差点も、上り線からT字に接続する県道へ右折するクルマが激しい渋滞を作り出していました。津久井道の4車線化に先行して交差点の下り線側の用地が一部確保できたことから、そちら側を暫定的に1mだけ拡幅。車線を切り回して上り線に「右折ポケット」が2024年に整備されました。
右折ポケットは、右折レーンとまではいかないものの、右折待ちのクルマの左側を直進車がなんとかすり抜けられるようにしたスペースです。
右折車が多かったり、大型車が右折する場合などはポケットからクルマがあふれてしまうため、あくまで暫定対策という位置づけですが、川崎市によると車列の平均滞留長は約半分に、交差点までの平均通過時間は15分から4分になるなど、渋滞が緩和されているそうです。
※ ※ ※
このほか、路面側ではなく「信号」の工夫で右折待ちの滞留を防ぐケースもあります。たとえば、信号は赤で「←↑→」の3方向矢印信号が点灯するケースは、主に時差式信号において右折車を先に通し、滞留を防ぐことに主眼を置いた対策です。矢印信号は「対向車が来ない」前提なので、右折車をスムーズに通過させる効果があります。