東急大井町線に各駅停車用の6020系電車がデビューしました。利用者は新型車両をどう受け止めているのでしょうか。
2025年7月2日、東急大井町線で各駅停車用の新型6020系電車が営業運転を開始しました。当初は朝のラッシュ時間帯だけ使用されていましたが、5日からは夜間、翌日からは日中も営業運転を行うようになりました。新型車両を利用者はどう受け止めているのか、実際に乗車して確かめてみました。
2025年7月から営業運転を開始した大井町線各駅停車用の6020系(柴田東吾撮影)
6020系は大井町線の新型車両として2018年に登場した車両です。当初導入の急行用に続き、今回は各駅停車用が登場しました。急行用が7両編成なのに対し、各駅停車用は大井町線の事情を踏まえて5両編成で造られています。
外観・内装の基本的なデザインや色使いは急行用と各駅停車用で変わりはありませんが、各駅停車用は先頭部に「5CARS」と表示しているほか、側面の扉の両脇に青の縦ラインを添えて5両編成であることを強調しています。
このほか、急行用の製造から7年が空いたため、細部の造りに違いがあります。一例として車内の吊り手の形や、客室の扉の両脇に備えている手すりの仕上がりなどが変わっています。さらに、将来的なワンマン化に対応して運転台に扉の開閉ボタンを備えているほか、急行用の7両編成から各駅停車用の5両編成としたことで、床下に搭載されている機器の配置も異なっています。
ところで、大井町線の各駅停車といえば、一つの“名物”があります。
今回導入された各駅停車用の6050系も、当然ながら九品仏駅のドアカットに対応しています。ドアカットは自動で行われ、九品仏駅に停車すると乗務員室からはドアカットの機能が働いていることを示すチャイムの音が聞こえます。
また、九品仏駅でホームからはみ出す車両(溝の口方の先頭5号車)も、扉などに「このドアは九品仏駅では開きません」と表示されています。この表示は大井町線の各駅停車に必ずあるものですが、6020系は扉の上にある液晶画面の車内表示器にも表示されていることが特徴です。液晶画面で表示されるのは5号車だけで、ほかの車両には表示されていません。
利用者の反応は?筆者(柴田東吾:鉄道趣味ライター)が訪れた日は、各駅停車用の6020系が日中も走るようになった初日のことで、車内では先頭車両を中心にファンの姿を数多く見かけることがありました。年齢層は筆者のようなオジサンの世代ではなく、小・中学生クラスの若い世代が圧倒的に多いのが印象的です。
大井町線では6020系の投入によって追われる立場となった9000系を撮影するファンの姿が増えましたが、こちらは学生や社会人が多く、ファンの年齢層に違いがあります。学生や社会人は一眼レフカメラやスマートフォンで撮影する人が多い一方で、6050系はタブレット端末で撮影する人が多いといった違いもあります。
その他の一般の利用者の様子を見ると、新型車両であることに気づく人はほとんど見られませんでした。
6020系では急行用・各駅停車用とも、各車両にフリースペースを備わり、車椅子やベビーカーでの利用に配慮されています。筆者が訪れた日は休日だったこともあって、ベビーカーを利用した家族連れの乗車が多く、1つのフリースペースを複数の家族連れが譲り合って利用し、1両にベビーカーが数台ある光景が見られました。
車椅子やベビーカーを利用して電車に乗る姿は珍しくなくなりましたが、東急大井町線は子育て世代の利用が特に多い印象を受けました。そうなると、車内のフリースペースは必要不可欠な設備と言えるのかもしれません。
各駅停車用の6020系は、現段階では最初に造られた6151編成だけが使用されていますが、6月末の段階で4編成が搬入されており、順次営業運転に導入されていく見込みです。また今後、2027年頃までに18編成(90両)が導入される計画です。