道路劣化を早める原因とされる重量違反車両。それらの取り締まりが、2016年11月10日、首都圏17か所で一斉に行われました。
2016年11月10日(木)、国土交通省関東地方整備局と首都高速、NEXCO東日本、NEXCO中日本、そして関東1都3県の警察が連携し、「首都圏大規模同時合同取締」を行いました。実施箇所は首都高湾岸線の大井本線料金所(東京都品川区)をはじめ、首都圏の高速道路と国道の計17か所。首都圏を走る違反車両を一網打尽にする目的があります。
この取り締まりで特に重視されたのは、車両の幅、重量、高さなどの基準をオーバーした車両制限令違反。とりわけ、重量制限を超過した大型車両が対象です。
重量違反が疑われる車両を、移動式の計測装置「マットスケール」に誘導。前輪、後輪の重量を測定し、総重量を計算する(2016年11月10日、中島洋平撮影)。
道路の老朽化が加速するなかで、重量違反の大型車両は、道路の劣化を早める大きな要因のひとつとされてます。この状況を受け、2016年1月には、首都圏に路線をもつ高速道路会社と1都3県の警察、自治体、自動車協会などからなる「大型車通行適正化に向けた関東地域連絡協議会」が発足。今回の一斉取り締まりは同協議会が中心となり、昨年の15か所から拡大し、過去最大の規模で行われました。
首都高湾岸線の大井本線料金所では、移動式の測定機器「マットスケール」を使用し、過積載による重量超過車両の取り締まりを実施。
重量制限を超過した車両は、道路にどれほどの影響を与えるのでしょうか。
車両重量が道路に与える影響度は、軸重(車軸にかかる重さ)の約12乗に比例するといいます。首都高速によると、たとえば軸重10tの車が過積載によって20tになった場合、道路には、10t車約4000台分の疲労が蓄積されるとのこと。

左が重量測定場所。その奥が一般道に通じる通路(緊急排出口)で、重量違反によって退出させられた車が停まっている(2016年11月10日、中島洋平撮影)。
高速道路会社は、こうした重量制限違反のドライバーや、その所属する運輸会社などに対して改善を要求するなど、「違反者管理を徹底している」(首都高速の担当者)そうですが、再三の要求にも関わらず違反を繰り返す事業者に対しては、告発、起訴し、事業者名を公表するなどしています。
2016年11月10日現在、高速道路における道路法違反の告発件数は26件。現地取り締まりで、特殊車両通行の許可なく車両の総重量が基準の2倍以上に超過していると確認された場合なども、告発の対象になります。
【写真】係員の目視がカギ

重量超過が疑われる車両を、料金所の前後に配置された係員が目視で判断し、連携して取り締まり場所へ誘導する(2016年11月10日、中島洋平撮影)。