乗客がボタンを押してドアを開閉する「半自動ドア」を備えた鉄道車両。地方では普通列車用の車両を中心に多く存在しますが、近年新たに導入した路線もあります。

ボタンでドアを「自分で開ける」 地方では一般的

 地方の鉄道車両、特に寒冷地では多くの場合、ドア横に開閉ボタンが設置されています。列車が駅に着いてもドアは自動で開かず、利用者がボタンを押してドアを開閉し、乗り降りする「半自動扱い」が一般的です。車内の空気を外に逃がさず、冷暖房効率をアップさせるためのこの措置。「乗ったら閉める」という“マナー”を意識した行為も見られます。

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東北本線などで使用されているE721系電車。そのドア横に設置されている開閉ボタン(2016年10月、太田幸宏撮影)。

 同様の開閉ボタンは、東京都内を走るJR中央線快速のE233系電車などにも設置されていますが、東京駅から高尾駅(東京都八王子市)のあいだでは、半自動扱いは基本的に行われません。乗降の少ない高尾駅より西側の区間や、中央線と直通運転する青梅線、五日市線などで実施されています。

 E233系電車がドアの半自動扱いを行う区間では、その旨が自動放送で車内外に案内されます。導入当初は、社員がホームに立って乗り方を周知したそうですが、「今はお客様もなじんできて、好評をいただいています」(JR東日本八王子支社)といいます。

「乗ったら閉める」も浸透するか

 最近になって、ドアの開閉ボタンを初めて導入した路線も。阪神電鉄は新型5700系電車(2015年8月に営業運転開始)に、そして同社と直通運転を行う山陽電鉄は新型6000系電車(2016年4月に営業運転開始)にボタンをそれぞれ設置。

普通列車が急行などの優等列車を通過待ちする際に、半自動扱いを実施しています。

 阪神電鉄では初めての導入にあたり、駅のポスターや車内の自動放送などで使い方を周知。「車内の冷気や暖気が外に漏れるのを防ぎ、快適な車内温度を維持することを目的としています」とし、「快適な車内環境づくりに、皆さまのご理解とご協力をお願いいたします」と呼びかけています。

「ドアは自動で開くもの」が当たり前だった路線に登場した「自分で開ける」ドア。「乗ったら閉める」という“マナー”は、今後浸透していくのでしょうか。阪神電鉄と山陽電鉄が、その参考例になりそうです。

【写真】ボタンではなく手で開け閉めする電車も

「自分で開ける」半自動ドア、新規導入路線でも「マナー」定着なるか

国鉄時代に造られた115系電車。半自動扱いの区間では、手でドアを開け閉めする車両も(2009年1月、恵 知仁撮影)。

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