東海道新幹線で富士山の見える方向といえば、新大阪駅に向かって右側と思うかもしれませんが、実は左側でも見られる場所が。その条件から「見られたらラッキー」ともいわれます。

実は両側に見える富士山

 特に初夢で見ると縁起がいいとされる「一富士二鷹三茄子」。その筆頭である富士山は東海道新幹線の名物車窓で、それがよく見える日、車内各所からシャッター音がしばしば聞こえてきます。

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東海道新幹線の代表的な車窓「富士山」。この場所では、新大阪駅に向かって車内右側に富士山が見えている(恵 知仁撮影)。

 この富士山、東海道新幹線の車内どちら側に見えるのでしょうか。

 東京~新大阪間で、東西方向に走る東海道新幹線。富士山がそびえるのは、その線路の北側です。よって、東海道新幹線で富士山が見える座席は新大阪駅に向かって右側、席でいうとE席(グリーン車はD席)側……と思うかもしれませんが、実は反対のA席、海側の座席からも富士山を眺めることが可能です。

 このA席側から見える富士山は、新大阪駅に向かって左側に現れることから「左富士」とも呼ばれます。

左側に富士山が見える場所と、そのカラクリ

「左富士」が見られるのは、新大阪駅方面へ向かう列車を基準にして、静岡駅を過ぎ、安倍川を渡ってまもなくです。

見られたらラッキー? 東海道新幹線の隠れ名物「左富士」

静岡駅付近で、新大阪駅へ向かい右ではなく、左側に現れる「左富士」(恵 知仁撮影)。

 東海道新幹線はおおよそ東西方向に走っていますが、静岡駅の新大阪駅寄りでは南北方向に走る区間があり、そこで短い時間ですが、左側(東)に富士山が登場します。

見られたらラッキー? 東海道新幹線の隠れ名物「左富士」

東海道新幹線が南北方向に走る赤い区間で「左富士」が見られる。新大阪駅方面行き列車の場合、進行方向やや後ろ側を眺める形(恵 知仁撮影)。

 ただこの「左富士」は、いつでも見られるわけではありません。気象状況によって、線路が最も接近する場所でも見られないことがある富士山。この「左富士」が見られる場所はその山からおよそ50km離れているため、現れるのは空気が澄んでいる冬など、条件が良いときだけ。そうしたことから「見られたらラッキー」ということで、「幸せの左富士」とも呼ばれます。

 気象庁によると2017年1月1日(日)、静岡県の天気予報は「おおむね晴れますが、局地的な前線の影響で、東部、伊豆では昼前まで雲の広がる所がある見込み」(2016年12月31日16時38分発表)。帰省や旅行などで東海道新幹線に乗るのに、海側のA席側しかとれなかった場合でも静岡駅付近で、元日に縁起の良い「一富士」を眺められるかもしれません。

【写真】東海道新幹線で「1番いい席」

見られたらラッキー? 東海道新幹線の隠れ名物「左富士」

「東海道新幹線で1番いい席は?」「1番E席」という冗談があるが、1番E席は富士山が見えやすく、大型テーブルが備えられ、N700系ではコンセントもあることから、あながち間違いではないかもしれない(恵 知仁撮影)。
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