国道58号は、沖縄本島北部から那覇市に至る区間のほか、奄美大島にも、種子島にも、本土の鹿児島市内にもあります。それどころか、海の上まで「国道」といいます。

どういうことでしょうか。

日本で2番目に長い国道!?

 沖縄本島北部から島の西側を通り、那覇市に通じる国道58号は、海あり、緑あり、都会ありと変化に富んだ本島の主要道路です。しかし、この国道58号があるのは、沖縄本島だけではありません。

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沖縄本島の海沿いを通る国道58号(画像:photolibrary)。

 沖縄本島から北におよそ170km離れた奄美大島、そこからさらに約230km離れた種子島、さらにそこから約100km離れた本土の鹿児島市内にも、国道58号があります。

 この国道は政令上では、起点が鹿児島市、終点が那覇市となっています。総延長は880kmに及び、国道4号に次ぐ日本で2番目に長い国道だとか。鹿児島市内と3島内の道路を合計しても270km程度にしかなりませんが、残りの区間はどこにあるのでしょうか。国土交通省鹿児島国道事務所に聞きました。

――国道58号は総延長が880kmもあるそうですが、どういうことですか?

 クルマが走れる「共用区間」としては合計約270kmですが、それ以外の約610kmは「未供用区間」でかつ「海上区間」とされています。

――「未供用区間」というからには、国道58号として海上に道路の開通予定が?

 いえ、それはありません。

海上も含めた「1本の国道」であるワケとは?

――なぜ海上が「国道」とされているのでしょうか。

 たとえばフェリーなど、「道路と道路を結ぶ1本の交通系統」があれば、海上でも国道に指定できるとされています。とはいえ、その「1本の交通系統」に厳密な規定はありません。また、海上の具体的にどの場所が国道か、というふうに決まっているものでもありません。

――本土と各島とで別々に番号を振ってもよいような気がしますが、なぜ1本の国道にしているのですか?

 一般国道として指定される条件のひとつに、「都道府県庁所在地など、特に重要な都市を連絡する道路」という項目があります。国道58号の場合は鹿児島市と那覇市という県庁所在地どうしを結ぶことから指定されています。

7割近くが海の上、国道58号の謎 「海上区間」が設けられている理由とは
手前の、鹿児島市電が走る通りを横切っているのが国道58号。鹿児島市内の延長は0.7kmで、「朝日通り」と呼ばれている(画像:photolibrary)。

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 ちなみにフェリーは2017年3月現在、鹿児島市~種子島間、鹿児島市~奄美大島~那覇市間で運行されています。国道58号が指定された時点では、種子島と奄美大島を結ぶ航路も存在したそうですが、現在は廃止されています。なお、途中の航路が廃止されても、国道の指定が変わることはないそうです。

【画像】国道58号の概念図

7割近くが海の上、国道58号の謎 「海上区間」が設けられている理由とは
赤線が道路、青線が海上区間。鹿児島市~種子島間、鹿児島市~奄美大島~那覇市間のフェリーがそれぞれ存在するが、種子島と奄美大島を結ぶ航路はない(国土地理院の地図を加工)。

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