ビジネスシーンにおいて目上の人と行動を共にする場合、覚えておきたいのが席次でしょう。会議や食事の場など席次が決まっている場は様々ありますが、実は乗りものにも席次があります。

乗りものの「上座」は…?

 ビジネスシーンにおいて、鉄道、クルマ、そして飛行機を移動手段として利用する場合、とりわけ上司など目上の人と一緒に移動する場合、気にしなければならないのが「席次」ではないでしょうか。

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上司と乗りもので移動、席次は気をつけたいもの。写真はイメージ(画像:Leonard Zhukovsky/123RF)。

 そうした乗りものにおける席次について、年間250本以上に及ぶビジネスマナー関連の講義や連載、執筆をこなし、3月に新刊『入社1年目ビジネスマナーの教科書』を出版した、マナー講師の金森たかこさんに話を聞きました。

行き先を説明する助手席が下座、ただし…

 まずはクルマです。タクシーなど運転手がいる5人乗りのクルマの場合、運転席の真後ろが上座になります。以下、助手席の真後ろが2番目、後部座席の真ん中が3番目、助手席が下座。助手席が下座になるのは、行き先の説明や支払いを自分が行うことで、目上の人に手間をかけさせない役割があるからです。

列車の上座はどこの席? マナー講師に聞く、乗りものの正しい「席次」とは

5人乗りのクルマの席次。運転席の真後ろが上座になる。

 なお、同行者の誰かが運転する場合は助手席が上座になります。以下、運転席の真後ろが2番目、助手席の真後ろが3番目、後部座席の真ん中が下座です。

新幹線の6人掛けボックスシート、下座は…?

 次に列車です。4人掛けボックスシートでは、窓側の進行方向を向いた座席が上座です。以下、窓側の進行方向と反対の座席が2番目、通路側の進行方向の座席が3番目、通路側の進行方向と反対の座席が下座になります。

 新幹線のように3人掛けの場合、窓側の座席が上座で通路側が2番目、真ん中が下座になります。6人掛けボックスシートの場合は、4番目までは4人掛けと同じで、進行方向を向いた真ん中の座席が5番目、その正面が下座です。

 飛行機も、新幹線の3人掛けと同様に窓側の座席が上座になりますが、窓側が苦手な人もいるため、臨機応変に対応する必要があります。

 最後はエレベーターです。4人で乗る場合、操作盤側の奥が上座でそのすぐ左が2番目、その前が3番目、そして操作盤の前が下座になります。

列車の上座はどこの席? マナー講師に聞く、乗りものの正しい「席次」とは

列車の4人掛けボックスシートの席次。
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列車や飛行機の3人掛けシートの席次(写真ACの画像を加工)。
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エレベーターに4人で乗る場合の席次。

 金森さんは「最も大切なのは、これらの基本を押さえた上で、相手や状況に合わせて臨機応変に対応できる力を身につけること」といいます。

「たとえば列車の場合、本来は窓側が上座ですが、相手の体調や携帯電話の使用の有無によっては、席を立ちやすい通路側がよいこともあるでしょう迷ったら、敬うべき相手とコミュニケーションを取ることが大切。『安全で快適で心地よく過ごせる場所』こそが上座なのです」

 窓からの陽射しや空調の当たり具合、周囲の乗客の様子など、移動中に気を配りたいポイントは多々ありそうです。

【図】意外? 同行者が運転する場合のクルマの席次

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同行者が運転する場合、5人乗りのクルマの席次は助手席が上座になる。

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