2017年9月、成田空港第2ターミナルに「到着時免税店」がオープンします。通常、出発エリアにある免税店が今回、なぜ到着エリアにオープンすることになったのでしょうか。
2017年9月、成田空港に「到着時免税店」(国際線到着エリアの免税店)がオープンします。
店で取り扱われる商品は、外国製品の酒類やたばこです。成田国際空港(NAA)の子会社であるNAAリテイリングが運営します。
空港の免税店というと出発エリアにあるイメージですが、今回開店する場所は第2ターミナルの国際線到着エリアです。飛行機から降りて空港の検疫検査場に移動する途中に位置します。この到着時免税店、どのような背景で誕生することになったのでしょうか。空港を運営する成田国際空港株式会社に聞きました。
――なぜ国内の空港には到着時免税店がなかったのでしょうか?
これまでは関税法基本通達により、国際線出発エリアのみで免税品の販売が認められていました。到着時免税店については、2017年度税制改正大綱に盛り込まれ、2016年12月22日に閣議決定、2017年3月10日付で関税局長から各税関長に対して、関税法基本通達の一部を改正する旨の通知があり、4月1日から設置することが可能になりました。成田の到着時免税店は、この流れを受けてオープンするものです。
――到着時免税店は誰がターゲットなのでしょうか?
購入は日本人、外国人問わず可能です。
成田空港内にオープンする到着時免税店「Fa-So-La ARRIVAL DUTY FREE」の外観イメージ(画像:成田国際空港)。
――日本人、外国人、店、空港それぞれに、どのようなメリットがあるのでしょうか?
日本人のお客様のメリットは、免税品を帰国時に購入できるため、旅行中に重い荷物を持つ必要がなくなることと考えています。外国人のお客様のメリットは、免税品を購入いただける機会が新たにできることで、お買い物の選択肢が広がることと考えています。
店や空港としては、これまでお客様が外国で購入していた免税品を成田空港でも購入できるようになるため、売上増進につながるものと考えています。
「到着」と「出発」、免税店は何が違う?――従来の出発エリアにある免税店と、購入方法や購入できる量などで違いはあるのでしょうか?
今回の関税法基本通達の一部改正で、到着時免税店で購入できる商品は、現行の「携帯品免税制度」の対象として新たに追加されました。「携帯品免税制度」とは、海外旅行者らが入国時に携帯して輸入する個人使用目的の物品の関税、内国消費税を一定の範囲で免税する制度です。これまでの対象は、外国購入品や機内購入免税品でした。
関税、内国消費税が免税される一定の範囲については、例えば、酒類3本、外国製たばこ1カートンなどですが、詳細は税関のウェブサイトなどでご確認願います。なお、携帯品免税制度の免税範囲を超過した分については課税対象になります。
――店には外国製品の酒類、たばこが並ぶそうですが、出発エリアにある免税店と品揃えは異なるのでしょうか?
到着時免税店で取り扱う外国製品の酒類、たばこの品揃えは、出発エリアにある免税店と同様です。
――到着時免税店の対応通貨はなんでしょうか?
日本円、ドル、ユーロです。なお、クレジットカードも使用可能です。
――日本製品を扱う予定はあるのでしょうか?
関税法基本通達で、到着時免税店の制度は「入国者に対する外国貨物の保税販売」と定められています。そのため到着時免税店で免税販売できる商品は基本的に外国製品であり、原則、国内製品は免税販売できません。
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日本人にとっては、海外の空港で免税品を買いそびれても、帰国時に購入できるチャンスが増えます。到着時免税店の存在を知っておくと、空港の楽しみ方がまた少し変わってくるかもしれません。
なお、到着時免税店では当面のあいだ、酒類とたばこのみを販売するとのことです。9月に開店するのは第2ターミナルですが、第1ターミナルと第3ターミナルでも2017年内のオープンに向けて、到着時免税店の整備が進められています。
【図】「到着時免税店」はここにオープンする

第2ターミナルにオープンする到着時免税店「Fa-So-La ARRIVAL DUTY FREE」の場所(画像:成田国際空港)。