旅客機の上級席「ビジネスクラス」。エコノミークラスと実際のところ、どこがどのように異なるのでしょうか。

メルボルン行きJL773便「JAL SKY SUITE」に搭乗したところ、珍しい出来事もありました。

「ベスト・ビジネスクラス・エアラインシート」に選ばれた座席

 旅客機の上級席「ビジネスクラス」。エコノミークラスと、どう違うのでしょうか。日本航空(JAL)のボーイング787-8型機に設けられているビジネスクラス「JAL SKY SUITE」を体験しました。ファーストクラスをつくる気持ちでJALが開発にあたったという、2013年のSKYTRAX社「ワールド・エアライン・アワード」で「ベスト・ビジネスクラス・エアラインシート」に選ばれた座席です。

機内で名前を呼ばれる

 2017年9月1日(金)、成田10時30分発のオーストラリア・メルボルン行きJL773便に搭乗。個室感を高めたという空間、そして大きな液晶モニターが目を引きます。座席はフルフラットにでき、動作は電動。全席から通路へ直接アクセス可能です。

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JALのビジネスクラス「JAL SKY SUITE」。
【動画】ビジネスクラス、エコノミーとどう違う? 「JAL SKY SUITE」搭乗 初便のレア風景も(写真47枚)

大きな液晶モニター。離陸後、隣の席との仕切り壁があがる。

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「ゼロハリバートン」コラボのアメニティキット。

 席についてまず届けられるおしぼり。しっかりした布地のもので、アロマの香りがしました。JALオリジナルのアロマで、長野のヒノキ、青森のヒバ、北海道や岐阜の松の葉、高知の柚子といった天然の精油を使っているそうです。

 用意されていたアメニティキットは、「ゼロハリバートン」とコラボしたもの。日本発はソフトケース、海外発はハードケースで、中にはリップクリーム、歯磨きセット、モイスチャーマスク、耳栓、アイマスク、ポケットティッシュが入っていました。

 成田空港を離陸。ベルトサインが消灯したのち、CAが席に来て「○○様 いつもありがとうございます」という、各乗客に、その乗客の名前を入れての挨拶がありました。「ビジネスクラス」を改めて印象づけられます。

ワンプレートでは到底終わらない、ビジネスクラスの食事

 10時30分発の便なので、巡航に入るころはちょうど食事時。CAが注文を取りに来たので、和・洋から「和食」を選択しました。東京・芝大門「くろぎ」黒木 純シェフが監修しているそうです。

シャンパン、目的地のワインも

 12時過ぎ、まずドリンクと先付け「胡麻豆腐 山葵のせ」「ジャガイモとジロール茸のキッシュ」。ドリンクはソフトドリンクやビール、ワイン、焼酎、日本酒などのほか、シャンパンも選べるほか、就航記念で行先であるオーストラリアの赤ワインも用意されていました。

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まずはシャンパン。
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先付け。
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茜空と「赤い鶴」。

 続いての茜空(前菜)は「鱧霜降り 梅肉 河豚昆布〆」「海老 和風タルタルソース掛け キャビア」「花れんこん 秋刀魚山椒 鰻巻き 衣かつぎ」「豚すき煮 人参 温度玉子
椎茸 長葱 白滝」「柿なます 胡麻クリーム」。箸置きが赤い鶴で、気が利いています。

 台の物(メイン)は「和風牛タンシチュー 鮭味噌漬け」。ご飯は炊きたて。

 デザートは「メルボルン線就航記念 ラミントンケーキ」。

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炊きたてのご飯によく合う台の物。
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「メルボルン線就航記念 ラミントンケーキ」。

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横にあるコントローラーで音楽や映画などの再生が可能。

 音楽を聴きながら目をつぶると、機内であることを忘れてしまいそうです。ヘッドホンもエコノミーとは違い、厚みのある音が聞こえてきます。

ラッキーだったメルボルン行きJL773便?

 2017年9月1日(金)の成田発メルボルン行きJL773便、ちょっと珍しい出来事がいくつか起きています。

眼下に見えた、珍しい南国の蝶の島

 16時ごろ、機長による放送がありました。

「左に蝶の形の島がご覧になれます」

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エンジンの右側に見えるのが「バタフライアイランド」(2017年9月1日、恵 知仁撮影)。

 気づけばもう、パプアニューギニア付近。「バタフライアイランド」といい、雲に隠れずきれいに見えるのは珍しいそうです。JAL乗務員のあいだでは「バタフライアイランドが見えると幸せになれる!」とも言われているとか。

 今回搭乗したJL773便は、JALのメルボルン就航初便。成田空港では、消防車によるお祝いの放水を受けて出発しました。「バタフライアイランド」も、初便を歓迎してくれたのかもしれません。

到着1時間半前までOK!

 17時過ぎ、西の空。太陽が雲に落ちていきます。……小腹が空いてきました。

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「オリジナルミートパイ」と赤ワイン。
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「JAL厳選カレー」とビール。
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「DEAN&DELUCA」のアイスと「メルボルン ブリーズ」。

 メルボルン線就航記念の、オーストラリア産牛フィレ肉を使った「オリジナルミートパイ」。……そういえばJALは、ラウンジのカレーが有名です。

「JAL厳選カレー」も追加注文し、最後は「DEAN&DELUCA」のアイスと、メルボルンのコーヒー文化をイメージしたというオリジナルカクテル「メルボルン ブリーズ」。これら軽食は1回目の食事終了後、到着1時間半前まで注文できました。

ビジネスとエコノミー、価格差はどれくらい?

 このビジネスクラス「JAL SKY SUITE」は全席が通路に直結。気兼ねなくお手洗いに、また機内散策に行けます。

機内にパイロットによる工夫が

 機内に、機長たち運航乗務員から乗客へのメッセージが書かれたノート「旅の手帳」が置かれていました。CA(客室乗務員)と異なり、乗客と接する機会が少ない運航乗務員。そうしたなか、より乗客にいい思い出を作ってもらうため、運航乗務員も何かできないかと考え、JALではこの「旅の手帳」という取り組みを行っているそうです。

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機内に置かれている「旅の手帳」。
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写真とあわせて機長たちからのメッセージが書かれていた。
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モニターに現れた南極。

 このJL773便はメルボルン線就航初便のせいか、乗客も多くのコメントを運航乗務員へ返していました。

メルボルンでも放水で

 モニターに白い大陸が見えてきました。南極です。

 CAから手書きのメッセージカードをもらい「ビジネスクラス」らしさを改めて実感するなか、JL773便は日本時間の20時55分、定刻にメルボルン空港へ到着。ここでも放水で歓迎されています。

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JL773便のクルー(2017年9月1日、恵 知仁撮影)。

 ちなみに、成田~メルボルン間のJAL最安運賃は、エコノミークラスが6万9000円、ビジネスクラスが28万1000円です(2017年9月22日における11月1日の片道運賃。諸費用除く)。

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