鉄道会社経営シミュレーションゲーム『A列車で行こう9』で、日本の鉄道風景を再現します。今回は出雲編。

寝台特急「サンライズ出雲」の目的地です。

女子旅で人気の出雲を旅しよう

 鉄道会社経営シミュレーションゲーム『A列車で行こうExp.(エクスプレス)』は2017年12月21日(木)に発売されます。PS4版に対抗してWindows版の『A列車で行こう9』を遊び始めた筆者(杉山淳一:鉄道ライター)も、PS4版がキーボードとマウスに対応と聞いて気になってきました。いや、いやいやいや、PCでがんばる。うん、がんばるんだ! 今回は出雲編!

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『A列車で行こう9』で街を再現して旅をする「A列車紀行」。第3回は出雲へ。

『A列車で行こう9』に収録された車両のなかで、筆者のお気に入りは285系電車です。現役の定期寝台特急用車両として唯一の形式。寝台特急「サンライズ出雲」として東京~出雲市間、「サンライズ瀬戸」として東京~高松間を走ります。ふたつの列車は東京~岡山間では連結して走ります。

『A列車で行こう9』を旅する 出雲編:旧国鉄大社線、復活のシナリオを作る!

『A列車で行こう9』のマップコンストラクション機能で出雲地域を再現。寝台特急「サンライズ出雲」が到着!!

 下り列車の場合、東京駅を22時に発車し、煌(きら)めく都会をあとにして夜を駆け抜けます。

夜明けの岡山で分割されたあと、「サンライズ出雲」は伯備線で中国山地を越えます。心地良い寝台個室で、2度寝から覚めると伯耆大山がお出迎え。3度寝から目覚めると宍道湖です。寝過ぎ(笑)。「サンライズ瀬戸」は朝の瀬戸大橋を渡る車窓が良いですね。そして時々、琴平駅(香川県琴平町)まで延長運転してくれます。観光に便利です。

出雲市駅付近でマップを作製

 今回は「サンライズ出雲」が走る風景を再現します。地域選びはかなり悩みました。伯耆大山が見える米子付近も良いし、宍道湖のほとりを走る風景も良いです。宍道駅付近を再現するなら、出雲縁結び空港を配置できます。木次線も入ります。

せっかく木次線を入れるなら、出雲坂根のスイッチバックも入れたい。しかし、10km四方のマップ範囲だと山陰本線からスイッチバックまで入りません。「もっと広いマップで遊びたい」とは贅沢でしょうか。同じ面積なら真四角ではなくてもいいんですけどね……。アートディンクさんお願いしますよ。

 というわけで、今回は終着駅の出雲市駅付近にしました。国土地理院の電子地図で検討したところ、出雲市駅から出雲大社まで収められそうです。「バタデン」の愛称で親しまれている一畑電車の路線網は、北松江線と大社線が分岐する川跡駅まで再現可能。南のJR山陰本線は西出雲駅付近の車両基地「後藤総合車両所出雲支所」も入ります。「サンライズ出雲」や「やくも」も走らせて、単線ながら賑やかになりそうですね。

『A列車で行こう9』を旅する 出雲編:旧国鉄大社線、復活のシナリオを作る!

北西の隅に出雲大社、南西の隅に神西湖、北東の隅に川跡駅を収めると、出雲平野の全体が収まる。東西に流れる神戸川がアクセントになりそうだ(国土地理院の地図を加工)。

 出雲大社を北西の隅に置いて、東へ10km、南へ10kmを計測しました。東西方向に一畑電車の大社線があります。東側は本線格の北松江線と接続する川跡駅が入りました。南へ垂線を降ろしていくと、山陰本線の江南駅付近まで届きます。これらの2辺を使って正方形を作ると、出雲市駅は中心より東側にあります。西出雲駅も入るので、車両基地も入りますね。線路の配置としては充分に楽しそうです。

『A列車で行こう9』を旅する 出雲編:旧国鉄大社線、復活のシナリオを作る!

完成したマップのサテライト画面。JR山陰本線も一畑電車も単線だから、マップ外へ出た電車は同じ線路に戻ってくる。衝突しないようにダイヤを工夫したい。そして西半分に線路がなくて寂しい。実は以前、ここには鉄道路線があった。

 地形はどうでしょう。北の辺は山地です。島根半島の北山山系と呼ばれる地域です。マップの背景としてきれいに収まりそうですね。南側も中国山地が始まります。出雲平野は山地に挟まれた地域なんですね。水源も多く農耕に適しているような印象です。西側は日本海の海岸線。これはマップのエリアから外してもいいかな、と思いましたが、南西に神西湖がありました。これはきちんと収めましょう。東側は斐伊川です。ヤマタノオロチ伝説の元になった暴れ川ともいわれています。

出雲大社や出雲ドーム、川跡駅などを再現!

 それでは、作製したマップの見どころを案内しましょう。

 まずは中心地の出雲市駅。山陰本線の主要駅で、島式ホーム2面、線路4本の立派な高架駅です。寝台特急「サンライズ出雲」、岡山方面の特急「やくも」の終点です。山陰特急「スーパーおき」「スーパーまつかぜ」が通ります。普通列車はディーゼルカーと電車があります。賑やかですね。そして一畑電車の電鉄出雲市駅が隣接します。駅周辺はホテルと駐車場が多く、ちょっと寂しい感じです。

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出雲市駅。山陰本線と一畑電車の駅が並ぶ。

 西出雲駅の西側にある車両基地、後藤総合車両所出雲支所です。

山陰本線の電化区間の西端で、出雲市駅に到着した電車はここまで回送されます。午前中に到着した「サンライズ出雲」を夕方まで留置させておきましょう。

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後藤総合車両所出雲支所。広い敷地にディーゼルカーと電車がたたずむ。

 観光の見どころは出雲大社駅。一畑電車の駅舎は小さく、ステンドグラスをあしらったかわいらしい建物です。『A列車で行こう9』では「始発駅」を使います。出雲大社は大きな神社を置き、広大な敷地に樹木を配置します。出雲大社までの参道は細いため、わざわざ道路を作らず建物の隙間で再現します。

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出雲大社と出雲大社前駅。
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一畑電車の大社線。車窓から見える出雲ドームはなんと木製!! 野球やサッカーの試合、コンサートが開催されている。
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川跡駅。小さいながらも2面4線で、ダイヤ作りにおいて使いやすい構造だ。

 一畑電車の沿線風景もこだわりたいところ。住宅と田畑ばかりですが、アクセントとして出雲ドームがあります。再現にあたっておさえておきたい建物です。そして川跡駅。北松江線と大社線の分岐駅です。大社線は線内折り返し電車だけではなく、松江しんじ湖温泉や、電鉄出雲市からの直通電車もあります。ダイヤを工夫して再現しましょう。

旧国鉄大社線をゲームで復活させたい

 出雲の街から大社へ、現在は一畑電車が通じています。しかし、実は1990(平成2)年まで、もうひとつの鉄道路線がありました。JR西日本の大社線です。出雲市駅で山陰本線から分岐して西へ、神戸(かんど)川の分流点付近から北へ向かい、大社駅まで。大社駅は出雲大社の玄関口として、神殿のような立派な駅舎でした。この建物は国の重要文化財になっており、現在も自由に見学できます。構内も一部残され、蒸気機関車も保存されています。

 大社線は出雲大社の参詣路線として、全盛期は東京から急行「出雲」、名古屋から急行「大社」、大阪から急行「だいせん」が運行されていました。しかし観光客以外の乗客は少なく、赤字を理由に廃止されました。せめてゲームマップでは現役で残したいところです。いや、それよりも、大社駅の配置に留めて、ゲームシナリオとして大社線の復活にチャレンジしても楽しそうですね。

『A列車で行こう9』を旅する 出雲編:旧国鉄大社線、復活のシナリオを作る!

大社線はこのあたりを通っていた。
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現在の大社駅。筆者が訪れたときは朝市が開かれていた。
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ゲームでは立派な駅舎の代わりに神社とホームを配置した。

 いかかでしたか。神話の里、出雲平野はJR山陰本線と一畑電車のネットワークがあります。ここから先、このゲームで出雲市周辺の発展させるためには、山陰本線で両隣の街との直通列車を充実させたり、複線化したりして運行頻度を高める必要があります。大社線を復活させたり、一畑電車と山陰本線を直通運転させて「サンライズ出雲」を出雲大社前駅まで直通させたりするのもおもしろそうです。

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