アメリカ先住民の名を冠する攻撃ヘリコプター、AH-64「アパッチ」。陸上自衛隊にはその派生型であるAH-64D「アパッチ・ロングボウ」が採用されています。
世界最強の攻撃ヘリと名高いAH-64D「アパッチ・ロングボウ」。陸上自衛隊へはAH-1S「コブラ」攻撃ヘリコプターの後継機種として、2006(平成18)年から導入が開始されました。
世界最強の攻撃ヘリと名高いAH-64D「アパッチ・ロングボウ」(2016年、石津祐介撮影)。
AH-1Sは、アメリカのベル・ヘリコプター社が1967(昭和42)年に同社のUH-1をベースとして開発したAH-1「コブラ」の改良型です。、AH-1はベトナム戦争などで活躍し、1000機以上が生産されました。陸上自衛隊ではAH-1Sが1982(昭和57)年に配備され、1995(平成7)年までに90機が導入されますが、旧式化にともない後継機種の選定が行われます。
後継機種の候補に上がったのは、AH-1の改良型AH-1ZとAH-64D「アパッチ・ロングボウ」でした。それぞれ検討比較され、AH-1Zは開発時期や性能の問題から選択されず、2001(平成13)年8月にはAH-64D「アパッチ・ロングボウ」の採用が決定します。
当初は62機を調達する予定でしたが、部品調達の問題などからわずか13機で終了となってしまいます。
冷戦下、対戦車の切り札として1984(昭和59)年からアメリカ陸軍で運用が開始されたAH-64「アパッチ」は、冷戦時代に旧ソ連を中心とするワルシャワ条約機構軍にて戦車などの戦闘車両が増強されたことに対抗するため、強力な対戦車攻撃能力もつヘリとしてマクドネル・ダグラス(現ボーイング)によって開発されました。

強力な対戦車攻撃能力を持つ攻撃ヘリとして開発された。

その「アパッチ」の改良型AH-64D「アパッチ・ロングボウ」は、特徴でもあるロングボウ・レーダーをメインローター軸の上に搭載し、ミリ波レーダーによって目標を広範囲に探知する能力を有しています。
機首前方には、目標捕捉、指示照準装置(TADS)と操縦者用の暗視装置(PNVS)で構成された火器管制装置を備えており、夜間や悪天候での攻撃が可能となっています。コックピットは乗員2名で、後席に操縦手、前席には射撃手が搭乗します。
日本独自の仕様もAH-64D「アパッチ・ロングボウ」の全長は17.7m、メインローター径は14.6m、最高速度は270km/h、航続距離は機内燃料で490km。武装は、機首下に30mm機関砲を備え、小翼に片側2か所ずつある兵装パイロン(支柱)には、ヘルファイア対戦車ミサイルや70mmロケット弾ポッド、日本独自仕様としてスティンガー空対空ミサイルを装備することが可能です。

デモフライトを行う、オランダ陸軍のAH-64D(2016年、石津祐介撮影)。

映画『シン・ゴジラ』にも登場したAH-64D(2016年、石津祐介撮影)。
これまでアメリカをはじめ、イギリス、イスラエル、オランダなど各国で使用されています。
陸上自衛隊では前述のように13機が調達され、航空学校と佐賀県の目達原駐屯地、三重県の明野駐屯地に配備されおり、最近では映画『シン・ゴジラ』に登場したことでも知られています。
【写真】こちらも有名、陸自AH-1S「コブラ」

陸上自衛隊の攻撃ヘリとして、長年に渡り活躍しているAH-1Sコブラ(2017年、石津祐介撮影)。