「道路率」は、国や都市などの道路の整備割合を表す数値。日本の政令指定都市のなかでは名古屋市がトップです。

名古屋市の道路率はなぜ高いのでしょうか。また、それが高いことでどんなメリットがあるのでしょうか。

生活や経済だけでなく、防災面でも有利

 ある地域の面積に占める道路の割合を表す指標として「道路率」というものがあります。日本の政令指定都市のなかでは名古屋市が18.34%でトップです。

●政令指定都市の道路率トップ10(2017年、名古屋市緑政土木局の資料から作成。東京23区と大阪、川崎、さいたま、千葉の各市は2016年の数値)

1位:名古屋市  18.34%
2位:東京23区  16.41%
3位:大阪市   14.93%
4位:横浜市   12.49%
5位:堺市    12.39%
6位:川崎市   12.24%
7位:さいたま市 11.10%
8位:千葉市   9.46%
9位:福岡市   9.16%
10位:神戸市   7.47%

「道路率」名古屋が1位のワケ そもそも高いとどんなメリットが...の画像はこちら >>

名古屋城(画像:photolibrary)。

 道路率が高いと、どのようなメリットがあるのでしょうか。また、名古屋市の道路率が政令市でトップである理由は何なのでしょうか。名古屋市住宅都市局に聞きました。

――道路率が高いと、どのようなメリットがあるのでしょうか?

 道路率が高いということは、道路の整備が進んでいることを表します。交通面で市民の生活がより便利になり、経済発展においても有利になりますが、防災面でのメリットも大きいのです。救急出動や災害救助においても、救急車や消防車などが現場に早く到着することができますし、十分な道幅が確保されていれば、火災が発生しても延焼を遮断できます。

地震などの大規模災害が発生した場合にも、建物の倒壊による道路への影響を軽減でき、避難や救助がやりやすくなります。

道路率全国1位の理由は戦後の復興計画

――名古屋市はなぜ道路の面積が大きいのでしょうか?

 名古屋市の道路整備の原型は、戦後すぐに計画された戦災復興計画にあります。この計画によってスムーズに区画整理が進み、道路が急速に整備されていったと考えられます。特に、市中心部に2本ある「100m道路(編集部注:名古屋市中心部を東西、南北に走る幅100mの道路)」は、最初から防災を念頭に置いて整備されたものです。

――今後はどのような道路整備を進めていくのでしょうか?

 実は、名古屋市の都市計画道路(都市計画法で定められた、都市の骨格を形成する道路)における基幹部分840kmのうち、すでに9割以上が整備済みです。残りの計画中の道路を整備していくのはもちろんですが、すでにある道路をいかに補修し、維持していくかが重要になっているのです。
 
※ ※ ※

 なお、名古屋市緑政土木局によると、限られた予算のなかで市の隅々まで道路を維持しなければならないため、老朽化した道路の補修については事故の危険性がある場所や、市民から要望が寄せられた場所などを優先して対応しているそうです。

 道路率は道路の整備割合を表す数字ですが、都市計画や街づくりの展望などを知る手がかりのひとつともいえそうです。

【写真】ガチで広い! 名物「100m道路」

「道路率」名古屋が1位のワケ そもそも高いとどんなメリットがあるのか

東西に走る若宮大通と南北に走る久屋大通がいわゆる「100m道路」。名古屋市中心部の矢場町交差点で交わる(画像:国土地理院)。

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