首都高のうち、おもに神奈川県内を通る路線には「K1」から「K7」までの路線番号がついていますが、このうち「K4」は、路線図などでもその名が見られません。なぜでしょうか。

K4=「磯子線」?

 1都3県に路線網を持つ首都高、おもに神奈川県内を通る路線には、次のように「K1」から「K7」までの路線番号があります(区間は2018年2月現在)。

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K3狩場線、山下町出入口付近。奥はランドマークタワー(画像:photolibrary)。

・K1:横羽線(1号羽田線接続部~石川町JCT)
・K2:三ツ沢線(金港JCT~三ツ沢JCT)
・K3:狩場線(石川町JCT~狩場JCT)
・K5:大黒線(大黒JCT~生麦JCT)
・K6:川崎線(大師JCT~川崎浮島JCT)
・K7:横浜北線(生麦JCT~横浜港北JCT)

 このなかで「K4」が存在しないのはなぜでしょうか。たとえばホテルの客室番号などでは、縁起が悪いとされる「4」を避けることもありますが、首都高の場合は東京に4号新宿線が存在しています。

 首都高速道路によると、「『磯子線』の計画があったためと推測されます」とのこと。ただし、「K4」=「磯子線」と明記した資料などはないといいます。

 磯子線とはどのような路線なのでしょうか。1989(平成元)年発行の『首都高速道路公団三十年史』によると、当時の首都高速道路公団が計画中の路線として、次のように紹介されています。

「磯子線は、横浜市南区陸町で横浜高速2号線(編集部注:現在のK3狩場線)から分岐し、掘割川に沿って南下、磯子区磯子で高速湾岸線(5期)に接続する延長3.6kmの路線で、(中略)横浜市中心部と臨海部との有機的連絡、国道16号等一般街路の混雑緩和を図ることを目指すものである」(『首都高速道路公団三十年史』)

 K3狩場線と湾岸線を連絡する路線で、同書に掲載された路線図にも「調査区間」として記されています。しかし現在に至るまで、磯子線の建設は進んでいません。

磯子線、実現の見込みは?

 首都高速道路によると、路線番号の付け方は「開通のタイミングや、建設計画、他路線とのつながり、自治体のご意見などを総合的に判断して決めています」といい、ひとつの基準はないといいます。

「K」を冠した神奈川区間各線の場合は、開通順になっているそうです(K3狩場線は最初の区間の開通が1984年、全通が1990年で、そのあいだにK5大黒線が1989年に全通しているといった時期のズレはある)。K3狩場線とつながる計画の磯子線のために、「K4」を欠番としていたのかもしれません。

首都高「K4」はどこ? 神奈川区間の欠番、幻の計画とは

磯子線のルートイメージ(国土地理院の地図を加工)。

 ではその後、磯子線はどうなったのでしょうか。

 2006(平成18)年に国土交通省が発表した「首都圏整備計画」でも、「高速磯子線」が整備の「候補路線」とされているほか、2018年2月現在で横浜市磯子区がウェブサイトで公表している「まちづくり方針」(最終更新2011年2月)においては、「高速湾岸線と高速狩場線とを結ぶ高速磯子線が構想されていますが、高速湾岸線の本牧ジャンクションの改良による効果を見ながら、高速磯子線の整備について検討します」とあります。

 この「本牧ジャンクションの改良」が行われたのは、2004(平成16)年のこと。K3狩場線が湾岸線へ合流する本牧JCTは、それまで「狩場線から湾岸線東行き(東京方面)」「湾岸線西行き(磯子方面)から狩場線」しか通行できませんでしたが、このときの改良により、「狩場線から湾岸線西行き(磯子方面)」「湾岸線東行き(東京方面)から狩場線」の通行も可能になりました。2018年2月現在、磯子区区政推進課は次のように話します。

「高速磯子線は、すでに都市計画そのものが廃止されました。現在行っている『まちづくり方針』の改訂においても、記載を削除しています」(磯子区区政推進課)

 磯子区区政推進課は「磯子線実現の見込みは、ほとんどないと見てよいでしょう」としています。

【地図】神奈川区間「K1」~「K7」の路線図

首都高「K4」はどこ? 神奈川区間の欠番、幻の計画とは

神奈川区間の路線図。K4は存在しない(画像:首都高速道路)。

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