明石海峡大橋と大阪、神戸、姫路方面などを結ぶ神戸淡路鳴門道の垂水JCTは、GWなどの連休に上り線が激しく渋滞します。迂回路があるのに渋滞がなくならない背景には、やむにやまれぬ事情がありました。

抜け道は簡単、「ひとつ先のJCT」なのだが…

 全国の高速道路で「よく混雑する」といわれる渋滞ポイントのなかでも、特にゴールデンウイークやお盆、年末年始などの時期に限って深刻な渋滞が発生する場所があります。そのひとつが、神戸淡路鳴門道の明石海峡大橋から垂水JCT付近までの上り線です。

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本州と淡路島を結ぶ神戸淡路鳴門道の明石海峡大橋。吊り橋の規模を表す中央支間長(塔と塔の距離)で世界一(画像:写真AC)。

 同区間は、普段は週末の夕方に多少混雑する程度ですが、大型連休などでは明石海峡大橋から神戸、大阪方面に向かうクルマが集中して激しい渋滞が発生します。2017年のGWには垂水JCT上り線を先頭に45kmの渋滞が発生しました。神戸淡路鳴門道を管理する本四高速(神戸市中央区)に聞いたところ、実は「スムーズに神戸や大阪に抜けられる迂回ルートがある」といいます。

 迂回ルートがあるのに渋滞するのはどういうことでしょうか。本四高速に聞きました。
 
――そもそも、上りの垂水JCTではなぜGWやお盆などに渋滞が発生するのでしょうか?

 大きな原因は、Uターンラッシュによる交通集中です。明石海峡大橋から神戸、大阪方面に向かうクルマの多くは上り垂水JCTから第二神明道路を乗り継いで阪神高速3号神戸線に向かうのですが、垂水JCTの分岐路が左側1車線しかなく、その先の第二神明道路への連絡路も1車線になるため渋滞が発生しやすく、ピーク時には渋滞の車列が本線上まで伸びてきてしまうのです。

――神戸、大阪方面に抜ける迂回ルートへは、どのように行けば良いのでしょうか?

 とても簡単です。

垂水JCTをそのまま通過していただければ良いのです。次の布施畑JCTから、阪神高速7号北神戸線経由で3号神戸線の大阪方面に抜けられます。走行距離は少し長くなりますが、大阪市内まで走行する場合はETC料金も若干安くなります。

迂回ルートへクルマが流れない理由

――迂回ルートがあるのに、なぜ渋滞がなくならないのでしょうか?

 ここ数年、各種媒体やSA、PAなどで一生懸命お知らせしているのですが、なかなか周知が進んでいません。普段はこの道路を利用されないお客様も多く、カーナビで経路を検索すると「最短ルート」として垂水JCTからの分岐を案内されるケースが多いため、結局この場所で交通集中が起こってしまうのです。

※ ※ ※

 迂回ルートの案内であれば、渋滞ポイント手前で看板や掲示板を使って直接知らせる方法も効果がありそうに思えます。しかし、そのことについて本四高速の担当者に聞いたところ、「実施したいが、できない」事情があるというのです。

「上り垂水JCTの手前は橋やトンネルが続く区間で、路肩に看板などを設置すると、わき見運転などの危険が出てきます。警察の指導もあり、標識や看板は最小限にしなければならないのです。迂回路を含めた通行ルートと所要時間を示す情報表示板もあるのですが、それだけではなかなか伝わらないのが現状です」(本四高速 広報担当)と、もどかしさをにじませます。

神戸淡路鳴門道、連休の渋滞なぜ? GWに40km超も 対策してもなくならない理由

大型連休の上り線で深刻な渋滞が発生する垂水JCT。1車線しかない分岐路に神戸、大阪方面へ向かうクルマが集中してしまう(画像:PIXTA)。

 例年、本四高速はGWやお盆休み、年末年始に先立って渋滞予測を発表し、上り垂水JCTについては「交通量がピークとなる最終日前日、特に夕方の時間帯を避けること」と、「布施畑JCT経由の迂回ルートを積極的に使うこと」を呼びかけています。

「時間帯にもよりますが、布施畑JCT経由のルートは比較的スムーズに通行できます。2018年3月には新名神の川西IC~神戸JCT間が開通し、布施畑JCTを直進して山陽道、新名神を通って高槻や京都に抜けるルートもできました。こうした迂回ルートをぜひ多くの人に使ってもらいたいと願っています」(本四高速 広報担当)

 迂回ルートの認知が広がれば交通が分散し、上り垂水JCTの渋滞も緩和に向かうかもしれません。ドライバーにとっても、事前に発表される連休の渋滞予測とあわせてルートを確認しておくと、得られるメリットは大きいでしょう。

【図】連休渋滞の名所「垂水JCT」 神戸、大阪へのルート

神戸淡路鳴門道、連休の渋滞なぜ? GWに40km超も 対策してもなくならない理由

垂水JCTの上り線から神戸、大阪方面に向かう3つのルート。本四高速が大型連休などに先立って案内している(画像:本四高速)。

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