JR東海が展開する観光キャンペーン「そうだ 京都、行こう。」の、青もみじを堪能するプレスツアーに参加しました。新緑の季節は、観光ハイシーズンの春や秋に比べ、めぐりやすい時季であるといいます。

紅葉名所は「青もみじ」の名所

 今年で25年目を迎える、JR東海が展開する京都の観光キャンペーン「そうだ 京都、行こう。」。絵葉書のような社寺の映像とともに、長塚京三さんのナレーションや『My Favorite Things(私のお気に入り)』のBGMが流れるCMでおなじみです。

 そんな「そうだ 京都、行こう。」の、2018年4月に開催された「青もみじ」を見に行くプレス向けツアーに参加してきました。「青もみじ」とは、春の若葉から次第に色を濃くしていく緑色のカエデの葉。青もみじに映える時季の京都は、春や秋に比べると空いており、比較的めぐりやすいのだそうです。

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貴船神社。灯篭と若々しい黄緑色とのコントラストは圧巻(2018年4月22日、高橋亜矢子撮影)。

 最初に向かったのは、京都市の北部に位置する貴船神社。その歴史は古く、創建時期は不明とのこと。ただ、社伝には、約1300年前に本殿を建て替えたという記述が残っており、つまり、それより前から存在していたとされています。

 貴船神社は、大きく「本宮(ほんぐう)」「結社(ゆいのやしろ)」「奥宮(おくみや)」の3つに分けられます。本宮の手前には87段の石段があり、その左右には「春日灯篭(とうろう)」と呼ばれる朱色の灯篭がずらりと並んでいます。

 本宮と奥宮に祀られているのは、水の神様です。海上自衛隊、漁師、さらには酒造を営む人々などからの信仰があついといいます。

京都は新緑も良い 貴船、瑠璃光院、叡山ケーブル…青もみじに映える古都をめぐる

貴船神社に向かう途中で見た「青もみじ」。
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「結社」にある「結び文」。願い事を記して神前に結び付ける。
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ライトアップされた貴船神社。

 そして結社には、縁結びの神様が。ここはかつて、磐長姫(いわながひめ)というお姫さまが美しい妹とともに嫁いだ際、自分だけ帰されるという悲劇に遭遇し、「このような悲しい気持ちは他の人には味わってほしくない」という思いで御鎮座したことが由来になっているといいます。

ITリテラシーが高い神社

 様々な顔を持つ貴船神社ですが、ITリテラシーの高い神社でもありました。本宮にある御神水におみくじを浸すと文字が浮かび上がる「水占(みずうら)みくじ」(200円)には、4か国語対応のQRコードが記されています。

「昨今のインバウンド客増加に伴い、約2年前からQRコードを記載しています。結果が画面表示されるほか、音声で聞くこともできます」(貴船神社 権禰宜 高井大輔さん)

 本宮の境内はWi-Fiにも対応。

ちなみに、アクセスポイント(SSID)の名前は「PowerSpot(パワースポット)」です。

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神聖な雰囲気がただよう「奥宮」。
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QRコードで4か国語に対応する「水占みくじ」
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Wi-Fiの名前は「PowerSpot(パワースポット)」。

 本宮から徒歩10分ほどの奥宮へも足を伸ばしました。

「奥宮の本殿の下には龍穴ともいわれる井戸があります。井戸の上にお社が建っているというのは、日本でも非常に珍しいものです」(貴船神社 高井さん)

 井戸のなかは決して見てはならないといわれているそうです。

 貴船神社の拝観時間は、5月から11月は6時より20時まで。新緑ライトアップ開催日は、5月3日(木・祝)から6日(日)、12日(土)、13日(日)、20日(日)、26日(土)、27日(日)です。水占みくじやお守り、御朱印などの授与受付は、通常17時までですが、新緑ライトアップ開催日は、20時まで延長されます。

青もみじと苔の親和性は高く、美しい

 翌日は嵐山へ向かいました。この周辺には、限られた期間だけ特別公開されている場所が多くあります。時季はおもに春と秋。

回遊式の庭園がある宝厳院(ほうごんいん)も、春の特別公開を実施している寺院のひとつです。

 この宝厳院で圧巻だったのが、周辺の山道などを含めると約300本あるという青もみじに加え、巨岩や地面に生えた美しい苔(こけ)の姿。まるでじゅうたんのようにびっしり、フサフサしていました。

「もみじと苔は、どちらも水分を好みます。また、紅葉の時季には、落ちたもみじの葉が苔を隠し、日光を遮ることも苔の生育環境に良いのではないかと思います」(宝厳院 副住職 田原英彦さん)

 宝厳院の春の特別公開は6月30日(土)まで。拝観時間は9時から17時(本堂ふすま絵の受付終了は16時30分)。拝観料は大人500円、小中学生300円です(本堂ふすま絵は別途500円)。

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ところどころ苔に覆われた、宝厳院の巨大な岩。
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宝厳院入口前の、笛を吹く石像。
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ウコン色の御朱印を手に持つ常寂光寺の住職 長尾さん。

 そこから約20分歩いてたどり着いたのが常寂光寺(じょうじゃっこうじ)です。清少納言が「山は小倉山」と言ったという小倉山の中腹にある、日蓮宗の寺院です。

 常寂光寺の住職 長尾憲佑さんは「平安時代、公家たちはここにこもって、歌のネタを仕入れていたようです。貴族文化が色濃く残る場所であり、歌が詠まれた場所を実際に体験できる、ある意味『タイムカプセル』ですね」と話します。

 ちなみに、常寂光寺で配られた御朱印の紙はウコン色。これはかつて、お経を書いた紙が虫に食われないよう、ウコンで染めていたころの色に由来するそうです。常寂光寺の拝観時間は9時から17時まで(16時30分受付終了)、拝観料は500円です。

ケーブルカーの車窓に野生の鹿!

 その後、八瀬へ向かいました。叡山ケーブル(京福電気鉄道鋼索線)でケーブル八瀬駅を出発。急斜面を登ってケーブル比叡駅に着くと、すぐ、京都の街を一望できます。

 ケーブルカーの車窓には、野生の鹿の姿もありました。線路からすっと離れていった鹿の様子をうかがいながら、アテンダントさんは「野生の鹿のお見送りです」とアナウンス。車内が和みました。

 叡山ケーブルは通常18時ごろが終電ですが、周辺のライトアップに合わせて、期間限定で上り20時、下り20時15分まで運行するそうです。

つまり、その期間中は京都市街の夜景も楽しめます。

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叡山ケーブルに乗車する。駅も急勾配。
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ケーブル比叡駅付近からの眺望。延長運転日は夜景も楽しめる。
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瑠璃光院の2階から眺めた、青もみじのライトアップ。

 最後に訪れたのは、瑠璃光院(るりこういん)です。夜間ライトアップを見せてもらいました。

 暗い本堂からライトアップで彩られた庭をのぞくと、鮮やかな絵画に囲まれているよう。その風情を盛り上げるように、同志社大学の学生たちが、和楽器で音楽を奏でます。そして、その音楽が終わると、入れ替わるようにカエルの鳴き声や川の音が静かに聞こえてきました。

 ただこのカエルの鳴き声、聞きなれないなと思い、瑠璃光院の執事長 中村千里さんに確認したところ、「モリアオガエル」という種類のカエルだそうです。

産卵スタイルが独特で、木に卵を産むカエルといいます。

なかなか拝観できない瑠璃光院

 瑠璃光院 夜の特別拝観は、事前予約制で、1日150人限定の企画です。京都洛北八瀬地区活性化に向けた取り組みの一環といいます。実施日は5月12日(土)、13(日)、19日(土)、20日(日)、26日(土)、27日(日)、6月2日(土)、3日(日)、9日(土)、10日(日)です。拝観時間は19時から20時30分まで。旅行代金は税込6000円で、拝観料と叡山ケーブルの往復運賃が含まれます。楽器の演奏が行われますが、不定期のため、視聴できない場合もあるそうです。

・京都洛北 八瀬もみじの小径ライトアップと瑠璃光院 夜の特別拝観
http://souda-kyoto.jp/travelplan/rurikoin_yase_sp/index.html

 なお瑠璃光院は、日中も拝観日が限られています。春の特別拝観は6月15日(金)までで、拝観時間は10時から17時です。拝観料は一般2000円。日中の拝観の予約受付はありません。

 また、JR東海は、京阪ホールディングスとのコラボレーション特別旅行商品として「青もみじ御朱印めぐり」を発売。東京駅、品川駅、新横浜駅、小田原駅いずれか発着の新幹線往復チケットとホテルがセットになっているほか、「京阪電車・叡山電車1dayチケット(特別版)」「京都地下鉄・嵐電1dayチケット」「旅行商品購入者限定の特別御朱印の授与券(2枚)」が特典で付きます。

 特別御朱印の対象は、プレスツアーでまわった貴船神社、宝厳院、常寂光寺と、下鴨神社、河合神社、神護寺、東福寺、曼殊院門跡、東寺、北野天満宮のあわせて10社寺。特別御朱印の授与券は2枚ですが、3か所以上の社寺についても、御朱印授与券の台紙を提示すると、1か所300円で特別御朱印を受けられます。

・「そうだ 京都、行こう。」古都京都の青もみじ&御朱印めぐり
http://souda-kyoto.jp/travelplan/early-summer_sp/index.html

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