東京~名古屋間を高速道路で移動する場合、最も距離が短いのは新東名高速を利用するルートですが、目的が「早く着くこと」以外なら、東名高速や中央道を利用するルートにもメリットがないわけではありません。
大型車が少ない、「東名ルート」「中央道ルート」東京~名古屋間を高速道路で移動する場合、最も走行距離が短いのは東京ICから東名高速に乗り、御殿場JCTから新東名高速を通る「新東名ルート」ですが、ほかにも東京から名古屋まで旧来の東名高速を使う「東名ルート」や、高井戸ICから中央道を通って名古屋に至る「中央道ルート」も利用できます。
東名高速上り線の富士川SA付近(画像:写真AC)。
これら3ルートの走行距離はどのくらい違うのでしょうか。「新東名ルート」と「東名ルート」の起点を東京IC、「中央道ルート」の起点を高井戸ICとし、これらの終点を名古屋ICとした場合、3ルートの走行距離はそれぞれ新東名314.6km、東名325.5km、中央道350.9kmとなります。さらに、新東名(御殿場IC~豊田東JCT間)はこれら3ルートのなかでもカーブや勾配が緩やかな設計になっています。「新東名ルート」は、早く快適に目的地に着きたい場合には第一の選択肢となるでしょう。
ただ、「東名ルート」や「中央道ルート」にもメリットがまったくないというわけではありません。たとえば、これらのルートは「新東名ルート」に比べて、大型車が少ないという特徴があります。
3ルートが並行する区間の交通量を、国土交通省の「2015年度道路交通センサス」で比較すると、静岡県内における新東名と東名高速の交通量のうち、昼間の12時間に大型車が占める比率は、新東名が40.0%、東名高速が33.3%となっています。長野県内における中央道の交通量では、大型車が26.4%となっており、「高速道路で大型トラックに囲まれながら走る」というケースは「東名ルート」や「中央道ルート」の方が少ないと考えられます。
景観を楽しめるSA、PAが多い「中央道ルート」また、SAやPAの数では、「新東名ルート」の14か所に対し、「東名ルート」は19か所、中央道ルートは下り20か所、上り21か所となっており、新東名のSA、PAは比較的混雑する傾向にあります。NEXCO中日本によると、2018年のGW期間に「混雑が予想される」とされたSA、PAの施設数では「新東名ルート」が9か所、「東名ルート」が4か所、「中央道ルート」が下り9か所、上り10か所となっています。もし、何らかの事情でこまめな休憩が必要な場合には、「東名ルート」が有力な選択肢になるかもしれません。

駐車場から湖を一望できる、諏訪湖SA(2014年8月、佐藤 勝撮影)。
さらに、SA、PAに関しては、「東名ルート」と「中央道ルート」に景色が楽しめる場所が多いという特徴も。NEXCO中日本がまとめた「SA・PAから見える厳選ビュースポット」のうち、海や山など自然の景観が見られる施設は、新東名では駿河湾を一望できる駿河湾沼津SAのみですが、「東名ルート」では湖を一望できる浜名湖SA、富士山が間近に見える富士川SA、駿河湾が間近に迫る由比PAなどがあります。
「中央道ルート」ではさらに多く、展望塔から富士山がよく見える双葉SA、八ヶ岳が間近に見える八ヶ岳PA(下り)、南アルプスの山々が近い駒ヶ岳SA(下り)、御嶽山が間近に見える恵那峡SA(下り)、駐車場から湖を一望できる諏訪湖SAなどがあります。昼間の時間に限れば、中央道ルートで沿線の景色を楽しみながらドライブするという選択肢もありそうです。
ただし、大型連休や年末年始などの時期には、それぞれのルートで長い渋滞が発生する可能性が高くなります。たとえば、2018年のGW終盤において、「中央道ルート」は上り方面の小仏トンネル付近を先頭に30km(5月5日、16時)、「新東名ルート」「東名ルート」では、高速上り方面の大和トンネル付近を先頭に30km(5月5日、20時。いずれもNEXCO中日本の発表による)といった渋滞予測が出されています。渋滞発生箇所に近いSA、PAでは混雑が集中する可能性もありますので、実際の走行には、NEXCO各社および高速道路各社が提供する最新の情報を確認して下さい。
【地図】高速道路で行く、東京~名古屋間の3ルート

東京~名古屋間を移動する「新東名ルート」「東名ルート」「中央道ルート」の概要(国土地理院の地図をもとに乗りものニュース編集部にて作成)。