ANAが機内で提供するワインを一斉入れ替え。18か国、約2800銘柄のなかから54銘柄が選ばれました。

生産者にとってもうれしいことという「エアラインのワイン」、どう決まるのでしょうか。

知名度は関係なし! 約2800銘柄から54銘柄を選出

 ANAが機内で提供をするワインセレクションを2018年9月からリニューアル(一部は6月から先行して提供)。同月25日(火)、東京都港区のANA本社でその発表会と試飲会が行われました。

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中央がANAのドリンク部門アドバイザーとしてワイン選定に携わったコンラッド東京のエグゼクティヴ ソムリエ、森 覚さん(2018年9月25日、中島洋平撮影)。

 ANAでは2002(平成14)年から、機内および空港ラウンジで提供するワインセレクションを毎年一斉に入れ替える形でリニューアルしています。今回のセレクションは、2017年夏に書類選考を開始し、さらに選定会でのブラインドテイスティングを経て約2800銘柄から選ばれた54銘柄。選定には、過去に「世界最優秀ソムリエ」にも選ばれ、エールフランスのワイン選定に携わったオリヴィエ・プーシエさんや、コンラッド東京のエグゼクティヴ ソムリエである森 覚さんのほか、ソムリエ資格を持った客室乗務員をはじめとするスタッフなど約30人が参加しています。

「近年の傾向として、知名度ではなくワインそのものを楽しまれる、大変お詳しいお客様が増えています」と、ANA商品戦略部 部長の原 雄三さんは話します。選定者を代表してセレクションのワインを説明したコンラッド東京の森ソムリエによると、「ブラインドテイスティングというルールもあり、銘柄の知名度にとらわれることなく選ばれています」とのこと。

 森ソムリエによると、エアラインにおけるワインの選び方は地上のレストランなどとは異なるそうです。地上でおいしいと感じたものでも、機内では味覚が異なり、酸味や苦みが突出するといったことがあるのだとか。また、航行距離が短い路線では、ひと口でおいしいと感じられるもの、長い路線では、味の変化をゆっくりと楽しめるものといった配慮も必要なのだそうです。

「幅広いお客様に対応しつつ、そのなかでも個性が出ているもの」(森ソムリエ)という今回のセレクション、どのようなラインアップなのでしょうか。

レアな国産スパークリングワインも

 9月からの機内提供ワインで最初に紹介されたのは、国際線ファーストクラスで提供されている森ソムリエ監修のオリジナル白ワイン「甲州 ANAオリジナルブレンド2017」です。「機内では、スッキリしているだけでは味がぼけてしまいますので、飲んだ前半は丸みを感じられ、後半に複雑さ感じられる2段構えの味わいになっています」と森ソムリエは話します。ANAの客室乗務員によると、乗客からも好評で、搭載の増量を依頼しているほどだとか。

 国際線プレミアムエコノミークラスおよびエコノミークラスでは、オリヴィエ・プーシエさん監修の「トゥーレル・ド・トロミー ANAオリジナル」赤・白の2種が提供されています。森ソムリエによると、どちらも酸味が出すぎずバランスがよく、疲れがちな機内で飲むと元気になるようなワインだそうです。

 また、この9月から11月にかけては、国際線のファーストクラスで初めて日本産のスパークリングワインも提供されます。大分県宇佐市で生産されている「安心院(あじむ)スパークリングワイン」です。こちらは国内でも流通量が少なく、森ソムリエ曰く、「ANA機内では飲めたのに、直後に私が勤めるコンラッド東京で飲もうとしたら切らしていた」ほどだそうです。

 スパークリングワインについては、国際線プレミアムエコノミー/エコノミークラスでは欧州路線のみでの提供でしたが、この9月からは北米、オセアニア、一部の東南アジア路線にも拡大。現在は「ヴーヴ・オリヴィエ・ブリュット」が提供されています。また、国内線プレミアムクラスで9月から路線限定で提供されているシャンパン「シャンパーニュ・ニコラ・フィアット・レゼルヴ・エクスクルーシヴ・ブリュット」なども紹介されました。

選ばれし「エアラインのワイン」その内容は ANAが提供ワインを一斉入れ替え

2018年9月からANA機内で提供されているワイン(2018年9月25日、中島洋平撮影)。
選ばれし「エアラインのワイン」その内容は ANAが提供ワインを一斉入れ替え

2018年度のワインセレクション。
選ばれし「エアラインのワイン」その内容は ANAが提供ワインを一斉入れ替え

国際線ファーストクラスで提供されているANAオリジナルの「甲州」は乗客からも好評だという(2018年9月25日、中島洋平撮影)。

 森ソムリエによると、エアラインで提供されるワインに選ばれるのは、生産者にとってもうれしいことだといいます。「『ファーストクラスで提供されているワイン』というのは、飲む人にとってもうれしくなりますよね。地上だけでなく、機内でも評価される優秀なワインだと思います」と話します。今回紹介した種類を含む計54種類のワインが今後1年間、季節や路線に応じて提供されます。

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