多くのフェリーで、スロットやクレーンゲームなどを備えたゲームコーナーが設けられています。スマートフォンゲームの普及などで街のゲームセンターが姿を消していくなか、根強い需要があるようです。
スマートフォンゲームの台頭などを背景に、ゲームセンターの売上高は縮小しています。日本アミューズメント産業協会によると、2006(平成18)年には7029億円だったゲームセンターなどアミューズメント施設の売上高は、2016(平成28)年には4620億円となっています。
商船三井フェリー「さんふらわあ さっぽろ」のゲームコーナー(2018年11月、恵 知仁撮影)。
街のゲームセンターも姿を消していくなかで、ゲームコーナーが比較的多く残っているのがフェリーです。どのような需要があるか、関西~九州の3航路を運航する、フェリーさんふらわあに聞きました。
――どのようなゲームがあるのでしょうか?
トラックの運転手さんや大学生がよくプレイされるスロットや、お子様も楽しめるクレーンゲームが中心です。ただ(ゲーム画面をモニターに出力する)ビデオゲームなどは数を減らしています。
2018年に大阪~志布志航路へ就航した新造船「さんふらわあ さつま」「さんふらわあ きりしま」にも、規模は小さいながらスロットとクレーンゲームで構成されるゲームコーナーを設置しました。お客様にお楽しみいただけるよう、スロットの設定もかなり「甘め」(大当たりが出やすい)にしています。
――スマートフォンのゲームなどで時間をつぶす人も多いのではないでしょうか?
もちろんそのような方も多く、船内で無料Wi-Fiを使えるようにしているほか、新造船では100タイトルほどの映画をご自身の端末でお楽しみいただけます。しかしながらゲームコーナーも、満員になるほど盛況というわけではありませんが、なくすことはできないと思っています。
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和歌山と徳島を結ぶ南海フェリーでは、自販機コーナーの脇にスロットを4台のみ設置。
一方、東京と伊豆諸島を結ぶ東海汽船が運航するフェリーでは、平成に入って早い段階でゲームコーナーを廃止したとのこと。船内のスペースが限られていること、観光需要が高い離島航路であるため、トラックの利用もそれほど多くないことなどが理由に挙げられるそうです。
変わる船内設備、ゲームコーナーは今後も残るのかフェリーさんふらわあの新造船でも、ゲームコーナーは以前より縮小されているそうですが、これはほかのフェリー会社でも同様です。
日本海側の舞鶴~小樽航路、敦賀~苫小牧航路などを運航する新日本海フェリーも、新しい船ほどゲームコーナーが小さくなり、機材も少なくなっているとのこと。利用する人が減っているだけでなく、用意できるゲーム機器そのものの選択肢が狭まっていることも理由として考えられるといいます。

フェリーさんふらわあ「さんふらわあ さつま」のゲームコーナー。写真は就航前(2018年4月、中島洋平撮影)。
太平洋フェリーは、苫小牧~仙台~名古屋間航路で運航する3隻それぞれにゲームコーナーを設置しています。このうち最も古い1989(平成3)年就航の「きたかみ」を、2019年1月に新造船へ置き換えますが、新しい船ではゲームコーナーを廃止したそうです。
「船旅を楽しんでいただくための船内設備に力を入れるなかで廃止に至りました。いわゆる雑魚寝の2等客室を廃して客室スペースを広げているほか、ペットと過ごせる『ウィズペットエリア』を新設したり、キッズエリアも拡大したりしています。
また、新日本海フェリーではゲームコーナーを縮小した一方で、スポーツジムのような「スポーツルーム」を設けています。船内設備や船内での過ごし方が多様化するなか、ゲームコーナーは今後、どうなっていくのでしょうか。