事故や渋滞、悪天候など、高速道路を取り巻く状況は刻々と変化。その情報を一手に取りまとめる道路管制センターに潜入しました。

高速道路の安全は、この「司令塔」で働く人々によって守られています。

道路情報板の情報はここから発信

 事故や故障車、交通集中、悪天候など、高速道路を取り巻く状況は刻々と変化します。その情報を一手に取りまとめるのが「道路管制センター」です。

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仙台道路管制センター。巨大ディスプレイに高速道路の路線図や、各種監視カメラの映像などが映し出される(2019年4月14日、中島洋平撮影)。

 NEXCO東日本では北海道、東北、新潟、関東の各支社管内に同様の施設があり、そのうち仙台道路管制センターは、福島から青森まで東北6県の高速道路を担当。本線上や料金所、IC周辺の一般道にある道路情報板の「〇~〇間 雨走行注意」「〇~〇間 渋滞〇km」といった情報は、ここから操作して表示しています。道路上の気象観測局や監視カメラからの情報、あるいはNEXCOのパトロールカーや、JAF(日本自動車連盟)などロードサービスからの報告をここで収集し、その情報をドライバーに知らせているのです。

 仙台道路管制センターは、宮城県に高速道路ができた1973(昭和48)年に開設。46年を経た現在は1396kmを管理し、処理する情報は1日2000件にものぼるとのこと。ここでは、福島第一原発事故の影響が残る常磐道の放射線量計情報も随時チェックしています。

 センター内の「交通管制室」では、55インチの画面を70個以上並べた巨大モニターに、管内の高速道路全図や監視カメラの映像など、リアルタイムの情報が映し出されています。

その画面を前に、常時10人ほどのNEXCO職員、東北6県の警察担当者、各種メディアを通じて道路情報を発信しているJARTIC(道路交通情報センター)の担当者などが、状況をチェックしています。

職員はベテラン揃い 「腕の見せ所」とは?

 道路管制センターの職員には、現場でパトロールカーを運転していたベテランのみがなれるとのこと。現場の職員がどのような気持ちで、どう行動をするかをわかっているからこそ、現場への迅速かつ適切な指示が可能になる、という観点からだそうです。

 本線上に設置されている非常電話や、携帯電話からの通報も、この管制センターにつながりますが、通報者とのコミュニケーションもベテランの腕の見せ所だといいます。

高速道路「管制」のお仕事とは? 巨大モニターにベテランのテクニック!

非常電話は受話器を上げれば管制センターにつながる。会話が不自由な人のため、「故障」「事故」などボタンで知らせる機能も。
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東北道下り線の本宮IC付近で事故発生。安達太良SA付近ではパトロール隊が故障車の対応に当たっている。
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本宮IC付近の事故による渋滞が表示されている。キロポストで位置がわかるため、IC名などでは示されない。

 というのも、事故を起こした人は動揺してしまい、冷静に状況を話せなくなりがちなのだそうです。「非常電話には何番と書いてありますか?」「お客様はどちらの方面へ向かっていましたか?」と、職員は現場の状況をうまく聞き出していかねばなりません。

通報を受け、管制はパトロール隊や警察、消防などに出動を要請します。

 担当者によると、「雪が強く降っている日などは、同じ路線で3、4件も事故が重なることがあります。別の案件でパトロール隊が現場へ急行するのが難しい場合でも、警察と連携して調整します」とのこと。通報された場所が基地に近ければ2~3分、どんなに遠くても30分以内に、現場へ急行できる体制を整えているそうです。

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