第4回日田彦山線復旧会議が開催。九州北部豪雨で被災したJR九州の日田彦山線は、現在も添田~夜明間が不通ですが、JR九州が具体的な復旧案として「鉄道」「BRT(バス高速輸送システム)」「バス」の3つを提示しました。
2019年4月23日(火)、福岡市内で第4回日田彦山線復旧会議が開催。JR九州が交通ネットワークの維持について考えを述べたうえで、3つの復旧案を提示しました。
被災直後の日田彦山線 釈迦岳トンネル出口付近。BRT案では専用道として活用する(画像:JR九州)。
日田彦山線は、日豊本線の城野駅(北九州市小倉南区)と久大本線の夜明駅(大分県日田市)を南北に結ぶ全長68.7kmのローカル線です。2017年7月の九州北部豪雨で被害が生じ、現在も南側およそ半分の添田~夜明間29.2kmで不通が続いています。
会議は、この添田~夜明間を復旧するための方策を検討し、実施するために開催。委員として福岡県の小川 洋知事、大分県の広瀬勝貞知事、東峰村(福岡県)の澁谷博昭村長、添田町(同)の寺西明男町長、日田市の原田啓介市長、JR九州の青柳俊彦社長が、アドバイザーとして国土交通省九州運輸局の下野元也局長が、出席しました。
3月15日に開かれた第3回会議では、「継続的な運行の確保」についてJR九州と沿線自治体とで議論がまとまらず、課題解決には至りませんでした。福岡県と大分県の両県知事から、「JR九州としてネットワークをどのように維持していくのか、あらためて考え方を示してほしい」と意見が上がったことから、今回、JR九州はネットワーク維持の考え方を次の3点に分けて説明しました。
・地域の生活の軸となる交通手段は、JR九州がネットワークとして確保すること。
・提供するネットワークは、速達性・定時性・利便性に重点を置いたものであるとともに、JR九州として継続的な運行が確保できる必要があること。
・沿線住民にこれまで以上に利用してもらい、自治体や地域と一緒になってネットワークを維持していきたいと考えていること。復旧案として鉄道、BRT、バスを提示
この考え方を踏まえ、JR九州は具体的な復旧案として、鉄道、BRT(バス高速輸送システム)、バスの3案を提案しました。
鉄道・延長:29.2km
・添田~夜明間の平均所要時間は約44分
・イニシャルコスト:約56億円
・ランニングコスト:約2.9億円/年
被災前のルートで復旧するというもの。
BRT・延長:29.2km
・添田~夜明間の平均所要時間は約49分
・イニシャルコスト:約10.8億円
・ランニングコスト:約1.1億円/年
彦山~筑前岩屋間の一部は鉄道の釈迦岳トンネルを活用した専用道で運行し、添田~彦山間と筑前岩屋~夜明間はバスと同じルートで運行。鉄道に比べて本数設定が柔軟にでき、駅以外でも乗車機会が提供できる利点があります。
バス・延長:43.3km
・添田~夜明間の平均所要時間は約69分
・イニシャルコスト:約1.8億円
・ランニングコスト:約1.4億円/年
ルートは現在の代行バスと基本的に同じですが、駅以外でも乗車機会を増やす方針です。
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今後、この3案について、福岡県・大分県と沿線市町村の住民から意見の聞き取りが行われます。
【写真】専用道を走るJR気仙沼線BRT

JR東日本の気仙沼線BRT。東日本大震災で被災した気仙沼線の線路敷地を使ってバスを走らせている(2013年9月、草町義和撮影)。